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灯りの消えた部屋で、二人同じ布団に横たわる。背を向けて、互いの顔を見ないようにしているのは意図的だ。少し時間が立ったのち、清一郎さんはこちらを向いて問いかけた。

清一郎

柘榴さんは…僕を殺さないの?

柘榴

え…?

清一郎

だって、殺すのが目的でしょ?絶好の機会だと思うけれど

柘榴

はい…でも、私にはできません…

清一郎

ごめんね。こんなこと聞いて

柘榴

別に大丈夫です

清一郎

でも、君に殺されるならいいかなって思っちゃって、つい

柘榴

え?そんな…冗談がお上手で

清一郎

冗談じゃないよ?

私がその言葉に振り向く。彼と目が会った。そのとたん、彼は破顔する。その笑みはとても美しかった。それから一か月間、毎日清一郎さんと話をした。清一郎さんは昼から来るので、それまでの時間が待ち遠しく、それでいてたまらなく幸せだった。今日も布団に入って一緒に眠る。布団に入ってから、今日は珍しく彼が話しかけてきた。

清一郎

ねえ柘榴さん。これ、受け取ってくれる?

柘榴

?はい

私は手を差し出した。すると手のひらに何やらずっしりとしたものが置かれた。それを見ると、短刀だ。

柘榴

これって…

清一郎

僕からの贈り物。あ、敵意があるとかじゃなくて…柘榴さんを守りたいっていう意味だから安心して?受けとってくれると嬉しいな

柘榴

…!はい!もちろん…!大切にしますね

清一郎

ありがとう

私はそのまま、短刀を抱きしめながら眠った。

それから一周間後、私はお父様に呼び出された。

柘榴

参りました

お父様

まだ殺せていないのか?

柘榴

はい。申し訳ございません

お父様

何時になったら殺せるんだ!お前にせっかく機会を与えてやったと言うのに無駄にするつもりか!

柘榴

いえ、決してそういうわけではございません

お父様

じゃあどうなんだ

柘榴

来月にはきっと殺します

お父様

その言葉に嘘はないな?あれば、お前を殺す

柘榴

……はい

そう言われたが、お父様は我慢ならなかったようで一周間後には清一郎さんを殺す計画が建てられていた。

あれから一週間。今日清一郎さんは殺される。私は、清一郎さんに逃げる計画を話した。刺客が来るのを二人で待った。来たならば、私が殺すと決めて。すると案の定来たので、後頭部を蹴って気絶させた。

柘榴

清一郎さん、逃げてください!

清一郎

でも、柘榴さんは?

柘榴

私は…まだやる事があるので

そう言って、清一郎さんを先に逃がして私は両親の部屋へと向かった。殺すために……。

柘榴

申し訳ございません。相手をを逃がしました

お父様

何をしているんだ

お母様

お前なんて要らないわ。この役立たずが

柘榴

…そうでございますか

お母様

ええ、早く消えてくれる?

お父様

早く出ていけ

柘榴

かしこまりました。ですが、貴女が消えてください!

清一郎

柘榴さん!

私がそう言ってお父様に短刀を振り下ろすのと、私の横に清一郎さんが飛び出してくるのとは同時だった。刹那、辺りに血が飛び散る。そう、清一郎さんは私がお父様の護衛に殺されるのを助けようとして自分が犠牲になることを選んだのだ。そして私は清一郎さんのほうを向くが、護衛に斬りつけられ力なく倒れた。人はこんなにも簡単に死ぬのだと知った。

柘榴

清一郎さんっ…!

清一郎

柘榴さん…?

彼はそれを最後に死んだ。私の中で何かがうごめく。これが怒りだろうか、腸が煮えくり返りそうだ。

柘榴

………

お母様

きゃあっ

お父様

ぐっ…

私は感情のままに両親を殺し、屋敷に火を放った。見つかってはいけないと思い、山に逃げる。そのままずっと燃え盛る屋敷を見ていた。炎が消えるまでずっと。

私は、そのまま山で暮らした。洞窟もあり、水場もある。沢山の食べられる植物もあり、猪や鹿もいる。はっきり言って、恵まれた環境だった。だが、不思議なことが起こった。体が成長しなくなり、身体能力が飛躍的に上がった。一度、山を降りて町を見に行った。

柘榴

あら、ここはどこでしょうか

服の劣化もなぜか起こっていなかったので、そのまま向かった。この服装だと、下級武士の娘ぐらいにはなるだろう。なので、口調は少し上品にする。だが、迷子になってしまった。

武士の人

そこのお嬢さん。こんな夜更けに一人は危ないですよ

柘榴

実は道に迷ってしまいまして…帰れなくて困っているのです

武士の人

でしたら、私の馬に乗っていきますか?

柘榴

いいのですか?ありがとうございます…!

私は感謝を告げ、馬に乗せてもらう。

武士の人

して、家はどこなのですか?

柘榴

えっと、愛宕山…でしたと思います

武士の人

愛宕山…?そんなところに住んでいるのですか?見たところ武士の娘だと思うのですが

柘榴

はい。そうなのですが、私は武家屋敷のほうではなく別邸に住んでいますので

武士の人

そうですか。ではお送りいたしますね

柘榴

ありがとうございます

武士の人は優しく愛宕山まで送ってくれると言う。お礼に何か渡そう。この間取れた見事な猪でいいだろう。

武士の人

着きましたよ

柘榴

送ってくださりありがとうございます。…お礼がしたいので来ていただけますか?

武士の人

……っ!

私がそう言って、彼の腕をつかむ。だが、力が強すぎたのか低いうめき声が上がった。するといきなりつかみ返してきて、刀で右腕を切り落とされた。

柘榴

……!?

武士の人

貴様、何者だ

柘榴

私は下級武士の娘ですけれども…。何か不審な点でも?

武士の人

腕を切り落とされて悲鳴を上げない者などいない。……さては鬼か?

柘榴

鬼……?それは身体能力が高く、老いない者なのですか?

武士の人

そうだ。だからどうした?

柘榴

でしたら、そうかもしれませんね

そう言うと、武士の人は後退る。だが、運が悪く山の崖から転落してしまった。落ちた音が聞こえ、見てみるが死んだわけではなさそうだ。私はあまり人里に出ないほうがいいらしい。

柘榴

良かった…死んでいなくて

その後、私は何とか右腕を取り返すことができた。

柘榴

私は、出会う人を不幸にするのかもね…それにしても、鬼か

あれから一年経ったが、やっぱり背は変わらない。髪もこれ以上は伸びないだろう。急激な変化は、他にもあった。取り返した腕が、元通りにくっついたのだ。それ以来、物を好きに動かせるようになった。押しつぶしたり、膨らませたり。上下左右好きな場所に置くこともできた。

柘榴

もう私は鬼になったのかな

そうなのかもしれないわね

柘榴

誰ですか?

四天王が突然ブラック本丸の審神者をやることになりました

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コメント

2

ユーザー

続きを楽しみに待っています 体調に気をつけて頑張ってください これからも応援してます

ユーザー

続きが楽しみです

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