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交渉は決裂した。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
椎名は粘着質な変態である。
そう簡単に標的を変えたりはしない。
交渉自体は、成功したらラッキーくらいのつもりだった。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
交渉の真の狙いは、リークした犯人の絞り込み。
三人の彼女は保留しておくとして、それ以外に可能性がありそうなのは、知り合いの女子だった。
正直、俺に気がありそうな子もいたので、その子がストーキングでもして彼女の存在を突き止めたのでは、と想像していたが、どうもその線はなさそうだ。
対象となる女子の名を『紹介する』と言って挙げたが、椎名は特に反応をしなかった。
やつは嘘が得意ではない、というか思ったことを口に出すタイプだ。
薄っぺらい根拠ではあるが、長年の付き合いから信憑性は高いと思われる。
となると、次に怪しいのは……。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
恐らく俺は、男子の中でもかなり女子と親しい部類だ。
それ自体を疎ましく思う男子も多いだろう。
俺からすれば『それはあんたらの努力が足りないだけだ』と言いたいが、相手はそう思ってはくれないだろう。
実は男子も、結構女々しいものなのだ。
俺が女子と親しくしているのを快く思わず、陥れる為に虚偽の報告をした可能性は低くない。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
正直、そうであってほしい。
そうであった場合が、一番対処しやすい。
ただの嘘であれば、いくらでもしらばっくれる事が出来る。
それに犯人を特定できれば、椎名に持ちかけた取引で買収出来る可能性が高い。
ひがみから出た嘘であれば、女子をあてがえば大人しくなるだろう。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
そう考えつつ、荷物を取りに自分の教室に戻った時だった。
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
俺の鞄を漁る万里野を発見したのは。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
動揺した万里野は、自身の名を某有名土管工だと訂正した。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
よほど自分がかわいいのか、制服の裾を掴んで懇願する万里野。
相変わらずのなりふり構わない系クズである。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
この期に及んで格好付ける余裕があるのは、肝が据わっているからなのかバカだからなのか。
まあ、バカなんだろう。
だが都合は良かった。
今度はこいつの元を訪ねようと思っていたところだったのだ。
何せこいつは、一年生男子なのだから。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
よし、目論見通りだ。
男子は人数が少ないため、仲間意識が強い。生徒会長を目指しているこいつならば、尚更だろうと思っていた。
俺? 聞くなよ、わかりきった事を。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
いちいちズレた会話をするなよ、面倒くさい。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
曇りなき眼(まなこ)で言われた。
あれ、目から汗が。
つらいわぁ……。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
違う、のか?
万里野も椎名と同様、嘘が上手い人間には見えない。
知り合いの女子でもなければ、男子でもない。
だとすると、三人の彼女が犯人である可能性が高くなる。
出来るだけ疑いたくはなくて、探りを入れるだけに留めていた。
だが、ここに来て一番の容疑者となってしまった。
いや、最初からそうだったのだ。
今まで、俺が見ようとしていなかっただけだ。
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
フルネームで呼ぶなって言ってるだろ。
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
お前に何が分る。
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
油断したっ!
めっちゃ油断したっ!
人の心の傷を利用しやがって!
油断ならねえクズだ。
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
フルネームで呼ぶな
万里野(まりの)
二人の間で火花が散った。
名前にコンプレックスがあるからと言って、同族に優しく出来るとは限らないのだ。
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
いちいちイラっとする奴である。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
本当に失礼な奴である。
人の好意を素直に受け取れないとは、いよいよかわいそうな奴だ。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
話が進まないだろ。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
椎名と同じ手で万里野を揺さぶる。
ダメで元々、試さない手はない。
万里野(まりの)
万里野はあっさりと断った。
その目には少しの迷いもない。
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
女子の事情に精通しているようにはとても見えないが、万里野なりの哲学があるということか?
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
クズ過ぎる上に女子を敵に回す発言だ。
それに生徒会長なんて、権力者でも何でもない。
私見ではあるが、どちらかというと雑務係とかに近い気がする。
大学受験のためにアドバンテージを稼ぎたい人間が務める職務、というイメージが強い。
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
万里野(まりの)
五十川 九十九(いかがわ つくも)
再び火花を散らす俺たち。
交渉が決裂した事は、言うまでもないだろう。