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すごいテキストの使い方が上手くて!! 切なかったです(´;ω;`)←
はぁああああ…… 『月』ってそういうことか…… この少ないタップ数で切なさを出せていてやばいです。() 最後のセリフにキュウと胸が締め付けられました😢
耳元でふっと囁かれ
心臓が跳ねる
ほんのすこし口端を上げて
柔らかく微笑む
この人は
私の先輩
そして
私の
大切な人
たくさんの星が
夜空を照らしている
そっと横を向けば
先輩の整った顔に
目が離せなくなる
言葉が出てこない
もどかしさに拳を強く握る
十センチ
至近距離で
お互いの視線が絡みあう
頬を両手で挟まれ
先輩の顔が近づく
やめて
言わないで
悲痛な表情で
先輩が言葉を放つ
やっぱり
予想どおりの言葉が
私の心を蝕んでいく
瞳に涙を溜めて
先輩が笑う
ちがうの
そんなんじゃないの
息が荒くなる
夜月
戻るのです
声が聴こえる
嗚咽が漏れる
顔が濡れる
先輩が私を見る
きぃぃ ぃぃぃ ぃぃぃぃ ぃぃぃぃぃぃん────
頭が割れそうなほど
がんがんと痛くなる
竹月家の輝夜(かぐや)
私の先祖にあたる輝夜は
月の国で大罪を犯し
日本に強制送還された
そして
誰かと愛しあうことができたら 月に戻れる
という呪いをかけられた
その呪いは
三十五代目の私にまで継がれ
私は恋をしようとしなかった
なのに
私は知ってしまった
人を愛するということを
身体が宙に浮く
先輩の手が虚空を掴む
昇る
私の瞳から零れた雫が
先輩の頬を濡らす
ぐんぐんと昇る
声を振り絞った