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─林家玄関─
《ガチャ》
林零
俺は雪の手を引き、 家のドアを開ける。
林零
白咲雪
林零
雪は玄関にある靴箱と靴箱の隙間に体を捩ってスライムのように隙間に入って行く。
林零
白咲雪
俺は靴を脱ぎ捨て、 少し長い廊下を一歩一歩と 歩いていき、 リビングに向かった…
─林家のリビング─
林零
俺はリビングのドアを開け、 そして一瞬で鼻を塞いだ。
ホストヤクザ
母
リビングに入った途端に酒やタバコの匂いが漂っていて、 それ等全てが目の前にあるソファに腰掛けている三人が起こした事だと直ぐに分かる。
ホストヤクザ
母
母親は分かりやすく俺を睨みつけ、怒声を浴びせてくる、 こんなのが母親だとは夢にも思わないだろう。
林零
俺は下手に反論するとこの前みたいにタバコを押し当てられたり、 殴られたり、蹴られたり、 このいけ好かない男に刃物で切りつけられたりされるのが目に見えているので反論したい気持ちをひたすらに抑え、要らない荷物を部屋の隅に置き、リビングから去った。
ホストヤクザ
母
─林家玄関─
林零
俺は母親の目を盗み、 隠して持って来たソーセージパンを手に持ち、雪にそう言う。
そもそも雪とは、 あるきっかけで出会った赤の他人だった。
俺が初めて会った時は 良い所のお嬢様で、 優しそうな家族やメイド、 執事に囲まれていて、 とても幸せそうで… 俺とは全く正反対で、 正直言って羨ましいと思った。
だけど実際は全然違くて、 雪の父親は狂っていて、 教育と称して俺の頭じゃ考え付くどころかその考えには至らない程の事を雪に対して行っていて、 メイドや付き添いの執事達は それを見て見ぬふり。
実の母親だけはまともで雪を逃がそうと画策していたけど、 それが父親にバレてしまって雪と同じ様な仕打ちを受けて亡くなった…と雪から聞き、 匿ったのがきっかけだった。
白咲雪
そう言い体を捩り雪が体を出す、 雪は俺が生まれた時から 一度も掃除がされていない靴箱に 数分程度だが、 入り込んでいたお陰で服は勿論の事、髪の毛にも埃が付いていた。
白咲雪
俺は軽くだが服や髪の毛に付いた 埃等を払い、 雪にパンを包み袋事渡す。
林零
白咲雪
雪はほんの少しだけ頬を緩ませ、 幼いながらも可愛い笑顔を浮かべる
林零
白咲雪
そして雪はパンの袋の縁を掴んで、 袋を開ける、 だが俺が持っていく時にポケットに押し込んだせいか、 パンに掛けられていたケチャップが垂れて袋から垂れてきていた。
白咲雪
雪は垂れてきたケチャップを舌で 絡み取り、 ケチャップが殆ど垂れてソーセージしか入っていないソーセージパンに自身の唾液が少し混じったケチャップをソーセージパンに掛ける。
林零
白咲雪
口の中に入れたケチャップを 掛け終えた雪は そのソーセージパンを頬張りながら言うのだった…