クラスマッチまであと1日。
この1週間はクラスの女子を集めて、体育館で練習をしていた。
皆勝利を掴む為に積極的に参加してくれた。
雨歌
今もお昼休みの時間を活用して練習している。
元経験者の私と運動部の子たちを主力にそれなりに出来てきている。
桃や沙羅のクラスの女子はバレー部の子が3人くらいいる。
B組だけ気をつければ、決勝まで勝ち残れる。
柏田
コートの隅で休憩をしていると、聞き覚えのない愛苦しい声が上から降りかかってた。
さらさらな茶髪を靡かせてぱっちりとした二重に見覚えがあった。
彼女は確か、D組の柏田さんだ。
同級生の男子から可愛いと騒がれている女子。
…良くない噂も少しは聞くのだが。
雨歌
柏田
柏田さんはふんわり笑って、私に手招きをした。
雨歌
そして私と彼女は、渡り廊下に移動した。
柏田
雨歌
柏田
彼女は私にも聞こえるようにそう零した。
柏田
雨歌
それじゃ、と爪先を体育館へと向けて歩き出す。
彼女が豹馬を好きなのは私には関係のない話。
愛の告白なら本人に伝えればいい。
柏田
可愛い顔を歪めて私の腕を強く掴んだ。
雨歌
柏田
え、ほぼ初対面の相手にこんなこと言う?
雨歌
彼女は一変して眉毛をつり上げて私を思いっきり睨む。
柏田
雨歌
柏田さんは豹馬と正反対だな、とつくづく思う。
柏田
雨歌
柏田
雨歌
平和主義の仁科雨歌、人生初の修羅場到来。
柏田
雨歌
柏田
もう言い返すのも面倒臭くなって、頭をフル回転させて怒りを鎮める方法を探す。
できるだけ大事にならないように、穏便に済ませたい。
色々考えたけれど、何を言ってももう無駄のようだった。
黙っててももう駄目で。
柏田
雨歌
事実正論で嘘偽りのない事を述べても、火に油を注ぐだけだった。
柏田
雨歌
柏田
雨歌
柏田
美的感覚は人によるから何とも言えないが、誑かしてるのは豹馬の方だ。
そう心の中で返信していると、ついに彼女も怒りが限界に達して。
私の地雷に踏み込んできた。
柏田
私の嫌いな言葉TOP3に入る言葉。
今まで何度言われて、心に穴が空いたことか。
言われるがままの私も限界を感じ、相手を思いっきり見下ろした。
柏田
今にでも振り上げそうだった拳をぎゅっと握って、込み上げた怒りを抑えるも、姿勢は前のめりになって彼女に詰め寄ってしまった。
雨歌
柏田
彼女は手を振り上げた。
雨歌
叩かれる、と思った。
パシン!!
雨歌
柏田
頬に伝わる筈だった痛みは、誰かの手によって止められた。
彼女の視線が私の頭上に行って、焦った表情を浮かべた。
千切 豹馬
最悪なタイミングで聞き覚えしかない声が上から降ってきた。
驚いて振り返ると、見覚えしかない赤髪が。
雨歌
千切 豹馬
ほら、と指を指す先には、窓に張り付いてこちらを見ている生徒達。
教室の廊下側は窓になっていて丸見え。
今までの私たちのやりとりを、ここにいる全員に見られてしまったことになる。
今思うと本当に恥ずかしい。
まあ確かに、私も柏田さんも、結構大きな声出してたからな。
視線を彼女に戻すと、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
千切 豹馬
雨歌
彼女は両手を握りながら、私を思いっきり睨みつける。
柏田
豹馬は何か言いたそうに軽い溜め息をついて私に後ろから抱きついてくる。
千切 豹馬
柏田
千切 豹馬
豹馬の言動に彼女は言葉を詰まらせ、泣き出してしまった。
千切 豹馬
行くよと言わんばかりに豹馬は私の手を引く。
雨歌
顔だけを彼女に向けて一応謝罪した。
すると彼女は、涙を零しながら走り去っていった。
隣にいる豹馬の顔を見上げる。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
雨歌
私はむすっとした顔をして言い返すと、最後まで聞けと手で制された。
千切 豹馬
真剣な表情や声色に、顔に熱が集中するのが自分でもよく分かる。
こんなにも真っ直ぐ好意を伝えられるのは、これが初めてだったから。
千切 豹馬
雨歌
繋いでいた手を離したと思ったら、私の頬を掴んだ。
雨歌
千切 豹馬
いつもの挨拶感覚で伝えてくる豹馬じゃない。
不覚にも私の心臓は、ずっと速く鳴り続けた。
千切 豹馬
雨歌
余裕そうな顔にむかついて、頬にある手を無理矢理引き剥がす。
悪態をついても頬に集まる熱が取れる気がしない。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
ごめんて、と悪びれる様子もなく笑う豹馬。
いつも通りに戻った彼を見て安堵した。
…あれ、そういえば何か忘れているような。
佐藤
中村
騒がしい声で我に返る。
やばい。
教室から丸見えだということを忘れていた。
しかも上の学年へと繋がる階段には、2年生がもたれかかってこちらを見ていて、ヒューヒューと冷やかしていた。
雨歌
千切 豹馬
豹馬は私の頭に手をぽんっと置く。
千切 豹馬
雨歌
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
千切 豹馬
雨歌
しあ
しあ
しあ
おつしあ〜!!
コメント
2件
見るの遅れてしまった! マジで二人ともはよ付き合ってくれ…。 てか主様、恋愛系の描写うますぎません?! 神様ッ!