コメント
2件
あざす!!
なんか重いね涙 フォローしたのだ!
主ぃ
主ぃ
主ぃ
小羽音、本名は奥山小羽音(おくやまこばと)は、私が幼稚園の頃からの幼馴染だった。
幼馴染と言っても、小羽音は地味な感じだったし、そんなに仲がいいという訳ではなかった。
でも性格も成績もそこそこ良かったし、
虐められたりする事はなかった。
でも………
でも、今の私にとっては、
小羽音は私の記憶から
欠片すらも消えて欲しい存在だった。
あんな事さえなければ良かった……
6年前
あの日、私と、愛菜と、唯史(ただし)と、小羽音は4人で映画に行っていた。
帰りは駅の近くの歩道橋を渡りながら映画の話をしていた。
あの時
喋ってなんかいなければ
良かったのだろうか?
階段を降りるところで
小羽音の、
奥山小羽音
という声が聞こえた。
小羽音の方を振り向くと、
小羽音は消えていた。
同時に愛菜の叫び声が聞こえた。
小羽音は
階段を転がり落ちていた。
唯史
と言いながら階段を駆け下りる唯史を
私はただ呆然と見つめていた…
人が階段から落ちた事はこれからこの階段を渡る人全員にわかると思った。
階段には血の痕が残っていたからだ。
その血の痕が、階段の下の方にも徐々についていった。
ようやく小羽音が止まった。
1番下まで行ったのだ。
そこでようやく私は我に返って、
小羽音のもとへ駆け寄った。
その時、
私ははっきりと見た。
首が変な方向に曲がっている、
小羽音を…。
目は白目ではないのに白く見えた。
左手の指が4本しかついていなかった。
…頭がおかしくなりそうだった。
あのあと愛菜が呼んだ警察と救急車が来て、それから……
…それからどうなった?
あのあとの事はよく覚えていない。
私はしばらく学校に行けなかった。
聞いてみれば唯史もそうだったらしい。
あの日、あの時、見たモノは、今でも目に焼き付いている。
私はあの記憶を消そうと思った。
…永遠に。
しばらくして小羽音が死んだ事を学校から告げられた。
私は友達どころか、家族にも会いたくなくなった。
1人で居たかった。
1人で考えたかった。
小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ小羽音が死んだ
1週間はこんな感じになりっぱなしだった。
小羽音の事を忘れる筈だったのに
また思い出してしまった。
今度こそ、
今度こそ忘れよう。
…そうだ。小羽音の存在自体を忘れてしまえばいい。
私はそんな事を考える人間になっていた。
でもその時。
また違う考えが頭に浮かんだ。
小羽音は?小羽音はどんな気持ちだろう?
友達に自分の存在を忘れられて
どんな気持ちになるだろう?
罪のない人間が死んだ時、
その人が何より願いたい事は、
きっと。
自分がここで生きた事を忘れないで欲しいという事だろう。
なのに私は小羽音の事を忘れようとしている。
これはきっと罪同然だろう。
…でも、あの記憶を忘れないでいるなんて耐えられない。
忘れよう。たとえこれが罪だとしても。
…これで私は、
どこにでもいる人間から、罪を犯した人間に変わった。
でもそれからも私は、
笑って、喜んで、
幸せな日々を送った。
ただ今までと違う事は、
自分が笑ったり喜んだりする度、
罪を犯した人間がこんなふうに幸せになっていいのか?
と思うようになった。
そのせいで私は、何か幸せなことがあっても他より幸せに感じられなくなった。
主ぃ
主ぃ
主ぃ
宮本純