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美和side 医務室。 新卒でトレーナーとして 働き始めてから約2ヶ月。 やっと仕事に慣れてきたけど まだ分からないことだらけ。 今だってそう。 目の前にいるのは従兄の 井上広大。 どうやらボールを投げた瞬間に 爪が割れたらしい。 見ただけでほんとに痛々しい。

美和

でも良かったね。あともう少し割れてたら病院行きやったよ。

井上

そんな怖いこと言わんとってよw

美和

事実やから

井上

とりあえず応急処置ありがと〜練習戻るわ〜

美和

素振りやりすぎたら病院やからね。圧できるだけかけんといてな。

井上

はーい。

そそくさとどこかへ行ってしまった。 今日の仕事を早く終わらせ トレーニングで使う道具の 整理をしようと思い 仕事に取り掛かって 1時間後。また新たな来客が やってきた。

森下

姉ー

美和

あの、年下なんですけど。

森下

まぁいいじゃん。

美和

あの、なんかありました?どっか怪我したとか。

森下

そうじゃなくって、右京がさ朝からなんかおかしいの。怪我じゃないと思うけどちょっと話聞いてやって。

美和

あ、わかりました。今どこにいるか分かります?

森下

たぶんロッカー室の前の廊下にいると思う。もしそこにおらんかったら関係者の出入口におるかも。

美和

わかりました。

森下

仕事中にごめんね〜

美和

いいですよ✌️

森下

はーい。

美和

あ、ちょっと伝言いいっすか?

森下

なに?

美和

井上広大に言っといて欲しいんですけど…

森下

うん?なんか怖い感じがする。

美和

試合開始までに髭剃って来いって言っといてください。

森下

さっきここにいたんじゃ………

美和

言い忘れたんですよね………

森下

わかった。とりあえず美和ちゃんキレてたって言っとくわ。

美和

そこまで怒ってないっすよw

森下

いや、そこまで言わんとやらないかも。

美和

たしかにそうか……んじゃお願いします🙏

森下

右京もよろしくな。

美和

はい。

机の上を整理して 前川さんを探しに廊下へ出た。 不安が残ったまま試合に出て 悪い成績が着いてしまったら 余計に落ち込んで引きずっしまう。 そう思い足早に向かった。

ロッカー室の廊下にいなかったから 関係者出入口に向かった。 周囲を見渡すと少し離れたところに ちょっとした段差に座って なにか考えている様子。 話しかけようか迷っていると 私の存在に気づいたのか 話しかけられた。

前川

どうしたん?

美和

いや、森下くんが朝から様子がおかしいって言ってたんで…………

前川

多分これが原因だと思う。

美和

何がですか?

ポケットから取り出されたのは 錆びた鍵だった。

美和

それってどこの鍵…?

前川

わかんない。けどね、これ見っけた時にこれも一緒に見つけてさ。

説明書みたいなやつを 差し出してくれた。 現代っぽい書き方をしている。 けど肝心な鍵の使い道が 書かれていない。 ていうか字が滲んで見えない。

美和

これどこで見つけたんですか?

前川

この間っていうか1月の時に初詣で美和ちゃんの神社に行ったんよ。その時に落ちてた。

美和

どこら辺です?

前川

お賽銭箱のすぐそば。美和ちゃんに渡しとこうと思ってたんだけど忘れてて。今朝机の引き出し開けたら拾った鍵があったから今日渡しとくわ。

美和

すいませんわざわざ💦

前川

お家鍵失くしたとか言ってなかった?

美和

そんな話全然聞いてないんですよ💦両親も家でちょっとした段差でつまづいて骨折して入院してますし、お兄ちゃんだって仕事があるから………

前川

お兄ちゃん仕事何してるの?

美和

ああ、神主の仕事しながらオリックスでトレーナーしてますね。私みたいな感じで。

前川

兄妹揃ってトレーナーか。

美和

うちのトレーニング法をしつこく聞いてくるんでめんどくさいですよw

前川

喧嘩?

美和

会う度です。

いつの間にかくだらない話になり 2人で笑ってると電話がかかってきた。

美和

誰だろ…

前川

とりあえず出てみたら?

美和

そうしますね…

通話ボタンを押すと お兄ちゃんの大きな声が 飛び込んできた。

美和

うるさ…

智樹

『あ、ごめん。今仕事中?』

美和

うん。けど、ちょっと休憩してる。

智樹

『ならいいわ。ちょっと聞きたいことあんねんけど。』

美和

なに?

智樹

『さっきねまめとあずきと散歩してたらさ、本堂の裏にけもの道みたいなのがあってね。』

美和

うん。

智樹

『気になって登ってみたら小屋みたいなのがあってさ、開けようとしたら鍵かかってたんやけど鍵の居場所知らない?』

美和

鍵?

智樹

『うん。』

美和

んじゃこれ?この鍵の正体。

前川

そうやな…

智樹

『右京くんいんの?』

前川

最初から聞いてた。

美和

次そっち行く時持ってくね。

智樹

『はーい。』

そう返事を返された瞬間に 通話切られた。 とりあえず次の休みの日に 実家へ行こうと思い 前川さんとグランドに向かった

数日後 仕事がお休みの日に 実家へやってきた。 数日って言ってもお兄ちゃんの 連絡から1週間と少し立つんだけど…

美和

どこ?

智樹

ここの山道登ってったらある。

前川

行ってみようよ。

井上

なんか宝探しみたいで面白そう。

智樹

怪我したらどうすんの💦

美和

これからの選手生活に支障が出てしまう💦

小屋みたいなとこがあるって 話したら気になって見てみたいと 着いてきた選手2人。 もし捻挫とかされたら 絶対二軍落ちにされる… やめといたほうがいいんじゃないって 言ったけど『大丈夫や』の 一点張り。 一応救急箱持ってきた。 しばらく歩いていくと 少し開けた場所に着いた。

井上

あ、あれ?言ってたヤツ。

智樹

そう。美和鍵。

美和

私鍵じゃない。

智樹

とりあえず開けて。

美和

うん。

とりあえず鍵を使ってみた。 謎の鍵はこの小屋のものだったらしく 錆びて開けにくかったけど 無事に開けることが出来た。

前川

何が入ってるのかな…

美和

……嫌な予感がする……

井上

気のせいじゃない?

智樹

いや美和そういうの当たるの。女の勘ってやつ。

美和

なんか言った?

智樹

いいえ。何も。

とりあえず扉を開けた

中に入るとホコリが多く 光が少ししか入らなくて 不気味な小屋だった。

前川

とりあえずライト入れるわ。

井上

うん。

スマホのライトの光を 頼りに何があるか調べてみた。

美和

ん?

智樹

なんかあった?

美和

いや、これ…

手に持ったものは 何かが入った小さい箱。 気になって開けてみると 小さい勾玉が2つ入っていた。

美和

どっかで見覚えがあるかも………

智樹

右京くんちょっときてー

井上

なんか見つけたん?

美和

広大くんじゃない。

前川

なに?

智樹

これみたことある?

さっき見つけた勾玉を見せる。 少し考え込んだ様子を見せると…

前川

見たことあるかも…いつか忘れたけど。

井上

他になんかあるんかな?

美和

もう少し探してみよ。

30分後 小屋の整理をして 前世の記憶かなんかわかんないけど あの勾玉のことが気になりすぎて 小屋にあった本を実家に持ってきた。

はいお茶どーぞ

前川

あ、ありがとうございます

美和

この勾玉なに?

知らないわよ。そんなの。ていうかあんなところに小屋があったなんて初めて知ったわ。

智樹

今までずっと?

うん。

井上

怖くね?

前川

ミステリー…………

そんなことを聞きながら 小屋にあった本に目を通す。 とある1文に目が止まった。 高校の古典の教科書で 見たことある気がする… そう思い教科書を取りに行き 目を通した。

井上

なんか見つけたん?

美和

いや、そういう訳でもないんだけど、わかんない単語があって見覚えがあったからなんやろって思って。

前川

なるほど…

智樹

俺には全く分かんねーわ。

そうだもんねぇ。古典いっつも赤点ばっかで補習皆勤賞だったね。

智樹

そんなこと言うなってw

美和

源氏物語………

智樹

源氏物語?誰だっけ?作ったの。

井上

紫式部ぐらい分かれよ。

智樹

清少納言ちゃうの?

バカか。そんぐらいわかっておきなさいよ。

前川

ていうかなんで源氏物語?

井上

たしかに。

美和

いやなんでもない。

智樹

何でもなかったら言わへんやろ。

美和

そうだけどさぁ、、、

実は気になる文に 『先の世にも、御契りや深かりけむ、』 って書いていて、直訳すれば 『前世でも、深い宿縁があっただろうか』 になる。分かりやすく言うと 運命の人が前世で生まれ変わっても 絶対会おうねって感じ? 私の勝手な解釈だけど。 そんなことをひと通り喋ると 兄貴と広大くんが顔を見合せ 前川さんの顔と私の顔を 交互に見る。

井上

ああ、そういうこと?

智樹

そういうことだね。馬鹿な俺でもわかった。

美和

つまりどういうこと?

前川

理解できない……

智樹

いつかわかるよ。

井上

右京もうそろそろお暇しましょ。お邪魔しました。

美和

あ、はーい。

翌日

美和

え?

井上

いやだから右京のこと好きなん?

朝いつも通りの時間に 出勤したらこの有様。 前川さんねぇ……

美和

私が前川さんのこと?

井上

うん。

美和

好きかどうか?

井上

うん。俺から見たら両思いなんやけど。

美和

なんで?まだ私好きかどうかわかんない…

井上

いや好きでしょ。智樹とか俺とか美和の父さん以外で他の男性と話してる姿見た事ねーもん。

美和

まぁそうだけどさぁ…

井上

先グランド行っとくわ。なんか分かったら呼んで。

美和

はーい。

もし仮に好きだとしても 相手がどう思ってるのか分からない。 そんなこと考えながら 今日の仕事内容を確かめると 野手組の坂ダッシュの測定、 ウエイトトレーニングとその他諸々。

前川

美和ちゃん。これでよかった?頼まれたストップウォッチ。

美和

あ、合ってます。

前川

今日も頑張ってね。仕事。

美和

ありがとうございます

手のひらにストップウォッチを乗せ さっさとグランドに向かった前川さん。 なんか年上特有の大人の余裕を 感じで少し惹かれてしまった。 好きなのかわかんないけど。 そんな前川さんの背中を追いかけるように 6月の晴れの日の風と一緒に グランドへ走った。

紅葉のような都の子

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