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触れた手を、優斗は少しだけ握り返してきた。
驚いて顔を覗き込むと、彼は下を向いたまま、ペン先でノートの端をくるくると回している。
優斗
真央
優斗
最後の「けど」が、息に紛れて溶けていく。
その声色に、俺の心臓は完全にノックアウトだ。
机の上に置かれた二人の手。
俺はそっとその上に、もう片方の手も重ねた。
小さくて、指先まで温かい。
真央
呼びかけると、ゆっくり顔を上げる。
その瞳が、放課後の光を吸い込んでキラキラしていた。
真央
優斗
真央
優斗は一瞬だけ迷うように視線を泳がせて、それからふっと笑った。
優斗
笑った瞬間、俺はもうどうしようもなく、この笑顔を守りたくなる。
―こんなに甘くて、やわらかいのに、
一度口にしたら、きっともう、離れられなくなる。