テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#シンママ
沙華やや子
586
183
玉葱三太郎
448
116
皐月は相変わらず興味津々という表情で瞳を輝かせ「凄くイイ感じのお店~」と、椅子に座ってからもキョロキョロしている。
羽矢斗はグループのテーブルの端っこに座っていた。
少しだけ離れてはいるが、結莉の真隣だ。
羽矢斗も結莉にすぐ気づき、ビックリした顔をしている。
結莉
結莉
結莉
でもでも、結莉は、羽矢斗が自分以外の女性と一緒に食事をしていることに……
正直言って嫉妬した。
皐月
ロマンチックな照明器具など、店内の装飾にくぎ付けになっていた皐月が、結莉のほうへ向き直し言った。
結莉
皐月
結莉
皐月
さっそくメニューをめくり始める皐月。
結莉の耳はいつもの100倍の大きさとなり、そばだてている。
もちろん隣のテーブルに、だ。
羽矢斗は皐月がいる手前、結莉に声を掛けられないのだろう。
皐月
結莉はメニューを開いたまんま、お料理の写真なんて目に入って来ない状態だった。
結莉
ヤキモチから、羽矢斗に対しすねている結莉はわざと大き目の声で言う。
羽矢斗がファーストデートでおすすめしてくれたお料理の名前を、羽矢斗に聴こえるように言ったのだ。
すぐさま店員に向かって手を上げる結莉。お料理をオーダーした。
皐月
結莉
皐月
隣のテーブルから笑い声がし、ある女性が話し始めた。
女性リスナー
結莉
結莉は
結莉
と思い始める……。
するとグループ内の他の男性が即座に
男性リスナー
と言った。
結莉
サトル
他の男性が……羽矢斗に向かって『ジャンくん』って言った!
頭の中が真っ白になる結莉。
結莉
パニックを起こしそうな結莉。
結莉は
結莉
と自身に言い聞かせた。
皐月には隣のテーブルの会話が聴こえていなかったらしい。
皐月
結莉
結莉は羽矢斗(ジャンくんと呼ばれている人)と目を合わせないようにした。 皐月のために。
早く羽矢斗と話したい、
真相を知りたい結莉であるが、今日は日曜日。
この後もずっと皐月と一緒なので電話も出来ない。
結莉は、ナポリタンのお味がこの間と違って感じられた。というか、味がよくわかんなかった。
『“ジャンくん”と呼ばれた羽矢斗』のことで頭の中がいっぱい。
結莉
あれこれ思いつつ言葉少なに食事する結莉。
皐月
お隣からの大きな笑い声とおしゃべりが皐月の耳にも届いたらしい。
女性リスナー
とかなんとか、女性リスナーらしき人が言ったのを聞きつけたのだ。
皐月
と小声で皐月。
結莉
皐月
同じく小声の皐月だ。
結莉
皐月も幼い子どもではない。
顔バレしていない母親が、わざわざここで挨拶するのも躊躇するのだろう、と悟っているらしい。
なんとな~く、皐月のテンションも下がり、親子はデザートはよそで食べることにし『ローザ・フェルグ』を跡にした。
結莉が立ち上がると、チラリと羽矢斗が結莉を見た。
なんとなく結莉は素直になれず、そっぽを向いた。
皐月とともにレジの所へ行く結莉を目で追う羽矢斗。
結莉はその強い視線をとても感じていた。わかっていた。
でも……
結莉
などと浮かんだり
結莉
などという制御の効かないヤキモチ……などで、結莉は頭の中がパニック。
でもやっぱり大好きな羽矢斗が気になって、チラッとまた見た。
ずっと羽矢斗は結莉のことを心配そうに見ていた。
皐月
皐月は母の困惑しているような様子から、なにか母・結莉に声をかけたほうが良いと判断したのだろう。
結莉
皐月
兎に角結莉は落ち着きたかった。
駅ナカの喫茶店へ行こうと決まり、皐月と歩いていると、少し過呼吸気味になって来た。
皐月
結莉
結莉は立ち止まり、まずは体の中の空気を吐き出してから、ゆっくりと腹式呼吸を始めた。
結莉
そう思いながら。
皐月は母親を心配そうに見守っていた。
結莉
皐月
それもそうだな、と結莉は思った。
『デザートを食べる』と皐月と約束していたから、なにがなんでも行かなきゃならないような気分になってしまっていた。
そういう性質も結莉の心の病に大いにかかわっている部分だ。
母と娘はゆっくりと駅のホームへ向かった。
駅に着く頃にはすでに、結莉がなりかけていた過呼吸の兆候はおさまっていた。
結莉は今すぐ泣きたい。
いや、泣きつきたい! 羽矢斗の胸に!
結莉
結莉
結莉
結莉
結莉
コメント
1件
うわあ、この展開は心臓に悪い…! 結莉が皐月の誕生日を祝うために行ったレストランで、まさか羽矢斗が「ジャンくん」と呼ばれてるのを聞いちゃうなんて。しかもオフ会の真っ最中。頭が真っ白になる気持ち、すごく伝わってきました。それでも皐月の前では平静を保とうとして、過呼吸になりかけながらも娘を優先する結莉の母親としての強さに胸が熱くなりました。でも最後の「泣きつきたい」には感情が溢れますね…。次が気になりすぎます!