零
……おい。もう30分は駅に止まってないぞ。GPSも圏外だ

旭
(座席にL座りして、吊り革をじっと見つめる)……月くん。焦りは禁物です。これはキラによる、私への挑戦状かもしれません

零
だからキラはいねぇって……(急な吐き気)……うっ、なんだ、この寒気

黒神ミレイ
ねぇ見て! 電光掲示板の文字が、ぐにゃぐにゃに溶けてるよ~! お姉ちゃん、ちょっとワクワクしちゃう!

黒神ユウマ
……嫌な予感しかしない。零さん、これ……

零
ああ、わかってる。……『特級』クラスの霊域だ。……くそっ、なんで俺がいる時だけこんな……!

(その時、激しい衝撃と共に電車が急ブレーキをかける。零は不幸体質が発動し、運悪く座席から放り出され、床に置いてあった誰かの忘れ物(空き缶)を踏んで派手に転倒する)
零
っつ……! 痛てぇ……。なんで俺だけ……

旭
(転んだ零を冷ややかに見下ろしながら、指を唇に当てる)……わざとらしいですね。わざと転ぶことで、私の注意を逸らし、隠し持ったデスノートに誰かの名前を書こうとした……。そうですね?

零
(キレ気味に白カネキ化)……フッ、いい推理だL。だが、この状況で俺が自分を傷つけてまでそんな真似をするメリットがどこにある?

旭
(目を輝かせる)……今の言い回し、完璧に黒です。……やはりあなたは、キラだ

柚香
……二人とも、遊んでる場合やないで。……見て。窓の外

窓の外には、存在しないはずの駅名『きさらぎ』の文字。
そして、ホームには「片足のない老人」が一人、じっとこちらを見つめて立っていた。
零
……チッ。降りるしかないみたいだな。……松田! 先に行け!

???
えぇっ!? 零さん、俺っすか!? 『松田ぁ!誰を撃ってる!』みたいな展開、マジ勘弁してくださいよぉ!!

旭
松田さん、叫ばないでください。あなたの叫び声はLの思考を妨げます。……月くん、私を背負ってください。ここからは……命がけの鬼ごっこです

零
……。……ああ、わかったよ。……行くぞ、L

零が旭を背負い、一歩ホームに踏み出した瞬間、電車のドアがバチンと閉まり、背後の車両がドロドロの泥に変わる。退路は断たれた
零
……はは、やっぱりな。……俺の運勢、今日も絶望的だ
