テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

学校が終わり、下校時刻になる

皆、家路へとつく

ただ一人の少年を除いて

春紀

はあ…はあ

春紀

やっと着いた

春紀

ここからの景色は最高だなぁ

春紀は街全体が見れる裏山で一人の何もせずに過ごすのが好きなのだ

親が心配して探しに来るがここまでは来ないだろう

なんでこんな事をしているのかと言うと、簡単だ

親が嫌い

それだけだ

自分にプレッシャーばかりを押し付けてきて、自分の気持ちなんか考えてくれない

褒められた事だって、無かった

春紀

家なんかに居たって自分に居場所はない

春紀

それなら、ここに居た方がいいんだ

青かった空が赤くなり、そして黒くなるまで

春紀は裏山で過ごすのだ

春紀

ただいま

午後9時、春紀は帰宅した

春紀の母

おかえり、今日も遅いのね

春紀

うん、ごめん

春紀の父

どうせどっかで遊んでいるのだろう?

春紀の父

そんな暇があるならもっと身のためになることをするべきだ

春紀

遊んでなんていないけど

春紀の父

なら、何をしていた?

春紀の父

具体的に話せ

春紀

………………

春紀の父

どうした?

春紀

学校が終わった解放感に浸ってた

春紀の父

無駄な事だな

春紀の父

お前の人生に文句を付ける気は無いが、変な事ばかりするな

春紀の父

私の名誉もかかっているんだ

春紀

そんなに緑の血を流す人が好きなの?

春紀の父

ああ、好きだ

春紀の父

彼らは私の好奇心を満たしてくれる

春紀の父

お前と違ってな

そう言って父はガラスのように無機質な眼で春紀を見る

軽蔑しているようだ

春紀

ああ、そう

春紀は呆れたように言った

春紀

それって将来の役に立つの?

春紀

単に貴方の好奇心を満たすだけなら、もっと他のことをした方がいいんじゃないか?

春紀の父

いや、確かに彼らは私の好奇心を満たすが

春紀の父

ほかの事の研究にも役立っているさ

春紀の父

これで彼らの事を知ることが出来れば、

春紀の父

我々は宇宙にはどんな人がいるのかを知ることが出来るし、正式に生きている彼らに会うにしても、予めどんな人か知っていた方が便利だ

春紀

貴方の言う彼らを殺してまで?

春紀の父

新しい事を知る為には、必要な犠牲だ

父は宇宙人についての研究をしている人物だ

よくオカルト雑誌とかにも載っている

きっと彼には緑の血を流す人しか見えていない

自分や母なんてどうでもいいのだろう

自分はそんな父が大嫌いだ

凄く馬鹿らしい

春紀の母

まぁ、二人とも喧嘩しないで

春紀の父

喧嘩なんかしてないよ

春紀の父

相手の質問に答えていただけだ

春紀の母

ならいいけど

春紀の母

今日もお疲れさま。研究頑張ってね

春紀の父

うん、ありがとう

春紀の母

春紀も、ご飯食べて宿題終わらせてね

春紀

うん……

翌日

春紀

家なんて帰るものか

春紀はそう言いながら裏山に登る

春紀

やっぱりここが一番だな

???

こんにちは、いつも此処にいるのですか?

春紀

誰だ!

やって来たのは、黒いローブをした人物だった

一体どこの誰なのだろうか

???

そんなに驚かないで下さい

春紀

一体…何の用ですか

どう考えても普通じゃない

危険人物のオーラが漂っている

???

貴方、人と関わりたくないんじゃないですか?

春紀

そうですけど……なんで分かるんですか!?

いきなりマジで誰だ

自分を観察していたのでは無いか?

でも、それだけで人と関わりたくないと判断する方がおかしい

なら何だ?

知り合いではないし

???

貴方が一人になりたいのなら、私はその夢を叶える事が出来る

春紀

マジ?

何だろう、彼の話に惹き付けられる

怪しい人の筈なのに

???

マジですよ

春紀

なら、一人にさせてください

春紀

家族に、会いたくないんです

???

よく言えましたね、いいでしょう

相手はニヤリと笑って言った

???

失礼します

春紀

うわっ

相手は自分の額に手を当てた

そして、よく分からないことを呟いた

???

感情系統アクセス

???

コード2478に対するアクセス権限をゼロより5へ変更

???

モードリヒュールに設定

???

権限拡張完了

相手は自分から手を離した

???

これでいいですよ

???

どうやるのかは自分で確認してください

春紀

……ありがとうございます

春紀

やっと、一人になれるんですね

???

はい

春紀

ありがとうございます!さようなら

春紀は嬉しそうに山を下った

???

この格好と心理誘導であそこまで出来るんですねー

ローブを脱ぎながら彼はそういった

ローブは中世に買ったものだ

かなり古びているが、相手にインパクトは与えられた

???

ありがとう、春紀くん

???

貴重なデータになってくれて

春紀の学校でAETをしている青年、ルキアはそう言って笑った

春紀

ただいま

春紀の母

おかえりなさい

春紀の母

今日は早いのね

春紀

うん

それだけ言うと、春紀は自分の部屋に上がった

春紀

えっと…方法は

脳の中を必死で探す

彼の残したデータがある筈だ

春紀

アクセス…モードリヒュール

その時、脳のスイッチが入れ替わったのを感じた

春紀

なんだよ!

周りに負のオーラが漂っている

あまりの嫌悪感に、逃げたくなるだろう

自分から発せられてなければ、かなりビビりそうだ

春紀の母

春紀!何なのこれは……!

母は、自分の部屋に入ってくるなり

驚いたように眼を見開き、そのまま倒れた

春紀

母さん!

春紀

救急車!

急いで家電をとり、連絡する

ほんの5分で、救急隊がやってきた

それまでに負のオーラは押さえ込んだ

母は、救急隊員らにより

病院に運ばれた

何があったのか聞かれたが、ショックを受けて混乱しているふりをした

オーラの話なんか、出来るはずがない

病院

春紀の父

優華、大丈夫か

父が、母の名を呼んで心配している

自分が入院した時は、こんなに心配してなかったのに

春紀の母

大丈夫…よ

春紀の母

春紀もゴメンね、驚かせちゃって

春紀

いいけど、いきなりどうしたの?

春紀の母

なんか、凄く……怖いものを見た気がして

春紀の父

あまり無理はするな

春紀の父

疲れてるのかもしれないから、しっかりと休め

春紀の母

ええ、そうするわ

春紀

じゃあ、そろそろ帰るね

春紀の母

うん、またね

春紀の父

明日も行くよ

病室から1歩外に出ると、一気に気まずくなる

春紀の父

おい、春紀

相変わらず表情一つ変えずに言ってくる

春紀

なに

春紀の父

優華に何をした

春紀

何もしてないよ

春紀

疑ってるの?

春紀の父

ああ。お前のことを見て倒れたらしいからな

春紀の父

心理的ショックを与えたと思ってな

春紀

そんなこと僕に出来ないよ

春紀の父

お前だけならな、だが第三者が居たらどうだ?

春紀

いないよ。そんなに信用出来ない?

春紀の父

できないな、夜遅くまでどこかで遊んでいるやつは

春紀

遊んでないって言ってるよね?

春紀の父

なんだその口の利き方は

春紀の父

あと、遊んでないのなら今すぐにここで証明しろ

春紀

それは…

春紀の父

出来ないのか?

春紀

うん…

春紀の父

だったら、疑われても仕方ないな

春紀の父

帰るぞ

春紀

うん

コイツは心の底から憎い

自分の事を人間としか、いやそれ以下にしか思っていないだろう

こんな奴、いつか殺してやる

その前に、もっと上手く力をコントロールする訓練をしないといけない

まずは学校でやってみよう

学校

ルキア

have been は、〜に行ったことがあるで、

ルキア

have goneは!〜から戻ってしまったという意味でつまりは……

英語の授業中、先生が説明している

何となくこの前のローブの人に似てる気がする

ルキア先生があの不審者である筈はないが

ルキア

それでは、春紀さん

春紀

はっはい

頭から不審者の姿が離れない

ルキア

この場合は、beenとvisitedどちらが入ると思いますか?

春紀

えっと…been!

ルキア

はい、そうですね

ルキア先生は解説を続けていく

彼の解説は分かりやすく、年齢に似合わずベテラン教師よような感じをしている

そんな彼の解説も、今は頭に入ってこない

ローブを着ていたあの人物を彼に重ねてしまうのだ

全く授業が頭に入らぬまま、終了のチャイムが鳴った

挨拶をして、席に着く

ルキア

春紀さん

先生に呼ばれた

春紀

はい……

ルキア

今日の放課後、職員室に来て下さい

春紀

何でですか?

ルキア

お母さんのことについてだ

春紀

わかりました…

担任でもないルキア先生が母について何かあるのだろうか

疑問は解けない

春紀

そうだ!能力を使って相手に不快感を与えて目的を吐き出させれば

そう思い、放課後職員室に向かった

春紀

失礼します

ルキア

待ってましたよ

ルキア先生がやって来る

感情アクセスモードにして、負のオーラを放つ

春紀

何が目的なんですか!

春紀

早く言ってください

オーラを強くする

恐怖で真実を吐くしか出来ないだろう

ルキア

中々上手く使いこなしてますね

ルキア

少しずつ負のオーラを強めてじわじわ恐ろしさを与えていく

ルキア

完璧です

春紀

なんで……効かないんですか

ルキア

それ、僕に聞きます?

ルキア

まぁ、答えるとアクセス権限の違いです

ルキア

一般人のレベルは0、君が5

ルキア

そうですよね

春紀

そうですけど……

なんで知っているのだろう

ルキア

あまり言っちゃいけないんですが、僕は20です

春紀

どうして!

ビビって声が出た

そんな自分の反応を先生は楽しそうに見ている

ルキア

だって貴方のアクセス権限を5にしたのは僕ですし……

春紀

じゃああのローブの人って!

ルキア

はい、私ですよ

ルキア

授業中ずっと気にしてたみたいなので、伝えとこうと思って

春紀

分かってたんですか?

ルキア

はい、そうでなければ授業中貴方を当てません

春紀

あ、ああ

ルキア

心を見られるのはいい気はしませんよね

ルキア

いつも見ている訳では無いですから、安心してくださいね

春紀

あの、先生は……

春紀

人間ですか?

迷うと思っていたが、案外直ぐに答えた

ルキア

ハッキリ言うと、NOです

ルキア

私が何なのかを分かりやすく言うと……

ルキア

世界、かも知れません

自分は、この星の重大な秘密を知った気がした

春紀

大きい声で言って大丈夫何ですか?

ルキア

はい、この周辺の人達には私達に興味を持たないように誘導してありますから

春紀

……分かりました

ルキア

何かあったら相談にのります

ルキア

嫌いな奴を恐怖で殺す

ルキア

かなり楽しいですよ

ルキアは、そう静かに言った

帰り道

春紀

アクセス権限モード

春紀

指数2範囲は……

ブツブツ唱えて、負のオーラを発生させる

これで人は謎の不安感に襲われるだろう

混乱して、発狂する程では無いが

春紀

結構上手く使えてるかな

周りの不安感など気にせずに、春紀は軽い足取りで帰路についていた

春紀

ただいまー

まだ父は帰ってきていない

やっぱりこの力は、部屋の中で強くして使うのが一番いい

帰ってきた父が、嫌そうにこちらに近づいて来ないのに優越を覚える

春紀

よし!

今までより、指数を強くして限界まで負のオーラを発生させる

自分には周りが真っ暗に見えている

ここはもう死の領域だ

立ち入った人は一人残らず恐怖でショック死するだろう

ルキア先生を除けば

家には少しずつ負のオーラを発生させて、疲れて帰ってきた父に恐怖によるストレスを感じさせて、じわじわ苦しめて殺すのだ

凄く楽しみだ

ガチャりと、扉の開く音がした

別に挨拶する気は無い

春紀の父

春紀!

大声で名を呼ぶ

最近少し負のオーラの濃度を濃くしたからだろう

春紀

何ー!今行く

リビングに走っていく

春紀

どうしたの

春紀の父

私の日記を知らないか!

春紀

日記?知らないよ

春紀の父

本当にか?

春紀

知らない。大切な物なの?

春紀の父

そうだ。大事なデータもあるからな

春紀

なら、なくす方が悪いんじゃない?

春紀の父

誰もお前のせいだなんて言っていない。

春紀の父

心当たりがあるか確認しただけだ

春紀

ああ、そう

春紀の父

あと、優華に下手なことはするな

春紀

僕じゃないって言ってるよね?

春紀の父

どうだかな?証拠を掴んでやるよ

春紀

やれるもんならやってみな

やっぱり心の底から憎い

少しだけ、負のオーラの濃度を上げた

一週間後

春紀

おはようございます

ルキア

おはようございます、結構濃度上げたんだね

ルキア

そろそろお父さんも限界なんじゃないかな

ルキア

人の孤独に踏み込み続けるのは、かなりキツイですから

春紀

はい、僕の予測だと今晩辺りには発狂して死ぬかと

ルキア

あと少し、頑張って下さい

ルキア

あともう1つ

去ろうとした自分をルキア先生は止めた

春紀

何でしょう?

ルキア

孤独の先に、人の心はあるんですよ

ルキア

外に出すよりも、中に入った方がいい

春紀

何が言いたいんですか?

ルキア

いいえ、忘れてください

春紀

はい

なんか行動が読めない人だ

排除出来ないのが辛い

春紀

おかえりなさい

春紀の父

ああ……

完全に狂ってきている

春紀

大丈夫?元気ないね

春紀の父

平気……だったらいいな

春紀の父

そろそろ……限界かもな

春紀の父

研究も進まない

春紀

そうなんだ

父は台所に向かいながら語る

春紀の父

あんな…犠牲を出したのに

春紀の父

こんなものか

父は台所からナイフを取り出す

春紀

何をするの?

春紀の父

あいつ……テロスに

春紀の父

謝らないといけない

父はそう言って頸動脈を切った

大量の血が出る

台所一帯が真っ赤に染まるほど

春紀

処理……めんどくさいな

ルキア

ごめんください

鍵を掛けてあった筈の扉から、ルキア先生が入ってきた

春紀

先生……どうやって?

ルキア

物質改変をして、侵入しました

ルキア

ごめんなさいね

春紀

入ってきたなら、助けてください

ルキア

処理ですよね?任せてください

ルキア

あと、これを渡しておきます

ルキア

外に出て待っててください

先生に渡された手帳と共に外に出た

手帳はこの前無くしたと言っていた父の物だった

春紀

先生だったのか……

手帳を開くと、なんかの記録や今後の予定

そして、1枚の写真がでてきた

春紀

これ……?

写真には大学生位の父と背が高く髪の長い男性が写っていた

裏に字が書いてある

春紀

これ……手紙?

自分に宛てたメッセージが書かれていた

春紀へ

君がこれを読んでいるということはきっと私はこの世には居ないのだろう

だって私はこれを肌身離さず持ち歩いているのだから

死んでしまったのは悲しいが取りあえず伝えるべきことを伝えよう

今まで冷たく対応していて悪かった

信じられないだろうが、私は君の事が嫌いな訳では無い

自分の子供を嫌いになるなど、有り得ないさ

ただ、私は自由に生きている君が羨ましかったんだ

私は好きでこの研究をしている訳では無い

写真に映る青年は異星人だ

到底信じられないかもしれないがね

彼が死んだ仲間について知りたいと言ったんだ

それで、私は知り合いの宇宙人研究家の事を教えた

そこで、彼は異星人だとバレて研究所に連れていかれた

結局事故死とされたが、きっと研究所で拷問されて殺されたのだろう

二十年前の宇宙人生け捕り成功の話だ

お前は、まだ産まれてなかったがな

私はあの日の事をずっと後悔している

だからこそ彼の犠牲を無駄にしないために、私は研究家になったのだ

春紀、私が言いたいのは後悔しないで生きて欲しい

それだけだ

春紀

父さん……

自分は馬鹿だ

どうして気付くことが出来なかったのだろう

父も父で苦労してきたんだ

それを知ろうともせず、自分は……

春紀

なんて愚かなんだろう

ルキア

終わりました。

ルキア

手紙、読んだんですね

ルキア

彼は人付き合いが苦手な人でした

ルキア

きっと貴方に対してどう接したらいいか、わからなかったんですよ

春紀

父さんの知り合いなんですか?

ルキア

同じ大学で、同じサークルでしたから

ルキア先生は幾つなのだろうか

父さんと同年代には見えないが

ルキア

これからどうしますか?

ルキア

貴方はそのうちその力を制御出来なくなって

ルキア

常に孤独になりますよ

春紀

そう……ですか

ルキア

はい

春紀

仕方ないですよね

春紀

貴方を恨むわけにもいきませんし

春紀

何とか生きていきますよ

春紀

さよなら

ルキア

どこに行くんですか?

ルキア

夜遅いですが

春紀

母の所に

春紀

孤独になると、伝える為に

ルキア

行ってらっしゃい

ルキア

もし困ったら、私のところに来てください

ルキア

貴方を孤独にした責任と言ってはなんですが

ルキア

貴方が死ぬまでくらいなら、相談相手になりますよ

春紀

なら、また今度お願いしときます

春紀は夜の町へと消えていった

loading

この作品はいかがでしたか?

121

コメント

5

ユーザー

難しかったけど、面白かったです。 お父さんの事は悲しい事だけれど。ハルキに孤独を選んでほしくなかったなって、思いました。

ユーザー

きっと春紀も後悔したと思いまよ。でも、一度やってしまったことは消すことが出来ない。ならばと思い前へ進むことを選んだのでしょうね。

ユーザー

春紀は、最後に父の本当の気持ちを知ることができてましたね、私だったら後悔してしまいます。でも、前を向いて後悔しないように生きるって難しいけど、響く言葉だなぁと改めて思いました!今後彼がどのように生きていくのか、謎ですが気になります。

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚