俺は家の扉を開けた。
扉を開ければ───
春華
おかえりなさい。
瑛太
ただいま。すごくいい匂いがする。これはカレーかな?
とても素敵な妻がいる。
春華
そうなの!今日はカレーにしたよ。
瑛太
それは楽しみだな。
春華
ふふ…瑛太が喜んでくれて凄く嬉しい。
瑛太
だって俺の好きなカレーだしね。
春華
ふふ…昔から大好きだもんね。カレー。
瑛太
あぁ…昔から…ね。
この彼女の言葉には語弊がある。
昔からカレーは好きだったわけじゃない。
これはただ記憶を植え付けただけに過ぎない。
もちろん俺自身がやった訳では無い。
瑛太
さて、着替えてから先にご飯を食べようかな。
春華
うん!分かった!
他人の○○買いませんか
こんにちは。
瑛太
あの…えっとどなたですか。
瑛太
迷惑メールみたいなのは、やめていただけますか。
他人の○○買いませんか
他人の記憶買いませんか?
瑛太
は?
他人の○○買いませんか
貴方なら気に入りますよ。
他人の○○買いませんか
絶対に
そうして俺は、彼女の記憶を買った。
彼女は病んでいた
記憶は植え付けられたかもしれないが…
俺が彼女を幸せにしてあげたい
今思えばそれは、一目惚れだったのだろう。
ただ、そんな幸せな時間は長く続かなかった。
瑛太
頭が痛い…
春華
瑛太?どうしたの?大丈夫?寝た方がいいよ
瑛太
そうだな…ちょっと寝たらマシになるかもしれない。
春華
うん。そうしよう。
春華
私も一緒についてるから。ね?
瑛太
うん
瑛太
ありがとう。
あぁ…頭が割れるように痛い
瑛太
うぅ…
春華
瑛太っ…大丈夫?!
瑛太
大丈…夫…じゃ…ぐっ…
春華
瑛太っ……
瑛太
ハァハァ……春華…
瑛太
ごめ…ん…
春華
瑛太?瑛太っ?!
瑛太
……………
瑛太
おはよ…心配かけましたね。
春華
へ?瑛太?大丈夫なの?
瑛太
大丈夫だよ。
瑛太
ごめんね、心配かけて。
瑛太
あまりにもしつこいもんだから
瑛太
ちょっと手間取っちゃったんだ。
春華
???
やっと
手に入れた
ワタシの春華──