廊下
橘華
(血の匂いがする)
橘華
(ここはどこ?)
橘華
カタッ…(ドアを開ける音)
童磨
ん?あれぇ来たの?
童磨
わぁ女の子だね!
童磨
若くて美味しそうだな
童磨
後で鳴女ちゃんにありがとうって言わなくちゃ
過去
姉
華鬼殺隊をやめなさい
姉
あなたは頑張っているけど本当に頑張っているけど
姉
多分華は…
姉
普通の女の子の幸せを手に入れてお婆さんになるまで生きて欲しいのよ
姉
もう…十分だから…
橘華
嫌だ
橘華
絶対に辞めないお姉ちゃんの仇は必ずとる
橘華
言って!どんな鬼なのどいつにやられたの……!
橘華
お姉ちゃん言ってよ!お願い!!
橘華
こんなことされて私普通になんて生きていけない!!お姉ちゃん!
今
頭から血をかぶったような鬼だった
童磨
やあやあはじめまして俺の名前は童磨だよ
童磨
いい夜だね
にこにこと屈託なく笑う 穏やかに優しく喋る
モブ
た…たす…助けて
モブ
助けて!!
童磨
しー!今話してるだろうに
童磨
ヒュガッ
橘華
トッ
橘華
大丈夫ですか?
童磨
わぁ早いね柱かな?
モブ
はっ…はっ…
モブ
ゴフッ
モブ
ドシャ
童磨
あ、大丈夫!そこにそのまま置いといて
童磨
後でちゃんと食べるから
童磨
よいしょ
その鬼使う武器は鋭い対の扇
童磨
俺は万世極楽教の教祖なんだ
童磨
信者の皆と幸せになるのが俺の務めその子も残さず綺麗に食べるよ
橘華
(こいつがお姉ちゃんを殺した鬼)
橘華
…皆の幸せ?惚けたことを
橘華
この人は嫌がって助けを求めた
童磨
だから救ってあげたんだろ?
童磨
その子はもう苦しくないし辛くもないし怯えることもない
童磨
誰もが皆死ぬのが怖がるからだから俺が食べてあげてる俺と共に生きていくんだ
永遠の時を
永遠の時を
童磨
俺は信者たちの血を肉を
童磨
しっかりと受け止めて救済へ高みへと導いている
橘華
正気とは思えませんね貴方頭大丈夫ですか?
橘華
本当に吐き気がする
童磨
えーっ
童磨
初対面なのに随分刺々しいな
童磨
あっそうか
童磨
可哀想に辛いことがあったんだね
童磨
聞いてあげよう話してごらん
橘華
辛いも何もかもあるのか私の姉を殺したのはお前だな
橘華
この羽織に見覚えがないか
童磨
あぁ!
童磨
花の呼吸を使ってた女の子かな?
童磨
優しくて可愛い子だったなぁ
童磨
朝日が昇って食べ損ねた子だよ覚えてる
童磨
ちゃんと食べてあげたかっ
童磨
た
童磨
ズッ
橘華
蟲の呼吸壱ノ羽胡蝶樹
童磨
凄い突きだね
童磨
手で止められなかった
童磨
血気術蓮葉氷
冷たい 肺を裂くような冷たい空気
童磨
うーん速いねぇ速いねぇ
童磨
だけど不憫だなぁ
童磨
突き技じゃ鬼は殺せない頸だよやっぱり頸を切らなくちゃ
橘華
突きでは殺せませんが毒ならどうですか?
ドクン
童磨
グッ
橘華
(上弦にこの毒が通用するかどうか今わかる)
橘華
(お姉ちゃんお願い…お姉ちゃん)
童磨
ドッ
童磨
ガハッ(吐血)
童磨
これは累くんの山で使った毒よりも強力だね
橘華
(やはり情報は共有されていた)
橘華
(毒は諸刃の剣)
童磨
調合を…鬼にごとに変えているとあの方も仰っていた
童磨
ゲホッグッ
童磨
あれぇ?
童磨
毒分解できちゃったみたいだなぁ
童磨
ごめんねぇ
童磨
せっかく使ってくれたみたいなのに
童磨
その刀つやにしまうとき音が特殊だね
童磨
そこで毒の調合を変えているのかな?
童磨
うわーっ
童磨
楽しい!毒を喰らうのって面白いね癖になりそう
童磨
次の調合なら効くと思う?やってみようよ
橘華
……そうですね いいですよまあ
橘華
この辺りは想定内ですから
童磨
ズズ
童磨
うーーん5回目
童磨
これもダメだね効かないや
童磨
どんどん効かなくなっていくね
あと何回、毒を調合できるのかな
あと何回、毒を調合できるのかな
童磨
ああ、もう息が続かない?
汗がすごいな大丈夫?
汗がすごいな大丈夫?
橘華
(これが……上弦の強さ
悉く毒が効かない)
悉く毒が効かない)
橘華
耐性がつくまでの早さが異常だ
童磨
細胞が壊死してるからねつらいよね
童磨
さっき俺の血気術吸っちゃったからな
橘華
(凍てついた血を霧状にし扇で撒布する……)
橘華
(呼吸すること自体危険が伴う)
橘華
(連撃で大量の毒を打ち込む)
橘華
チャッ
橘華
蟲の呼吸肆ノ羽華紋蝶
橘華
ブシャ
童磨
いやぁ君本当に速いね
童磨
今まで柱の中で1番かも
橘華
バシッ
橘華
(斬ら……れた……)
橘華
ドッ
童磨
毒じゃなく頸を斬られたら良かったのにね
童磨
それだけ速かったら勝てたかも
童磨
あーーっ無理か君小さいから
橘華
ボタボタ
橘華
(なんで私の手はこんなに小さいのかな)
橘華
(なんでもっと身長が伸びなかったのかなぁ)
橘華
(あとほんの少しでも体が大きかったら)
橘華
(鬼の頸を斬って倒せたのかなぁ)
橘華
(腕が足が長ければ長いだけ筋肉の量も多いわけだから)
橘華
(有利なのに)
橘華
(お姉ちゃんは華奢だったけど私より上背があった)
橘華
(赤葦君いいなー)
橘華
(あの子が助けに来てくれたら皆安心するよね)
橘華
(お姉ちゃんがあの時言おうとした言葉を私は知っている)
橘華
(“多分華は”“あの鬼に負ける”)
橘華
(そう言おうとしてやめてくれたんだよね)
姉
しっかりしなさい泣くことは許されません
橘華
(お姉ちゃん)
姉
立ちなさい
橘華
(立てない失血で)
橘華
(左の肺もざっくり斬られていて息もできないの)
姉
関係ありません
立ちなさい
立ちなさい
姉
蟲柱橘華
姉
倒すと決めたなら倒しなさい
姉
勝つと決めたなら勝ちなさい
姉
どんな犠牲を払っても勝つ
姉
私と約束したでしょ
童磨
ごめんごめん半端に斬ったから苦しいよね
姉
華ならちゃんとやれる頑張って
童磨
え、立つの?
童磨
立っちゃうの?えーー
童磨
鎖骨も肺も肋も斬ってるのに
童磨
君の体の大きさ……その出血量だと死んでもおかしくないのに…
橘華
ゴフッ
ゴロゴロ
ゴロゴロ
童磨
あっほらーー
童磨
肺に血が入ってゴロゴロ音がしてる想像を絶する痛みだろう俺がすぐに頸をすとんと落としてあげるから無理しないで!
童磨
君はもう助からないよ
童磨
意地を張らずに
橘華
(狙うならやはり急所の頸
頸に毒を叩き込めば勝負はある)
頸に毒を叩き込めば勝負はある)
橘華
蟲の呼吸伍ノ羽夜羽
童磨
(速い攻撃が読めない)
童磨
ヒュンヒュン
童磨
(低い)
力が弱くても鬼の頸が斬れなくても
鬼を一体倒せば何十人倒すのが上弦だったら何百人もの人を助けられる
できるできないじゃない
やらなきゃいけないことがある
橘華
(ほんと頭にくる)
橘華
(ふざけるな馬鹿)
橘華
(なんで毒が効かないのよコイツ)
橘華
(馬鹿野郎)
ギュルン
グン
ガシッ
童磨
えらい!頑張ったね!
童磨
俺感動したよ!!こんな弱い女の子がここまでやれるなんて
童磨
姉さんより才もないのによく鬼狩りをやってこれたよ
童磨
全部全部無駄だと言うのにやり抜く愚かさ
童磨
これが人間の儚さ人間の素晴らしさなんだよ
童磨
君は俺が喰うのに相応しい人だ
永遠を共に生きよう
永遠を共に生きよう
童磨
言い残すことはあるかい
童磨
聞いてあげる
橘華
地獄に堕ちろ
一ノ瀬雪
バン
一ノ瀬雪
華!
童磨
ゴキッ
ガシャッ
今日はここまで
続きはすぐに出す
次回後編お楽しみに