翠
そして、龍斗の姿をした何かは玄関のドアを強く叩き始めた。
ドンドン!!ドンドン!!
龍斗?
翠
龍斗?
私も懸命にドアを抑える。しかし女の握力などたかが知れていて。
抑えてもあまり意味が無かった。それぐらいに強く叩いてくる。
ドンドン!!ドンドン!!
翠
龍斗?
翠
龍斗?
翠
翠
龍斗?
龍斗?
翠
さっきよりもっと強く叩かれて、ドアが壊れそうになっていた。
翠
思わず彼の名前を呼ぶ。しかし、返事などあるわけ無かった。
ドンドン!!ドンドン!!
ドンドン!!バキィ!!
大きな音を立てて、遂にドアが壊されてしまった。
翠
龍斗?
私は、咄嗟に台所の包丁を手に取る。
そして、その包丁を彼に突き付けた。
翠
しかし、何と脅そうが奴は平然としていた。
龍斗?
龍斗?
翠
包丁を持つ手が震える。それを見て、彼は笑っていた。
龍斗?
翠
そして彼は近付いてくる。
翠
彼は包丁を突き付けても、平然として語り始めた。
龍斗?
翠
龍斗?
翠
幼なじみである奈央の名前が出て、動揺を隠せない。
それに、操った。...ならば、奈央はとっくに敵側になっている。
皆で無事に脱出などと、そんな事など到底奇跡でもない限り出来ない。
そんな現実に、絶望と2人を早く助けられなかった後悔が襲ってきた。
龍斗?
人間は便利。それはまるで、2人を侮辱するかのように聞こえた。
ふつふつと怒りが込み上げてくる。2人は、決して侮辱され無くてもいいはずなのに。
翠
龍斗?
翠
怒りに任せて包丁を握り走って彼に突撃する。
龍斗?
だが、寸前の所で避けられる。
翠
龍斗?
翠
翠
怒りのあまり、包丁を振るう方角がバラバラになっていた。
龍斗?
龍斗?
そして、奴がこちらにいきなり接近してきた。
翠
いきなりの奴からの攻撃に、防戦一方となってしまう。
龍斗?
翠
彼は、昔から運動神経はとても良い方だった。
だから、私の攻撃も避けられるし、私の弱点も分かっている。
接近戦を得意とする龍斗にとって、主に遠距離戦を得意とする私はかなり不利だった。
それでも何とか、龍斗の攻撃についてきている。
だが、彼が手加減しているのはすぐに分かった。
龍斗?
翠
私は、奴の腹部に全力の蹴りを入れる。
龍斗?
奴がダメージを食らっている間に、なるべく距離をとった。
そして、呼吸を整える。
翠
龍斗?
そしてすぐに奴が立ち上がる。
私は、いつでも攻撃に対処出来るように臨戦態勢で構えた。
龍斗?
奴は、口の端についていた血を拭いながら笑った。
翠
龍斗?
翠
龍斗?
そして、幼なじみ同士の戦いが始まろうとしていた。
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