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目を開けると、白い天井があった。
機械の音がリズムを刻み、どこか遠くで誰かが泣いていた。
私は病院のベッドに横たわっていた。
パジャマは白、腕には点滴の針。
でも、痛くはない。
ここは夢だ。
私はそれを知っていた。
レイ
レイが現れる。
今度は、白衣姿だった。
レイ
病室の壁には、無数のカルテが貼られていた。
どれも私の名前で埋め尽くされている。
《症状:過剰適応》《診断名:自己否定依存》《処方:笑顔・沈黙・我慢》
私はゆっくりとベッドから降りて、壁のカルテを見つめた。
日向
レイ
レイの言葉に、私は黙った。
突然、病院の扉がバタンと開く。
中に入ってきたのは、真っ黒な影だった。
顔はなく、手だけが異様に長い。
影は、私の胸を指差して言った。
私はその声に凍りついた。
どこかで何度も聞いた気がする。
"普通に戻れないなら、黙ってろ"
"壊れてるなら、誰にも見せるな"
ーーそれは、世間の声だった。
日向
私は叫んだ。
レイが驚いたように目を見開く。
日向
すると、影が溶けていく。
まるで、水に流されたインクのように、消えていった。
病室の窓が開き、風が吹き込んだ。
レイは微笑んで、ポケットからメスを取り出した。
レイ
私はうなずいた。
日向