アイ

ついていなかった

生まれた時代が悪すぎた

そんなこと如きで「彼」が幸せになれる訳がなかった

ああ，本当

救いがない

ただ冷たい絶望があるだけでよかった

なのに

彼女が希望を見せるから…

光り輝く道しるべだった

あのアカい一番星が大好きだった

初めて注がれたアイを手放したくなかった

自分だけに，向いたアイが

でも，そんなのは彼だけの妄想だった

いつもアイツばっかり

当然と言えば当然だった

あの日までは

うっかり本棚の裏から会話が聞こえてしまった

自分ではなくみんなに向けられていたもの

そして，彼よりも少なかった

耳を疑った

あの会話に続いてこの知らせ

嫌だった

許せなかった

だから，邪魔してやった

わざと彼と引き裂いてやりもした

パキッ

でも，そのせいで，一番星の光はみるみるうちに暗くなり…

ついに消えてしまった

また生まれてきた時もそれの繰り返し

ならいっそ

アイを恩，恋を感謝に変えて

どうせ実らない恋なら

ずっとそばにいる友人でいたい

でも…

ポロポロ

昔と変わらないアイに胸が締め付けられる

もういっそここで言ってしまおうか

でも，この関係が崩れるのは…

苦しい

そんなの分かっているが，言えるわけがない

ああ，戻りたい

あの一人だけにアイされていた時に

ああ，「我」は今日も嘘つきアルね