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グサッ
刃物が何かに刺さったような音がした。
場地を刺そうとした本人──一虎は大きく目を見開いていた。
バキッ
次に鈍い音が響き、一虎が倒れる。
蘭
蘭と竜胆が駆け寄ってきて名前を呼ばれそうになったので早口で3つのことを一気に言う。
澪
一虎が場地を刺そうとしたナイフは澪の腕に深く刺さっていた。
竜胆
血は水溜まりがてきるくらい出ていた。
何やってんだ、私。
はぁ、とため息をつく。
澪
蘭
澪
竜胆
次は横でずっと見ていた場地が言葉を発する。
場地
え?これでバレんの?
場地が言いたかったことは何か知らないが、万が一のために口を塞ぐ。
澪
澪
口に置かれた手をどかし、場地に背を向けて歩き始める。
痛い
血が抜けていくのがわかる。
なんでこいつのために───
そういうことを考えるのは後にして、 私は蘭のバイクの後ろに乗り、家を目指すことにした。
竜胆
澪
ズッ...
ナイフが刺さったまま帰り、 血がえぐいほど出ていたので風呂場でナイフを抜くことにした。
人がいなかったからどうにかなったけど。
幸い、ナイフが刺さったのは利き手ではない左腕、
前世両利きに強制されたので一応今も両利きでもあるが、利き手はやはり右腕。
蘭
竜胆
澪
心情はエグいけど、
手当の仕方がわからないのでとりあえず止血をし、包帯を巻く。
蘭
そんくらい私にもわかってる。
澪
蘭
綺麗に編まれた三つ編みを解きながら言う。
澪
竜胆
蘭
澪
蘭
竜胆
澪
澪
竜胆
ブーーーン
バイクの音が聞こえながら思う。
助けないんじゃなかったのか?
助けるつもりなんて、助ける理由なんてなかっだろ?
確かに私はこの物語の結末を知っている、が、
この世界に来たからと言って、 物語を変えるわけにはいかない。
そう思って、
なのに、
直前になると思い浮かぶのは場地の優しい場面。
なんでお前はこんな性格してるやつとまともに話せるんだ?
どうしてこんなやつに接そうと思うんだ?
どうして?
あいつの心情が、私には分かりそうにはなかった。
医者
蘭
医者
蘭
キツそうな顔をしているのがわかったのか、医者には蘭が全て話を通してくれた。
医者
蘭
貧血の極限状態になっている私には医者や蘭が何を言っているかすら わからなかった。
そこから治療を受け、薬をもらった。
包帯が巻かれた腕を見ながら私は前世に母に言われた言葉を思い出した。
馬鹿の近くにいると馬鹿がうつるから気をつけなさい。
ああ、それだな。
私は初めて母の言葉に共感したような気がした。
蘭
澪
竜胆の飯に期待しながら私と蘭は病院の出口に向かっていた。
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