腐 男 子 日 記

これは幼稚園の時の話｡

当時俺には好きな人がいた。

俺の初恋は5歳の時

「ユウくん」が好きだった。

ユウくんはみんなに優しかったし、

器用だったし、

運動神経も抜群だった。

運動会ではリレーのアンカーに選ばれてたし

お遊戯会では王子様役をやってた。

確か劇は白雪姫だった。

俺も王子様役だったけど少し抵抗があった。

「王子様と王子様は結婚出来ない」

それが決まりだから。

ただの劇だったけど抵抗があった。

俺は幼いながらに疑問を持った。

「男の子同士で幸せになれないのか」

お母さんが観てたドラマを覗いて見ても男女

女子達の恋バナも聞こえたけど男子について

もちろんユウくんが好きなのも女子。

そうして卒園式に告白しようと思ってたけど恥ずかしくてやめた｡

小学校に入学したての時は告白しなかった事を引きずってた｡

でも数ヶ月には告白しなくて正解だと思えた｡

俺は周りと違う事が分かったから。

「男が男を好きになるのは変」

そう自分に言い聞かせて諦めた。

友達の恋バナを聞くのも憂鬱だった

「アイツ可愛い」

とか言うのは女子の事だし

「涼太は誰が好き？」

っていう質問も

「特にいない」で押し通してたし。

「強いて言ったら？」って質問も死ぬほど嫌いだった。

3年の時の休み時間中の話で

「同性が好きな人っておかしい」

みたいな話になって、

俺は頑張ってその場にいたけど

嫌になって1人で下校した｡

家に帰ったら溜め込んでた感情が涙になって溢れた。

「変」

その言葉が脳をよぎってなかなか言えなかった。

「変じゃないよ」

今でもその言葉が支えになってる。

6年の最後の方でBL漫画を初めて買った。

中学生になってからはそういう事も知って、お母さんの言ってた事、

BL漫画でもあるように

「本当なんだな」

って再確認できた。

「俺もいつか幸せになれる」

そう思えるようになった。

だから少し世界が広く見えた。

そこからまたBLにどっぷりハマって今に至る。

お母さんの言葉がなかったら

俺があの時相談してなかったら

腐男子になってなかったし、

このまま高校生活ぼっちだったかもしれないし、

翔太とも出会えなかった。

結婚まではまだ程遠いかもしれない

でも夢に1歩近づけた。

いつか夢が叶う日が━━━

涼太が言ってた「昔の事」

そういえば…

俺の恋愛対象は男。

いわゆる「同性愛者」。

5歳の時好きだったヤツがいた。

名前は「ツバサ」だった。

ツバサはとにかく可愛かった。

シャイで思いやりがあって、

大人しめな子だったけど仲が良かった。

俺に話しかける時は「翔太くん！」

って呼んでくれた。

俺の中で初めて「可愛い」

って感情が芽生えた。

友達でよく遊んでて、

「ずっと仲良しでいようね！」

って言われたけど、俺は本気で

「好き」だった。

そして家に帰ると

「ツバサが好き」

って話を親にしたら

笑顔で毎日話を聞いてくれた｡

小学校に入学して、ツバサも同じ学校で、

ずっと仲が良かったけど

ツバサは小4で転校した。

確か関西の方だった気がする。

ここは東京だから多分戻ってくることはないし、

俺が関西に行くことも無い。

もう会えないツバサの事を考えて泣きながら下校してた。

そして高1でまた

「可愛い」

って思えるヤツに出会えた。

それが彼女の涼太。

ちょっと前まで嫌がってたけど

少し経ったら俺の前でよく照れるようになって

そして一昨日告白してくれた。

本当に嬉しかった。

俺にとっては結婚がゴール。

まだ遠いかもしれないけど、

ワンステップ踏めた気がする。

なんか申し訳ないから控えめに言ったんだけど…

ｷﾞｭｯ

やっぱ翔太と出会えて良かった

自分の事を大切にしてくれる人がいて良かった

当たり前だけどユウくんの時よりもドキドキしてる。

大好きだよ、翔太