黒
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インターハイが終わり、 春高予選へ向かう前の合同強化合宿
烏野高校バレーボール部の面々は 慣れない体育館の空気の中 いつも以上に活気に満ちていた。
日向翔陽
だが、日向翔陽の周りだけは、 常に一線を画した静けさがあった。
孤爪研磨
日向翔陽
彼の笑顔は太陽のように眩しいままだ
孤爪研磨
だか、練習以外の私的な時間になると 日向は分厚い壁の向こうに 引っ込んでしまう
合宿初日の夜
烏野の部員が寝ている中 日向は小さなノートを握りしめていた
ノートには練習メニューだけではなく 彼自身の過去の辛い記憶が 詰まっていた
日向翔陽
日向にとってバレーは孤立から抜け立つための唯一の手段だった。
周囲に理解されなかった熱意が
時には嘲笑いの対象となり 裏切りにも、遭った
その経験が、彼の心の奥底に バレーへの情熱だけではなく
「誰も信用してはいけない」 「熱意はまた傷にへと変わる」
という深い溝を刻んでいた
練習中の休憩時間
体育館の隅で 日向は一人 膝を抱えて座り込んでいた
日向翔陽
だが
そのアイディアが過去の裏切りの フラッシュバックを呼び起こし
いつになく顔色が悪い
菅原孝支
そんな日向にいち早く気付いたのは
菅原孝支
菅原孝支
新しいこと考えるの、楽しいだろ?
日向の太陽のような明るさは、 彼の「無理してる」時のサイン であることを知っていたからだ
日向翔陽
日向翔陽
日向翔陽
その一言が菅原の胸に引っかかった
菅原孝支
菅原孝支
「情報隠蔽」をする傾向があることは知ってる)
菅原孝支
菅原孝支
日向翔陽
菅原孝支
菅原孝支
受け止めるよ
日向翔陽
日向はメモをグシャリと潰した
その顔に一瞬だけ
「深い恐怖」
「諦め」の表情が浮かんでいた
その表情を、離れた場所で 水分補給していた 澤村大地と、月島蛍が 同時に目撃した