金髪ギャルと牛島若利

今日は東京出発

集合場所白鳥沢の校門に来た

うーんさすが強豪人もよう沢山くるな

集団で騒いでるグループも在れば1人でもじもじしている人もいる

私も誰か誘えば…

誘う相手もいないしなあ

点呼をしている

強豪校らしい立ち振る舞いだ

バレー部一同がバスに乗ろうとしている

若利がこっちに視線を流した

若利がバスの乗降口からひょこっと顔を出し

そう言い残しバスに乗ってた

周りがあたしを一斉に見る

「ねえ今の誰？」

「なに声かけられちゃって」

「なんかあの子前バレー部と仲良くしてた子じゃない」

「白布くんが連れ去った子もあの子じゃん」

「男引っ掛けてるんじゃない、対して可愛くもないくせに」

初日早々目をつけられてしまった

応援団たちもバスに乗り学園を後にした

後は4時間いや3時間…まあどうでもいいや、の旅

寝ようかなぁ

本は読みたくないし

いや読めない

しゃあない寝よ

でも周りうっせえなぁ

寝たり起きたりを繰り返して時をたつのを待った

瞼が小さく震えゆっくりと目が開く

あ、れ。あたし寝てたんだ

てかもう着くな

準備しよ

バスへ降り伸びをすると辺りは暗かった

ここが東京かー

東京の空気は汚くも綺麗でもなかった

数分歩いて宿に着いた

部屋はあたし1人だけだった

ラッキーだ

階段を降りていると

ズルっ

踏み外してしまった

あーキョロキョロしてた自分が悪いじゃん

どんどん体の重心は前へ倒れていく

ガシッと手を掴まれ体が安定した

た、助かった…

ダダダッと階段を降り

水を買い廊下でうずくまった

買った水で熱い顔を冷やした

中学の頃の山形隼人じゃなかった

小声でぽつんと呟いた

こうしているやりとりを見てしまった者がいる

天童覚だった