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生命税

1 - 生命税

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2020年06月12日

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悠翔

はぁ...

俺は、自問自答する

一体、俺は何をやっているのだろうか

十一年ぶりの休暇をとれたので 今は、数少ない草原に寝転がりながら考える

いつもいつも、同じ作業

それでも、死にたいなんて考えは浮かばず

俺は、何でこんなことになったのだろうか

その原因と思われるものは分かっている

だが、その原因を使って なぜ彼奴等は、あれを続けるのか

異常な執着を見せる 彼奴等みたいには、なりたくないと思いながら

俺はその原因について考える

2048年

隕石がアメリカのテキサス州に落下した

その隕石は微少隕石という程に小さくはなかったが 今までの物と比べると小さかった

そしてその隕石の表面にはある鉱石が付着されており

その鉱石はすぐに研究された

2057年

鉱石の研究は効率よく進んでいった

その結果、分かったことは大まかに4つだ

一つ、この鉱石は人体には害のない放射線を放っており この放射線は、ζ放射線と名付けられた

二つ、この鉱石は自己増殖、いや、自身の複製を生成する

三つ、先ほどの複製能力はζ放射線によるものだと結論づけられ この鉱石はエフティヒアと名付けられた

四つ、エフティヒアを粉末にしたところ、ζ放射線は変化し 人体に有害な放射線に変化するというもの

四つ目はまだ仕組みが解明されていない

研究は続けられる

2078年

アメリカのある研究チームが エフティヒアの研究成果を挙げた

それは正しく革命だった

内容はこうだ

エフティヒアから発せられる有害な放射線、 η放射線と言うが

そのη放射線を植物に浴びせたところ

その植物はエフティヒアの持っていた自己複製能力を得たのだ

これは現在世界の抱えている食料問題の希望であり

その他に地球温暖化などの問題の解決の兆しであった

また、エフティヒアの自己複製能力はζ放射線によるものではなく η放射線によるものだと思われた

研究は続けられる

2098年

エフティヒアの研究は以前変わりなく続けられ また新しく研究成果が挙がった

まず、人間に限らず犬や鳥等の動物には 自己複製能力は与えられず、有害な放射線なだけであること

これは無機物も同様であり このことからエフティヒアは生物なのではという意見も挙がっている

そして、複製はη放射線を浴びずとも自己複製能力を得ていること

二つ目は新たな問題として挙がっていた

複製は新しい複製を生みその複製も新しい複製を生む

これがねずみ算式に増えていくと いつか複製に世界が埋め尽くされるということだ

例えば、植物の場合は燃やしても その燃えかすの複製が生まれるという結果に終わる

しかし、この問題は解決された

それがこの研究の一番の成果であり それは

ζ放射線をある元素に浴びせたところ その元素が崩壊し強いエネルギーを生み出したというものだ

なおその元素以外にも3つの元素が似たような反応を起こした

このエネルギーは複製能力を消す効果が確認されており

これによって先ほどの問題は解決した

また、上記の3つの元素の内一つが発したエネルギーは 人体の生命活動を終わらせる効果が確認されており

このエネルギーと 他二つの元素が発するエネルギーは現在研究中だ

研究は続けられる

2124年

研究の進行は以前良好のままであり また新しく成果が挙がった

それは、前回発表されたエネルギーの研究成果であり 内容はこうだ

一つ、複製能力を消す効果が確認されたエネルギーは エフティヒアには効かなかったこと

二つ、生命活動を止めるエネルギーは 人間以外の生物にも効果があるということ

ここからは前回不明だった二つのエネルギーである

三つ、一つはストレスの解消、また多量の幸福感と全能感を 与える効果をもつエネルギーだと確認されたこと

四つ、もう一つは、普段は多少の清涼感を感じるだけだが η放射線を浴びせたところ、物体の性質を反転させる という効果をもつエネルギーが確認されたこと

この四つ目のエネルギーの研究実験で■■■名の死傷者がでた

そのため、このエネルギーを用いた実験は 政府からの厳正な審査の後 許可証を受け取ってから行うことが義務づけられた

なお、一つ目のエネルギーは、ラディーレン 二つ目は、アイオーニオン 三つ目は、イリスィオ 四つ目は、アナストロフィと名付けられた

研究は続けられる

2187年

ある一人の研究者が とある論文を発表した

その論文の内容は世界に激震を走らせた

それは、人類の長年の夢へ至る方法であった

『不老不死』

方法は、簡潔に説明すると アイオーニオンにη放射線を浴びせ その後、アナストロフィとイリスィオを加えるというものだ

これだけだと簡単に見えるが 問題点は山ほどある

まず、アイオーニオンは生命活動を停止させるため 精密な機械操作が必要になってくる

また、アナストロフィは物体の性質を反転させるが 勿論、この効果は空気や重力にも働く

大まかに物体と言っているが、実際はあらゆる物に作用すると考えて良い

そして、エネルギーを加えるには 時間や、エネルギーの効果範囲を考える必要がある

ざっと三点程挙げたが これだけで無理難題だと分かる

だが、人類がその難題に挑戦する程度には 『不老不死』は魅力的過ぎたのだ

研究は続けられる

2312年

人類は成功した

幾多の犠牲と多大な時間をかけ

様々な問題点を乗り越え

遂に完成された

それが

『不老不死の性質を付与する光』

というものだ

この光を浴びた者は不老不死となり また、30代以上の人が浴びた場合は20代に若返り 未成年が浴びた場合、20代になるまでは成長は止まらない

そして、この光は不老不死の性質を付与することから 光自体も消えず、残り続ける

つまり、薬みたいに消費される物ではないわけであり

2314年

全人類が不老不死を得た

以前変わらず子供は生まれるが

流産や破水などの被害は、光から派生した技術により 起こることは、ほとんどなくなった

まぁ、そんなことは余り重要ではない

重要なのは

全ての国であるものが導入されたことだ

『生命税』

これは、人類が不老不死になることで発生した税であり

100年まで生きた者に課せられる税だ

これは一年の正月に払うことで また一年間生きることができるというものだ

そして、これを払うことができない場合 アイオーニオンによって生命活動を終える

死んだ者の家族には保険金が降りることになっている

不老不死はアイオーニオンによってでしか死なないと確認されており

だから人類は未だに働いている

主に娯楽製品の開発だが、それぐらいしか需要がないのだ

つまるところ

人類は長年の夢を叶えた

無論、不老不死も腹はすくし、眠ろうと思えば眠れる

食べたり、眠らなくても死ぬことはないが 餓死した方が、ましと思える程の苦痛を得る

だが、そんなリスクにすらなり得ない障害なんかより リターンが大きすぎた

戦争は起こらなくなり

皆、笑顔で明日を迎えられている

昔死んだ偉人も 骨などのDNAがあれば、生き返らせたりだってできる

人類は幸せだ

あの日の宇宙からの贈り物は、言葉通り 創られた命と幸せを与えたのだ

しかし

まだ、人類はまだ満足していない

これ以上の幸福を望んでいる

エフティヒアにはまだ何かある

そう人類は考えた

■■■■■年

未だに研究は続けられる

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