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続き気になりすぎる…! 応援してます!!
今日俺は学校に行かないと決めた。
俺が閉じ込められた この世界の核心に触れる為 いつもとは違う行動を取ってみよう と思うのだ。
ゆあんくんが目の前で死んで 俺はまた朝に戻った。
俺はこの金曜日に 閉じ込められたんだと理解するのは 今やそう難しくなかった。
超常現象に巻き込まれた俺は そのトリガーがあるはずだと 記憶を巡らせた結果 「ゆあんくんの死」 がループの引き金となって いるんじゃないだろうか。
しかしこれはあくまで憶測でしかない。
もしもあの日。 あの時。 この金曜日に 俺が学校行かなかったら。 ゆあんくんに会わなかったら。
ゆあんくんは死ななかっただろうか。
それとも俺の知らぬ場所で 知らぬ時に彼は黙って この世を去っただろうか。
何故俺がここまで ゆあんくんの死に関わっているのか そんな事を考えてしまうと やはりゆあんくんの死は 俺のせいなのか…と 不安と己への怒りで溢れかえる。
いつも通り送られてくる ゆあんくんのメッセージを眺めながら 「会いたい」そう呟いていた。
会いたい。
会ってその時の 彼の表情の意味を聞きたい。
いや、聞かなくていい。 知らなくていい。
顔が見たい。 安心したい。
ただそれだけなのに この状況で一番大切で 一番気が付かなければいけない ことに少しも近づいていないような 気がして。そんな自分が憎くて。
俺は生きた心地がしない。
じゃぱぱ
時刻は既に夕方だった。
今日俺は何も出来ないのだ。
こんなにも色んな感情が混ざり 一日中情緒不安定だというのに 家から出ることも出来ない。
自分で決めた事なのに なんだか苦しかった。
開け放つ窓から入ってきた生暖かい風 は俺の頬を掠め通り抜ける。
慰められているようにも 嘲笑っているようにも感じる。 そんな夏の風だった。
何も無い天井を 永遠と何も考えずに眺め続ける事に 慣れ始めた頃だった。
俺の暗い想いには似合わず 高らかなチャイム音が響き渡る。
それに出る母親の声。
「えぇ〜!ありがとねー! 上がって上がって! じゃぱぱの部屋 2階の突き当たりだから!」
俺の友達か?
心当たりがない。
体を起こしベッドからは出ないまま ドアノブをじっと見つめる。
すると足音が近づいてきて やがて扉が開いた。
その隙間から顔を覗かせたのは 思いもよらない人物で 緊張した俺の表情筋が 一気に緩むのを感じた。
ゆあん
じゃぱぱ
学校で預かってきてくれた 俺への書類関係を ゆあんくんから受け取り ベッドに座ってもらった。
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
ゆあんくんの顔を見られたのが 嬉しくて俺は調子の良い事を言う。
「なわけねぇだろ」
という答えが来ると思っていたのに 案外返事が遅くおかしいなと思い 顔を上げると少し考え事を しているような顔をしたゆあんくんが サッと顔を逸らした。
日が長い夏はこの時間でも空が明るく ゆあんくんの顔はよく見えた。
ゆあん
いつも俺に毒吐いてばっかりの ゆあんくんが俺の為に部活休むなんて おかしな話でその事のおかしさに ゆあんくんも今気が付いたのだろう。
急に恥ずかしくなったのか ゆあんくんの白い肌が赤く染っていく。
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
ゆあん
ゆあん
機嫌の良いゆあんくん。 そして彼は俺の家に泊まってくれる 事になった訳だし。
ゆあんくんが今日死ぬ事は無い。
何が何でも今日は死なせない。 トイレまで着いて行く気合いだ。
離れない。 今日は何があっても離れない。
そう決めていたのに。