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夢鬱🪐
49
夏祭りから、数日が経った
蝉の声が、朝からずっと響いている
窓を開けると、むっとするような暑さと一緒に、夏の匂いが部屋へ入り込んできた
今日は特に予定もない
そう思っていたところに、スマホが震えた
mf
7:32
すぐに返事をする
jp
少しして、また通知が来た
既読 7:34
mf
jp
mf
jp
思わず笑ってしまう
でも、なんとなく分かっていた
たぶん、あの場所だ
待ち合わせ場所に着くと、もふくんは先に来ていた
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jp
mf
jp
mf
もふくんはそう言って笑った
今日も、暑い
蝉の声が頭上から降ってくる
けれど、不思議と嫌じゃなかった
夏休みだからなのか
それとも、隣にもふくんがいるからなのか
mf
jp
二人で歩き出す
いつものあぜ道
田んぼの向こうには、真っ白な入道雲
夏祭りの日と、ほとんど同じ景色だった
mf
もふくんが言う
jp
mf
jp
あの日のことを思い出す
祭りの灯り
夜空に咲いた花火
丘の上で交わした約束
mf
mf
あの言葉は、今でもちゃんと覚えている
しばらく歩くと、見覚えのある坂道が見えてきた
jp
mf
jp
二人で坂道を上る
丘の上に着くと、風が吹いた
草が一斉に揺れる
眼下には、いつもの町
遠くには、山
そのさらに向こうには、まだ見たことのない景色がある
もふくんが、静かに町を眺めていた
mf
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jp
jp
mf
もふくんが、少しだけ笑った
mf
jp
mf
もふくんは遠くの山を見つめる
mf
jp
mf
迷いのない返事だった
mf
もふくんは少しだけ間を空けてから、呟く
mf
その言葉に、胸の奥がざわついた
俺も、ここからいなくなる
でも、それはもふくんが思い描いているような“二人で遠くへ行く”とは違う
俺は、この町を出る
進学するために
もう決まっていることだった
それでも
jp
気づけば、そう答えていた
mf
もふくんがこちらを見る
mf
jp
mf
jp
もふくんが嬉しそうに笑った
そして、いつものように小指を差し出す
mf
俺も小指を絡める
jp
指先が離れる
たったそれだけなのに、その約束がやけに重く感じた
帰り道
夕方になって、少しだけ風が涼しくなっていた
mf
jp
mf
もふくんが前を向いたまま話す
mf
jp
mf
もふくんは笑った
mf
jp
mf
その言葉に、胸が痛んだ
俺は、この夏が終わったら町を出る
もふくんはまだ、それを知らない
jp
mf
jp
mf
もふくんは安心したように笑う
mf
その笑顔を見ていると、言えなくなる
今すぐ伝えたら、この笑顔が消えてしまいそうで
jp
俺は小さく頷いた
家に帰って、自分の部屋に入る
机の上には、一枚の封筒
俺がこの町を出ることを知らせる書類だった
封筒を手に取る
その瞬間、丘の上でもふくんと交わした約束を思い出した
mf
jp
俺は封筒を引き出しの奥へしまった
まだ、言えない
もう少しだけ
もう少しだけ、この夏を一緒に過ごしたかった
窓の外を見る
夕焼けの向こうに、入道雲が浮かんでいる
風が吹いた
どこかから、風鈴の音が聞こえる
ちりん
ちりん
夏の匂いがした
――あの丘の向こうには、どんな景色があるんだろう
そのときの俺はまだ知らなかった
その“向こう側”へ行くために、 俺が大切なものをひとつ、置いていくことになるなんて
コメント
1件
うわあ、今回のエピソード、すごく良かった……。特に最後の「向こう側へ行くために、大切なものをひとつ置いていく」という一文に胸が締め付けられました。夏の匂いや蝉の声、風鈴の音といった季節感が細やかで、まるで自分もその丘の上に立っているような気持ちになりました。もふくんが無邪気に「どこへでも行けそう」って言うところと、じゃっぴが言えない秘密を抱えて頷くしかできないギャップが切なくて……。二人の関係性、これからどうなっていくんだろう。続きが気になります。