テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⭐️
100
明日はいよいよ、ドラマ最大のハイライト――『キスシーン』の撮影日だった。 ロケ地の都合で、今夜は主演の2人だけが同じビジネスホテルに泊まることになっていた。 自分の部屋のベッドに座り、仁人は文字通り頭を抱えていた。 (勇斗はいいよな。あいつは器用だから、何でも仕事としてこなせちゃうんだ。俺だけが、あいつの体温とか、目線とかに……本気で振り回されて……) 胸の奥が苦しい。その時――。 ピンポーン、とホテルの部屋のチャイムが静かに鳴った。 ドアを開けた仁人は、その場に凍りついた。そこに立っていたのは、スウェット姿で片手に自分の台本を持った、勇斗だった。
勇斗はいつもの軽いノリで、呆然とする仁人の脇をすり抜けて部屋に侵入した。そのままベッドの端に腰掛け、台本をパラパラとめくる。
勇斗
仁人
勇斗
勇斗はいつもと変わらない、どこか悪戯っぽい笑みを浮かべてくる。 その態度が、今の仁人にとっては致命傷だった。 これまで必死に抑え込んできた感情のダムが、音を立てて決壊した。
仁人
最後にぽつりと溢れた声は、情けないほど震えていた。 部屋を沈黙が支配する。やってしまった、と仁人が後悔した瞬間、勇斗の大きな両手が仁人の両肩をがっしりと掴んだ。
仁人
勇斗
勇斗の声は、低くて、少し掠れていて、驚くほど真剣な響きだった。
勇斗
仁人の頭の中で処理しきれない。
勇斗
至近距離で見つめ合う2人。 勇斗の瞳の奥にある熱が、嘘偽りのない本物だと気づいた瞬間、仁人の心臓は今まで経験したことがないほど激しく跳ね上がった。
勇斗
勇斗の顔が、ゆっくりと近づいてくる。仁人は小さく息を呑み――今度は、後ろに下がらなかった。 ただ、じっと目を閉じる。その瞬間、唇に柔らかい熱が触れた。ほんの一瞬、触れるだけの、驚くほど優しくて不器用なキス。それでも、勇斗の手から伝わる微かな震えが、彼の言葉がすべて本物であることを物語っていた。
勇斗
仁人
コメント
1件
あああああ第5話やばすぎた!!😭💕💕 仁人が全部吐露するシーン、まじで胸が締め付けられたよ…「もう限界なんだよ」の震え声とか、勇斗の「全部本気」告白とか、読んでてこっちまで息できなくなった!しかも練習って名目で部屋に来るとかずるすぎるでしょ勇斗!!でも最後の不器用なキスで全部帳消しにしてくるところ、まじでズルい、最高、ありがとう…✨ 次回どうなるの?!もっと見たい!!ゆゆさん天才!!!