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コメント
4件
すちくんいい人すぎた、、! 最後意味深で雰囲気がちょっと不気味だった…… らんらんがちゃんと向き合ってるのこっちも嬉しい(*ˊ˘ˋ*)
うんうん🍵くんはいい人だよ! 🍍くんの素直からのデレ...可愛いッッッ💕✨️((( 🌸くんの中で色々変化が起きている...! 私だったら怖すぎて泣くよ??? 投稿ありがとうございます!!続き楽しみにしてます!!!
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
主
主
主
第92話『夜の気配』
夕刻。
陽がゆっくりと沈み、街の輪郭がやわらかい橙色に染まりはじめた頃だった。
らんは、玄関でスニーカーの紐を結びながら、小さく息を吐いた。
――夢の余韻が、まだ抜けない。
昨日の夜に見た、迎え火の夢。
鳥居の奥でゆらめく影。
誰かが呼んだ声の温度。
現実に戻っても、その気配は胸の奥に残ったままだった。
なつ
軽い声がした。
なつだ。
玄関先で片手をポケットに突っ込みながら、片眉だけ上げている。
らん
らん
なつ
なつ
なつが肩をすくめると、奥からすちがひょこっと顔を出した。
すち
すち
すち
すちは腕まくりをして、いつもの落ち着いた微笑みをうかべている。
几帳面で、段取りがよくて、淡々としているけれど――その奥に、静かで深い優しさがある。
すちの“こういうところ”が、六人の中で絶妙なバランスを保っていた。
すち
すち
なつ
なつが尋ねる。
すち
すち
すち
なつ
なつ
なつ
すち
すちが苦笑する。
らんは二人のやり取りを見ながら、小さく笑った。
――日常だ。
けれど、その“日常”の影に、うっすらと何かが混じっている。
昨日の夢から続く、微かなざわめき。
胸の奥で灯っては消える火の粉のような記憶。
それでも、今はまだそれを口に出す気にはなれなかった。
すち
すちの合図で、三人は家を出た。
外に出ると、空は群青色に染まり始めていた。
蝉の声が遠くで響き、風はぬるくて、夏の夜の匂いが漂っている。
近所のスーパーまでの道は、どこか静かだった。
帰宅ラッシュも落ち着き、街はゆっくりと夜へ向かっていく。
すちが歩きながら、ぽつりと語り始めた。
すち
すち
らんは横顔を見る。
すちの声は淡々としていたけれど、その奥には懐かしさの気配が漂っていた。
すち
すち
なつ
なつが笑う。
すち
すち
なつ
なつ
すち
すち
すちは少し照れたように笑った。
すち
すち
その言葉に、らんはそっと息を吸った。
“几帳面だからやる”のではなく――“誰かを想う気持ちが溶けているからこその几帳面さ”。
すちの性格の深さを、改めて感じた。
なつ
なつがぽつりと言った。
すち
すち
すちが笑う。
なつ
すち
なつ
そんなやり取りに、らんの胸がほんの少し温かくなった。
――この空気が好きだ。
六人でいる時の、安心できる温度。
なのに。
なのに、胸の奥のどこかに、小さな棘みたいなざわめきが刺さっている。
らん
迎え火の明かり。
鳥居の奥の影。
呼ばれた声。
その記憶が、まだ身体のどこかにこびりついているようだった。
すち
すち
らん
すちに言われ、らんは野菜売り場に向かった。
緑が濃くて、まっすぐで、張りのあるきゅうり。
すちは一本一本じっくり見て選び、らんも隣で同じように手に取る。
らん
すち
すち
すち
にっこり笑うすち。
その笑みはほんとうに穏やかだった。
けれど――。
らんの耳に、一瞬だけ“ザ……”と雑音みたいな音が走った。
振り向いても誰もいない。
ただ冷蔵ケースのモーター音が鳴っているだけ。
らん
胸がざわつく。
夢の余韻がまだ続いているのかもしれない。
なつがカゴを持ちながら戻ってきた。
なつ
なつ
なつ
すち
すち
すち
なつ
なつが軽く笑い、すちが「信用できないなぁ」と肩を叩く。
らんは二人を見て――ふと背筋に小さな冷たいものが走るのを感じた。
スーパーの蛍光灯の下、三つの影が床に落ちている。
その影の一つ――らん自身の影だけが、一瞬、揺れたように見えた。
すぐに戻った。
ただの見間違い。
だけど。
らん
昨日の夢を思い出す。
火のなかで揺れる影。
こちらを見ていた“誰か”。
空気が少しだけ冷たく感じた。
買い物を終えて外に出ると、もう夜だった。
街灯がぽつぽつと灯り、虫の声が響いている。
すち
すち
なつ
すち
すち
すちが気づいて声をかける。
らん
らん
すち
すち
らん
けれど、胸の奥のざわつきは消えなかった。
夜風が吹く。
すちが持つ紙袋のビニールがかすかに揺れ――その向こう、電柱の根元の影が、ほんの僅かに“形”を変えた。
らんの足が止まる。
らん
すち
すちが振り返る。
らん
言葉にすると、現実になってしまう。
そんな気がした。
三人はまた歩き出す。
その背後で――。
電柱の影が、ふわりと伸びて、らんたちの影に触れようとした瞬間、夜風が吹き抜けて形をほどいた。
誰も気づかない。
ただ、らんの胸の奥だけが、ぎゅっと痛んだ。
すち
すちが玄関を開けながら言う。
なつ
なつが眉を上げる。
すち
すち
なつ
すちは準備を始める。
机を片付け、仏具を出し、置く順番を丁寧に整える。
その手つきは慣れていて、迷いがない。
らん
らんが聞く。
すち
すち
すち
らん
すち
すち
すち
すちが笑う。
その笑みのすぐ近くで――なぜからんの影が、一瞬だけ震える。
らん
らんは息を飲む。
影が揺れた理由なんて分からない。
けど、確かに何かが“触れようとした”。
そのとき。
――カラン。
風鈴が鳴った。
風は吹いていないのに。
三人が同時にそちらを見る。
なつ
なつが低い声で言う。
すち
すちが眉をひそめる。
らんの背筋が凍る。
ゆっくりと視線を落とすと――すちが並べた仏具の横。
置かれたはずのロウソクが、一本だけ“倒れていた”。
まるで“誰かが触れたように”。
なつ
すち
すち
なつ
すち
すちが倒れたロウソクを手に取る。
そのとき。
ロウソクの影が、すちの手を離れた瞬間――らんの影が、ほんの一瞬だけ“形を失った”。
らん
呼吸が止まる。
すちとなつは気づいていない。
ただ、らんの心臓だけが、ドクン、と強く跳ねた。
その夜。
らんは一人でベランダに出た。
風鈴がまた、小さく鳴った。
らん
言葉が零れる。
返事はない。
でも、夜気はゆっくりと形を変えるように揺れた。
足元を見る。
らん自身の影が、街灯の光で細長く伸びている。
その影が――ほんの少しだけ、揺れた。
昨日の夢。
鳥居。
迎え火。
影。
誰かが呼んだ声。
胸の奥で、静かに何かが目覚めようとしている。
らん
風が、ふわりと吹いた。
影が、らんの足に寄り添うように揺れて――そっと“微笑んだ”ように見えた。
らんは気づかない。
ただ夜が、静かに、深く、満ちていった。
第92話・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡200
主
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