誰もいない教室は、 この世界に俺しかいないのではないか、 という錯覚を与える。
でも、そんなことはなく、 外のグラウンドには、 いつも通り練習をする陸上部がいたのだった。
拓斗
やるせない気持ちでいっぱいだ。
こんなことになるなんて思ってもいなかった。
拓斗
これは本当に俺が悪いのか?
そもそも生徒会長が、 怪文書を全クラスに貼るという、 奇行をしたことが一番の原因だろう。
「そんなこと思っていたの?」
声が聞こえた気がして振り返る。
ただの空耳だったようだ。
拓斗
奥出と話がしたい。
ゲームを抜きにして、 ただ会いたいだけなんだ。
俺はもうお前に気があるんだよ。
拓斗
俺が友人としか話していないのは、 こうなる以前からだったな。
拓斗
俺はあのメッセージを思い出した。
俺はあいつの期待に応えなければならない。
拓斗
それだけが心残りだ。
拓斗
正体は分かってるんだ。
しかし、俺が動けば怪しまれる。
拓斗
戻ったら、 もう一度友人と策を練り直すか。
一方、拓斗の友人は生徒会室にいた。
友人
奥出
友人
今日の生徒会は休み。
生徒会室では奥出早紀と拓斗の友人が、 ババ抜きをしているだけだった。
奥出
友人
奥出
淡々とゲームは続いていく。
ふと、二人の手は止まる。
友人
奥出
友人
奥出のカードは残り二枚、 対して友人は残り一枚。
奥出
友人
奥出
友人の引いたカードはハートのエース。
奥出の手元にはジョーカーだけが残った。
友人
奥出
友人
二人はカードを並べながら、 また会話を始める。
奥出
友人
奥出
奥出は友人のことを、 もちろんのこと把握していた。
友人
奥出
友人
ゲームはいつの間にか、 後半戦に突入していた。
奥出
友人
奥出
結局残りの二十枚を全て引き終えた友人は、 奥出に圧倒的な差をつけて勝利してしまった。
友人
奥出
友人
その後のゲームも全て、 奥出が勝つことはなかった。
俺がトイレから戻ってくると、 俺のカバンを漁る怪しい人物がいた。
拓斗
後輩
それは生徒会書記の、 あの女子生徒だった。
拓斗
後輩
拓斗
のこのこと現れるなんて、 相当余裕みたいだな。
後輩
拓斗
後輩
拓斗
生徒会長には及ばないとしても、 この子も頭の良い生徒会の人間だ。
後輩
拓斗
ものすごい剣幕で睨んでいる。
俺は余裕の笑みを浮かべているつもりだが、 正直怖すぎて膝から崩れそうだ。
後輩
拓斗
後輩
拓斗
別にばかだからモテないんじゃない、 俺に惹かれる女子がいないだけだ。
後輩
拓斗
後輩
どれだけ俺をばかにしたら気が済むんだ。
生徒会がなんだ、 そんなに偉いのか。
拓斗
後輩
拓斗
後輩
こいつには何を言っても無駄だ。
まるで神でも崇拝するかのように奥出を見ている。
そんな考え、 俺がぶっ潰してやる。
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