世の中はクリスマス、
イルミネーションで溢れる街で
“それ”は起こった。
仕事帰りに俺は
娘のクリスマスプレゼントを
買いにきた。
しかし、どういう訳か
刃物を持った男が
暴れている。
俺は運良く逃げることができたが
遠くで親とはぐれたのか
泣いている女児がいた。
それは自分に向けて言ったのか
女児に向けて言ったのか...
気が付くと俺は女児の元へ
走り出し、庇うように
男へ背を向けた。
蘭丸
....

蘭丸
....

蘭丸
...あれ?

いつまで経っても
刃先が肉体に刺さる
感覚がなく、俺は思わず
顔を上げた。
すると、刃物を振り下ろそう
とした場面で男の動きが
止まっていたのだ。
いや、男だけではない。
周りの人々の動きも止まっていた。
蘭丸
な、何が起こったんすか...?

蘭丸
え?

誰かの声が聞こえ、周囲を見回すが
該当しそうな人物は見当たらない。
蘭丸
どこっすか?

そう言われて視線を落とすと
そこには不気味に笑う
女児の姿があった。
蘭丸
...あなたは誰なんすか?

女児?
僕?僕は神様だよ

蘭丸
...男なんすか?

女児?
そうだけど...ってこの姿だからややこしいのか

女児?
ごめんごめん、今戻るよ

するとツルンと魂のようなものが
女児から抜け出て地面に
若い男の姿で実体となって現れた。
女児は気絶したかのように
その場に倒れ、俺が支えた。
遥翔
ほら、これでいいでしょ?

蘭丸
神様が何の用っすか?

蘭丸
もしかして、この事件も神様が起こしたんすか?

遥翔
いや?このパニックは悪運最強としか言えない偶然の産物だよ

遥翔
だから、ご愁傷様でしたー

この発言に苛立ちを覚えたが
一先ず冷静に男の話を
聞いてみることにした。
蘭丸
で、何の用っすか?

遥翔
てか、僕のことをそんなすんなり受け入れるの流石だね

遥翔
ああ、簡単に言えば僕の後継者になってくれない?って話なんだよね

蘭丸
後継者...?

遥翔
実はね、色々あって後継者探ししてて「あ、良い人材ミッケ‼︎」ってことで選んだ感じ

蘭丸
でも俺はただの一般人だし、神になる器に相応しくないっすよ

遥翔
えー?元“抗体人間”なのにー?

その言葉を耳にした時、
全身に緊張が走り
後方へ距離を取った。
遥翔
あ、禁句だった?ごめん、得意のノンデリ出ちゃったわ〜

蘭丸
神様は研究所の関係者なんすか?

遥翔
いいや?圧倒的に無関係者だよ?

遥翔
ただ、僕はこの世界の創造主だから創作物の情報は熟知してるだけさ

蘭丸
“想像を具現化する力”みたいっすね...

遥翔
ああ、鹿王院 琥珀だっけ?確かに似てるね

蘭丸
何で知って...ッ‼︎

遥翔
だーかーらー、僕は君達の世界の創造主なの

遥翔
だから君達、抗体人間がいた世界も遥か先の続編に関しても別次元の別の話も創造できるの‼︎分かった⁉︎

蘭丸
わ、分かったっす...(聞きたいことしかないけど取り敢えず、話を進めるっす)

蘭丸
じゃ、じゃあどうすれば後継者になれるんすか?

遥翔
あ〜、やっと本題が話せるよ

神様曰く、他にも候補者がおり
試練をクリアすると、どんな願い
でも1つ叶う特典と神様になれる
資格が与えられるそうだ。
遥翔
それで...君の願いを聞こうかな、取り敢えずね

蘭丸
俺の願いっすか...俺は...

蘭丸

蘭丸
妻と子どもが無事に過ごせるようにしてほしいっす

遥翔
...え?そんなんでいいの?

遥翔
もっと、自分のための願いとかじゃないの?

蘭丸
神様にとってそんなんでも、俺にとっては大事なことなんすよ

遥翔
あ、いや、別に煽ってるとかじゃないんだけどさ...えーっと、その自分は含めないの?

蘭丸
そりゃ、勿論...俺だって家族全員で暮らしたいっすよ

蘭丸
でも...この後の俺の展開は恐らくそんな生温い世界じゃないかもしれないっす

蘭丸
いつ死ぬかも分からない...

蘭丸
だったら最悪、俺がいなくなっても2人が幸せに暮らしてくれるのなら俺は何もいらないっす

蘭丸
...でも、神様にお願いがあるんすよ

遥翔
お願い?

蘭丸
俺が神様の試練に挑んでいる期間、妻と娘の様子を時々教えてほしいっす

蘭丸
それが...それだけが俺のモチベーションになるんで

遥翔
...聞いても良い?

遥翔
どうして、君は断らないの?

蘭丸
断れば恐らく時間が進んで刃物が刺さって出血して死ぬっす

蘭丸
俺だけじゃなく、この女の子も

蘭丸
この女の子は...俺の娘と同じくらいっす

蘭丸
まだ未来があるんすよ

蘭丸
そんな未来を...俺は途切れさせたくないっす

蘭丸
だったら嫌っすけど受け入れるしかないじゃないっすか?このふざけた状況を

遥翔
でも君を連れて行った後、僕が時を戻してこの子が刺さ

蘭丸
それはないっす

遥翔
...どうして?

蘭丸
だって...神様は時折何かを悔やんでそうな目をしてるっすからね

遥翔
何かを悔やんでそうな目...か...

遥翔
これは驚いた、君って面白い着眼点をしてるんだね〜

遥翔
今後気を付けるよ

蘭丸
否定はしないんすね

遥翔
何とでも言え言え

遥翔
まあ...しょうがないからそのお願いは聞いてあげるよ

遥翔
でも他言無用だし破ったら僕が君を殺すからね

蘭丸
分かったっすよ

遥翔
じゃあ、そんな一般人の君に“神の力”を授けよう‼︎

遥翔
...と思ったけど、君は“これ”の方が使いやすいでしょ?

すると神様はシャボン玉のような
気泡を生み出すと俺の頭上に
飛ばし破裂させた
蘭丸
こ...れは...

遥翔
君なら僕の力より、使い慣れてる力の方が良いと思ってさ

遥翔

遥翔
抗体人間時代の能力を再度使えるようにしておいたよ

遥翔
まず1つ目が最大半径15メートルにも達する“暗黒物質を生成する力”だね

遥翔
ちなみに接触した場合は接触部分から蝕まれるって...怖すぎない?

遥翔
2つ目が“相手の攻撃を無効化することができる力”...チートじゃね?

遥翔
あ、でも素手による攻撃は防げないんだね

遥翔
あ、五感異常発達と動物に好かれるスキルは無くしといたから

遥翔
じゃあ、別の世界に転送するからね

遥翔
ここでの記憶は消されるけど、能力に関しての記憶はいずれ思い出せるようにしとくから

遥翔
それじゃ、行ってらっしゃーい

遥翔
....

遥翔
....

遥翔
一応、この子は遠くの方に運んどくか...
