突然だが、俺には大っ嫌いな奴がいる。
それが……
太宰
此の太宰治とか云う奴。
中也
中也
太宰
太宰
中也
中也
…とまあ、こういうやりとりが日常茶飯事なのである。
というか、もはや毎日のルーティーンである。
中也
中也
太宰
キーンコーンカーンコーン…
中也
中也
太宰
太宰
中也
中也
中也
中也
太宰
太宰
俺は、何時も中庭のベンチで昼食を食べる。
今日は雲ひとつない快晴。 昼食を食べるにはもってこいの場所だ。
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
中也
和やかな昼休みを過ごして、残りの授業を受け…さあ帰ろうという時。
ザアアアアアアア
中也
中也
中也
傘代わりにフードを被ると、激しい雨の中を全速力で走り出した。
タッタッタッ___
タッタッタッ
タッタッタッ
中也
中也
今は夏は終わり頃で、夕方ぐらいから寒くなることが多かった。
加えてこの雨。明日風邪を引かないか心配になってくる。
中也
中也
ぐるぐると辺りを見回すと、見慣れた派手な色のコンビニが目に留まる。
中也
テテテテテテン♪テテテテテテン♪
やる気のない店員の返事を耳から流して、店内に入る。
言わずもがな、コンビニも寒かった。
中也
中也
…いやいや、うん。違うよな。そっくりな人ってだけだよな。
太宰
中也
中也
太宰
中也
もう一度深くフードを被り直した俺は、あくまで普通に、店の向こう側へ行こうとした
…のだが。
ドンッ
パサッ…(フードが取れる)
太宰
中也
太宰
太宰
太宰
中也
中也
太宰
太宰
中也
中也
中也
太宰
太宰
中也
中也
太宰
太宰
中也
太宰
中也
云われた通り、彼奴の前に寄ると、頭から何かを被せられた。
ふわっ
中也
太宰
頭に被せられたのは、此奴の物であろうタオル。
無表情で、でも優しい手つきで髪を拭いてくれている。
中也
普段と違う彼奴の言動に動揺が隠しきれず、頭の中には次々と疑問が降ってくる。
太宰
中也
太宰
中也
太宰
否、「何?」じゃなくて…。 此奴はこの状況をなんとも思ってねぇのか?
太宰
中也
太宰
タオルを仕舞い、またもや無表情で渡されたのは、コーヒーだった。 圧に負けておずおずと受け取ると、容器は温かかった。
中也
太宰
中也
中也
太宰
太宰
中也
ニヤリと笑うと、太宰はばつが悪そうに、一寸悔しそうに顔を背けた。
俺が云われっぱなしで黙ってると思うなよ?
中也
太宰
太宰
中也
太宰
入る?俺が?太宰の傘に?
それって…つまり……
中也
太宰
太宰
中也
中也
太宰
太宰
ザアアアアアアア
雨の音だけが聞こえてくる。 人通りも車の通りも少ない所だから、雨の音が余計に五月蝿く感じる。
中也
太宰
中也
太宰
中也
太宰
太宰は先刻から俺の家の道順を聞いてくる。 どうやら、俺を家まで送り届けてくれるようだ。
中也
太宰
中也
太宰
「なんで俺にそんな気を遣ってくれるんだ?」
一言、聞きたかったけど、その言葉は喉につっかえて出てこなかった。
中也
太宰
雨の音だけが五月蝿く響いていた。
中也
太宰
太宰
中也
中也
太宰
太宰
中也
一寸ぶっきらぼうに別れの挨拶をした太宰は、くるりと背を向けて足早に去っていった。
中也
どちらにしろ…
中也
彼奴が去っていった道を見つめながら、少しばかりの優しさのような、ほんのり温かいコーヒーを守るように握りしめた。
END
コメント
2件
めちゃくちゃ甘酸っぱくて好きです…できれば続きを…!