16:00
ユウヤ
おっす、ちょっと聞きたいことがあるんだけど
マモル
ん?どうかした?
ユウヤ
タカヒロって覚えてる?
マモル
覚えてるよ。昔よく一緒に遊んでたな…
マモル
でも、なんで?
ユウヤ
なんかさ、ケンジがそのタカヒロからメッセージが届くとか言ってるんだ
マモル
タカヒロは行方不明のままだろ?
マモル
一応死んだことになってるし…
ユウヤ
そうなんだけどさ…
ユウヤ
ケンジはタカヒロからだって信じ込んでるみたいなんだよ
ユウヤ
「俺のこと恨んでる」とか言ってて…マモル、何か知らないか?
マモル
…あいつ、タカヒロがいなくなったのは自分のせいだと思ってるのかも
ユウヤ
どういうこと?
マモル
最後にかくれんぼした日のこと覚えてる?
ユウヤ
…大体覚えてるよ
マモル
その時、タカヒロが隠れた場所なんだけど…
ユウヤ
場所がどうかしたのか?
ユウヤ
結局わかんなかったままじゃん
マモル
いや…あの時遊んでた森…
マモル
あそこに親とかから近付いちゃダメって言われてた社があっただろ?
ユウヤ
ああ…そういえば…
マモル
お前は鬼だったから、知らなかっただろうけど
マモル
実はさ、その社にケンジが無理やりタカヒロを隠れさせたんだ
ユウヤ
は?
マモル
いや、だからなんだって話ではあるよ?
マモル
でも…俺さ、あとでその社について調べたんだ
マモル
そしたら、昔もその社で行方不明になった子供がいたらしいんだよな
ユウヤ
それで近づくなって言われてたのか…
マモル
そうみたいだね
マモル
だからケンジはそのことをまだ気にしてるのかもな…
ユウヤ
そうだったのか
マモル
まあでもタカヒロからメッセージがくるなんてことはありえないし
マモル
どうせスパムかイタズラで、名前はただの偶然だろ
ユウヤ
…そうだよな
マモル
うん。そのうち収まるんじゃない?
マモル
まあ、また何かあったら教えてよ
ユウヤ
ん、わかった。ありがとう
17:00
ケンジ
ユウヤ…いる?
ユウヤ
いるよ
ユウヤ
どうしたんだよ、いきなり返信無くなったから心配したじゃん
ユウヤ
大丈夫か?
ケンジ
またメッセージが来た
ケンジ
…やっぱりこれはあいつからだよ
ユウヤ
そんなわけないだろ
ケンジ
あいつ、まだあそこにいるんだ
ケンジ
あそこで誰かに見つけてもらうのを待ってるんだよ
ユウヤ
タカヒロがいなくなったのは何年前の話だと思ってるんだよ
ユウヤ
いるわけないじゃん
ケンジ
神隠しって時間が経たなくなるとか言うだろ
ケンジ
…お前、あの時鬼だったろ?
ケンジ
タカヒロを見つけてやってくれよ!
ユウヤ
いい加減にしろ!
ユウヤ
お前の妄想に俺を巻き込むなよ!
ケンジ
…ごめん
ケンジ
おかしいこと言ってるよな…俺、どうかしてるんだ…
ユウヤ
……
ユウヤ
…悪い、俺もちょっと言い過ぎた
ユウヤ
…実は俺、知ってたんだ…
ケンジ
?
ケンジ
何をだ?
ユウヤ
お前に言われて、タカヒロがあの社に隠れてたこと
ユウヤ
話してる声が聞こえたんだ
ケンジ
じゃあ、なんですぐに見つけなかったんだ?
ユウヤ
…あの日、タカヒロと喧嘩しちゃっててさ…
ユウヤ
タカヒロなんていなくなればいいって思っちゃって…
ユウヤ
最初に見つけようと思えば見つけられたんだ
ユウヤ
でも意地悪して見つからないふりをしてた…
ケンジ
…ユウヤ、お前…
ユウヤ
ケンジさ、最初タカヒロのこと忘れたのか?って言っただろ?
ケンジ
ああ
ユウヤ
ホントは、忘れてなんかなかったよ。忘れられるわけない…
ユウヤ
ずっと、ずっと後悔してたんだ…
ユウヤ
俺が最初にタカヒロを探しに行ってれば…
ユウヤ
意地悪なんかしなければって…
ケンジ
…そうだったのか
ユウヤ
タカヒロに謝りたかった…
ユウヤ
みーつけたって、意地悪してごめんって言いたかった
ケンジ
…俺も同じだよ
ユウヤ
でも、もう遅いよな
ユウヤ
ごめんな…タカヒロ…
ケンジ
…
ユウヤ
…ん?なんかメッセージが来た…
タカヒロからメッセージが届きました
タカヒロ
もういいよ