楓
楓
もう ここで終わりなんだ
私…死ぬんだ
楓
諸刃
楓
ザンッ!!!
諸刃が 夜空から降ってきたのかと 錯覚した
彼が 獲物を狩る獣のように素早く…
刀を振り翳して 妖を斬ったからだ
真っ黒だった私の視界は開けて
明るい星々が見える
楓
楓
あの妖…死んで無い!
諸刃
諸刃
死にはしない
楓
諸刃
楓
楓
諸刃
諸刃は強かった
軽々と飛び上がり
妖を斬る
抵抗する妖は
諸刃を捕まえようと 手足を伸ばす
それすら ひらりと避けて
避けた後に 目に見えぬ速さで斬った
楓
何度も立ち上がる妖に
諸刃は顔色一つ変えずに 応戦する
ただひたすら…
それの繰り返し
楓
流石に 諸刃の息が上がっていく…
見ているだけで ハラハラする
一筋の汗を流しながら
避けて、飛び跳ねて、斬る
諸刃は動く事を止めない
楓
楓
楓
願いが通じたのか
妖の動きが 段々と鈍くなった
その内に 立ち上がれなくなり
最後には
楓
灰のように粉になって消えた
楓
諸刃
楓
諸刃
楓
諸刃
楓
諸刃の左手の手首が
黒く変色していた
昨日の夕に見た時は
そこまで黒くは無かった
楓
諸刃
諸刃
楓
諸刃
楓
水を飲まないと…
楓
諸刃
楓
本当にもう大丈夫なの?
諸刃
楓
諸刃
水を汲んで来てくれたから、
体力が戻った
楓
諸刃
この先で山を降りろ
楓
諸刃
新しい地へ向かう
楓
楓
楓
諸刃
諸刃
どうして妖になるか
楓
諸刃
楓
諸刃
ありとあらゆる場所に
神はいる
諸刃
全ての神に感謝して、
崇めた
諸刃
時は流れて
諸刃
神の存在も忘れて行った
楓
諸刃
信じる人が居るからこそ
存在する
諸刃
自我は無くなり
諸刃
楓
諸刃
諸刃
楓
楓
諸刃
家族は?
楓
でも、まだ若くて…
楓
諸刃
名前が無い
諸刃
諸刃
神が人に化ける時は
諸刃
諸刃
楓
諸刃
なりたくは無い
諸刃
寂しいんだ
楓
楓
父と母を殺した
諸刃
諸刃
俺が妖を殺している
諸刃
間に合わなかった
諸刃
楓
楓
楓
諸刃
楓
楓
諸刃
諸刃
罰が与えられる
楓
黒い皮膚?
諸刃
諸刃
もうほとんど使えない
楓
楓
妖退治を続ければ
楓
諸刃
楓
諸刃は無言で微笑んだ
彼の微笑む顔を 私は初めて見た
優しく…切ない… ひだまりみたいな笑顔
楓
そうだ 諸刃は優しいんだ
あの家から 出て行けと言ったのも
私を妖から守る為
夕飯をいらないと 言ったのも
お腹を空かせた 私のため
楓
諸刃
楓
諸刃
楓
楓
助けてくれたの
諸刃
楓
楓
諸刃
楓
諸刃
土の神だったらしい
諸刃
疫病が流行り…
諸刃
楓
ずっと一人で
あの村に?
諸刃
楓
諸刃
諸刃
楓
諸刃
楓
諸刃
寂しく無かったろう
諸刃
こうなっていた
楓
諸刃
早く山を降りて
楓
諸刃
楓
優しいね
諸刃
楓
楓
諸刃
楓
おじいさんが
妖にならないように
楓
楓
寂しいよね…
諸刃
もう行け
楓
諸刃
楓
楓
楓
楓
諸刃
楓
つづく