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鵺兎
優斗
鵺兎
真央
鵺兎
鵺兎
鵺兎
放課後の教室は、西日に照らされてオレンジ色に染まっていた。
窓際の席で、優斗は一心にノートへペンを走らせている。
長めの前髪が頬にかかって、ふわっとした毛先が光を受けて柔らかく揺れた。
真央
声をかけると、彼はぱっと顔を上げて、少しきょとんとした目を向けてくる
優斗
真央
そう言って指先でそっと取ってやると、優斗は一瞬固まり、それから小さく笑った
―ずるい。
その笑顔は、蜂蜜を溶かしたみたいに甘くて、俺の胸の奥をじんわりと温める。
優斗
真央
優斗
名前を呼ばれるたび、心臓が忙しく跳ねる。
優斗は気づかないふりをして、またノートに視線を落とす。
でも耳だけがほんのり赤くなっていた。
―この距離感、壊したくない。
けど、もっと欲しくなる。
窓の外、沈む夕日が優斗の横顔を縁取ってやけに綺麗だった。
俺は、ペンを持つ彼の手にそっと触れた。
真央
優斗は不思議そうに瞬きをして、少しだけ、俺の方に身体を傾けた。
まるで、甘いシロップみたいな、そのぬくもりを抱きしめたくなる。