テラーノベル
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紫 side
そこに立っていたのは、一人の女だった
ただ桜の木を見上げて息を吐く
ひらひらと舞う桃色の中で、聞こえてきた小さな歌声は
ラン
呼吸を忘れるほどに。綺麗に響いた
イルマ
歌声を聴いた瞬間
普段そう呼ばれているのは彼女なのだと、一瞬で悟った
ラン
あぁ…
イルマ
そのはずなんだけど
ラン
ラン
そう独り言を言った彼女の表情は、あまりにも綺麗だったから
イルマ
ラン
イルマ
思わず声をかけてしまった
歌を止め振り返った彼女は、桃色の目を少しだけ見開いてこちらをじっと見る
ラン
ラン
イルマ
ラン
ラン
明らかに困惑している様子を見たら、少しだけ笑みが溢れる
イルマ
ラン
イルマ
ラン
イルマ
イルマ
ラン
ラン
ラン
桃色の瞳は、切なげに揺れる
ラン
ラン
ラン
ラン
ラン
イルマ
ラン
ラン
でもそうして桜を見上げる彼女は、あまりにも似合い過ぎている
イルマ
ラン
イルマ
生贄なのだと、わかった
ラン
ラン
イルマ
イルマ
ラン
ラン
ラン
イルマ
ラン
ラン
イルマ
ラン
イルマ
まさか決定権を委ねられるなんて思っても見なかった
普通に考えたら死刑行きだろ、最悪の場合
ラン
ラン
イルマ
イルマ
ラン
ラン
本気でいいのかよ
ラン
イルマ
ラン
じゃあ、
イルマ
イルマ
ラン
イルマ
ラン
ラン
イルマ
さっきまで桜花妃だった一人の女は、すでに変わっていた
俺には、年相応の一人の女の子にしか見えなくなっていた
イルマ
イルマ
ラン
ラン
イルマ
本当の桜花妃の姿なんだな
イルマ
イルマ
イルマ
ラン
俺はそう言い残し、壁を駆け上がって外へと飛び出した
夢であったかのような、
全て幻であったかのような、
そんな桜の下での一刻
それが俺と彼女の出会いだった
コメント
2件
主様お疲れ様です✨️💜🩷尊すぎます✨️可愛いすぎます✨️続き楽しみです✨️無理しない程度に投稿頑張ってください