さやか
あなたは誰?ここはどこなの?

男
僕は人間です。ここは、地下です。

さやか
本当にあなたは誰?なんで私をこんなところに?

男
僕に名前はありませんし、ただ生きているだけの人間です。私は、君を救う義務があるので。

さやか
早く外に出して。

男
それはダメです。

さやか
どうして?

男
君は殺されてしまうからです。

さやか
どう言うこと?

少し黙り込む男 疑っている私の目を見た そしてこう言った
男
僕は、君のことを知っている。君の今の親は本当の親ではないことを。そして、その親は君を愛していないことを。

さやか
どうして…

男
僕も君と同じだから…

さやか
え?

男
いや、僕の方が残酷かもしれない…

さやか
………

男
僕も愛されていなかった。君と少し違うところは、本当の親だったと言うこと。

さやか
どう言うことなの?

男
僕は、君の親の本当の、血の繋がった息子だった。でも、中学の時、僕は殺されかけた。なんの予兆もなく、急に。

さやか
なんで、そんな…そんなことを?

男
僕にもわからない。きっと僕のことを嫌っていたんじゃないかな。

さやか
ひどい…

男
君もいつか、他の人のようになってしまうのではないかと思ったんだ。

さやか
他の人?

男
僕は、最初気づかなかったんだ。あのひどい親が養子を取っていたなんて。そして、殺していることを。

さやか
他にも被害者が…

男
その中にはまだ小さい子もいたんだ。僕は、救えなかったんだ。だから、せめて君だけはと。。

さやか
どうして私だけ?

男
覚えてない?僕ら、昔…

さやか
もしかして…

男
思い出した?

さやか
森で…一緒に遊んでくれた…あの、お兄さん?

男
そうだよ。

そして私は思い出した あの時のお兄さんの いった言葉を
さやか
あの時の言葉…絶対僕が守るからって…

男
やっと果たせたよ。本当に間に合ってよかった。

さやか
ありがとう、私を救ってくれて。

男
それと、君に言いたいことがあるんだ。ずっと、この日を待ちわびて。

さやか
なに?

男
僕、君とあの時の遊んだ日から、ずっと好きだったんだ。

さやか
え…

男
僕ずっと、君に伝えたかったんだ。ずっと、ずっと、ずっとずっとずっと

さやか
………

男
すまない、乱してしまった。でも、気持ちに嘘はないんだ!

さやか
いやだ…

男
大丈夫、怖くないよ!

さやか
やだ、来ないで…

男
大丈夫だって、なんの心配もないよ!

不慣れな笑顔を作った さっきの涙は 恐怖心の涙に変わった
男
大丈夫、もう泣かなくていいんよ、僕が守るから

さやか
いや、触らないで!

男
………

さやか
こっちに来ないで!

男
………

さやか
早く私をここから出して!

男
………

さやか
おねがいです…助けて…

男
ならしょうがない

さやか
え?

男
きっと、本当の親じゃないやつに殺されるより、知っている人に殺された方がいいだろ。

さやか
うそ…

男
わかった、わかったよ

さやか
やだ、いや…

男
大丈夫、痛くしないようにするから…

さやか
やめて…

さやか
あゔっ…はぁあ、あゔっ…うっ…

男
僕、好きな人を殺すのは初めてだから、少し手がビビっているようだ…

さやか
はぁ…はぁ…やめで…いやぁ…はぁ…

男
ごめんね、痛いよね…でも、君が悪いんだからね…君が…

男
はぁ…はぁ…はぁ…

さやか
…………

男
はぁ…はぁ…はぁ…

さやか
………

男
なんだろう、この気持ち…なんだか、こんな姿の君も愛おしいや…

男
もしかして、あの時僕を殺そうとしたのは、「愛」があったからだったのではないか。あぁ…きっと、そうだ…
