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新しい物語楽しみです!
わからなかった
ここが何処で、
自分が何をしていたのかさえも
『 帰らなきゃ 』
彼女の本心はそう語っている
でも、どこへ ...___?
帰る場所などあるのだろうか
彼女はこの状況にどうしていいか分からず
力なく地面に座り込んだ
前は ぼんやり ともった提灯の灯りが漏れ、淡い光を放っている
その明るさに絶望を感じ、彼女は俯いた
もしかしたら、二度と帰れないんじゃないか
そんなことが頭によぎる
なんとも言えない侘しさから、手の甲に
ぽつり。
小さな小さな涙が一滴零れた
『 ジャリッ....... 』
ふいに乾いた音が路地裏内に響く
彼女は最後ともいえる力を振り絞り
震える手を握りしめ、ゆっくり前を向いた
淡い光の逆光で、
姿こそ見えなかったが
背の高い男性が1人、ゆっくりと、確かにこちらに向かって歩いてくる
彼女は逃げもせず、唇をかみしめてその男性を見つめていた
『 ジャリッ......ジャリッ...! 』
だんだんと近づいてくる足音
『 ス トンッ..... 』
遂に目の前で止まり、男性はしゃがんで視線を合わせた
彼女にはもう、恐怖すら感じなくなった
???
口元を狐のお面で隠した男性は
しばらくの間、じっと黙って彼女を見つめているだけ
ほんの少し紫がかった奇麗な目に
今にも吸い込まれそうだった
???
少し高くて綺麗な声
初めて聞いたはずなのに 、
???
その声に懐かしさを感じていた__