クラスマッチ当日。
試合は学年とクラスごとに分かれてトーナメントで行われる。
私たちの初戦は3試合目でまだ時間に余裕があるため、今はグラウンドで男子の試合を観戦している。
結愛
沙羅
雨歌
どうやら、沙羅たちのクラスもサッカーを観戦しているみたいだ。
結愛
雨歌
昨日のやつ…
思い浮かんだのは柏田さんからの呼び出し事件と、豹馬の公開告白事件。
雨歌
沙羅
雨歌
柏田さん、とんだ災難だな。
結愛
雨歌
結愛は試合から目を離さず、さも当たり前かの様に言う。
沙羅
佐藤君だ、と嬉しそうに手を振る結愛と、私に向き合っている沙羅。
沙羅
沙羅が指す先には、丁度豹馬が味方からパスをもらっているところだった。
雨歌
豹馬のゴールが決まると、私も嬉しくなる。
湧き上がる女子たちの歓声。
相変わらず大人気だな。
沙羅
雨歌
豹馬がそんな人間ではないということは、十年以上一緒にいるからわかる。
でも、フラッシュバックしちゃうんだ。
だからこそ今までの経験から推測して傷つかない選択をしてきた。
沙羅
結愛
雨歌
にこ、と微笑みながら私の頭を撫でる沙羅と抱きついてくる結愛。
沙羅
結愛
雨歌
沙羅と結愛が私に何を伝えたかったのかやっと分かって腑に落ちる。
よく考えればすぐ分かることだった。
ただ、私の都合で勝手に逃げてただけ。
好きな人に想いを伝えても、冗談だと思われて軽くあしらわれて。
自分の過去を抉られるから、と豹馬の気持ちを無視し続けていたんだ。
…私、めっちゃ最低じゃん。
え、まって、私豹馬の何知ってるんだっけ。
えっと、名前は千切豹馬で、A型で、鹿児島出身で、好きなものはかりんとう饅頭で…
いや、違う。
こういう意味での知ってるじゃない。
…あれ。
私って、豹馬の何を知ってるんだろ。
…何も知らないじゃん、豹馬の人間性。
千切 豹馬
幾度も聞いたその声に、思わず顔を上げる。
目の前には、ドリブルしながら私に指を指す豹馬。
風のように敵の守備を駆け抜け、右足を大きくゴールに向かって振り被った。
彼の放ったボールはゴールに突き刺さった。
雨歌
彼はクラスメイトのハイタッチを軽く流し、此方に走ってくる。
千切 豹馬
歯を見せて笑って、拳を突き出す豹馬。
異様に眩しく思えるのは、豹馬がシュートを決めたからか、沙羅と結愛に促されたからなのか。
こつん、と自分の拳と豹馬の拳を合わせる。
雨歌
私も、歯を見せて笑った。
千切 豹馬
顔を茹でダコのように真っ赤にさせる豹馬に、自分が今何を言ったか思い出される。
雨歌
慌てふためく私達の隣で、沙羅と結愛は腹を抱えて笑っていた。
また、誰かを好きになるのは私にとって怖いことだ。
だけど、どうでもいい人達に言われる言葉を気にして、傍にいてくれる人達の言葉を無視したくない。
クラスメイトの所に戻る豹馬を眺めながら、沙羅と結愛の言葉に耳を傾ける。
沙羅
結愛
雨歌
頬に何かが伝わる私を、沙羅と結愛は思いっきり抱きしめた。
クラスメイト
悪目立ちはしたくないので、試合中は目立ちすぎない程度にプレーをしていた。
放物線を描くトスに向かって飛び上がる。
獲物を捕らえた鳥のように。
相手コートに突き刺さるボールを見届けて、試合終了のブザーが鳴る。
クラスメイト
雨歌
クラスメイト
1回戦目を勝ち抜き、きゃっきゃとはしゃぐクラスメイト達。
その光景を保護者目線で見ていた。
左脚に視線を落とし擦る。
このまま、最後まで何もなければいいな。
佐藤
どうやら空いている時間で女子の試合を観戦しに来たらしい。
中村
佐藤
雨歌
次の試合は5試合目。
その試合で勝利を勝ち取ることが出来れば決勝に進むことが出来る。
千切 豹馬
皆が騒いでいる中、すんなりと耳に入ってきた声が聞こえた。
千切 豹馬
見上げると、思った通り豹馬がいた。
千切 豹馬
雨歌
私は思わず左脚を見る。
それに何かを察したように、豹馬は口を包んだ。
千切 豹馬
差し出された拳に、私も拳を差し出して応えた。
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
おつしあ〜!!
コメント
3件
なんかめっちゃ良い雰囲気になってきてるではないですか〜!! その調子だ!くっつけくっつけ!幸せになれ!!