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僕と私と君とあなた。

第11話 - 僕と私と君とあなた。11

2019年07月28日

#ミステリー

#嘘

#恋愛

#秘密

#青春

iamS

コンコンッ

牧瀬里穂

…はい。

滝沢悠人

…里穂ちゃん、入っても良いかな？

牧瀬里穂

悠人くん！

牧瀬里穂

そろそろ来る頃かなぁって思ってたよ。

牧瀬里穂

光はもう帰ったの？

滝沢悠人

もしかして、見てたの〜？

滝沢悠人

里穂ちゃん意外と悪趣味〜！

滝沢悠人

光はもう帰ったよ〜。

牧瀬里穂

そっか。

牧瀬里穂

お母さんもお爺ちゃんも、一度群馬に戻ってるし、ゆっくりお話し出来るよ。

滝沢悠人

里穂ちゃんと、二人でお話しするのは、初めてだよね。

牧瀬里穂

そうかもしれないね。ニコッ

滝沢悠人

…それで、早速だけど

滝沢悠人

里穂ちゃんは何が狙いなの？

牧瀬里穂

光に考えてもらいたいだけだよ。

牧瀬里穂

悠人くんは、もう全部知ってるんでしょ？

滝沢悠人

…たぶん、ほとんどは話し聞かせてもらったと思う。

牧瀬里穂

光はね、ずーっと私の為だけに生きてきてくれたの。

牧瀬里穂

私、忘れてたんだ。

牧瀬里穂

自分の都合の悪い所はぜーんぶ、忘れてたの。

滝沢悠人

光は、女の子だ。

滝沢悠人

里穂ちゃんは…どう考えてるの？

牧瀬里穂

光は、光の人生を歩んで欲しい。

牧瀬里穂

自分は男になりたかった訳じゃないんだって再確認して欲しかった。

牧瀬里穂

だから、終わりにしようって、光に伝えたの。

滝沢悠人

…光の生きがいは、今までずっと、里穂ちゃんだけだったんだ。

滝沢悠人

幼い頃から、自分が頼られるということ、里穂ちゃんに依存されていくことで、

滝沢悠人

逆に、光は里穂ちゃんに依存してる。

滝沢悠人

里穂ちゃんに必要とされないと、自分の存在価値が見出せなくなってる。

滝沢悠人

少しずつの小さい頃からの積み重ねで…。

滝沢悠人

2人は簡単に終わりにできるレベルじゃない。光も里穂ちゃんもお互いに、壊れちゃうよ…。

滝沢悠人

もっと、ゆっくり時間をかけていかなきゃ…！

牧瀬里穂

あははっ

滝沢悠人

…何が、可笑しいの？

牧瀬里穂

私が本気で光と終わりにすると思ってるの？

牧瀬里穂

そんな訳ないじゃない。

牧瀬里穂

光はずっと、ずっと私だけのもの。

牧瀬里穂

誰にも渡さないよ？ニコッ

滝沢悠人

…え？

牧瀬里穂

私ね、都合の悪いとこ、全部忘れちゃった時にね、

牧瀬里穂

この私の醜い、汚い部分の自分も閉じ込めちゃってたみたい。

牧瀬里穂

ただの内気で恥ずかしがり屋さんの

牧瀬里穂

可愛い可愛い天使みたいな里穂ちゃん。

滝沢悠人

…里穂ちゃん。

牧瀬里穂

だけど、全部思い出しちゃったの！！

牧瀬里穂

思い出したくなんかなかったよ、本当は！！

牧瀬里穂

光の事が愛おしい…。

牧瀬里穂

私だけの光。私の事しか考えさせたくない。

牧瀬里穂

光の中を私だけで埋め尽くしたい…。

滝沢悠人

…じゃあなんで、終わりにしようなんて…。

牧瀬里穂

決まってるでしょ？

牧瀬里穂

光が知らない間に私に依存してたことはわかってた。

牧瀬里穂

それを、いきなり突き放されたら、どう？

牧瀬里穂

おかしくなっちゃうでしょ？

牧瀬里穂

頭の中は私で一杯になる。

牧瀬里穂

里穂を失うことの怖さで心が埋め尽くされる。

牧瀬里穂

だから私への依存を再確認させたかっただけ。

滝沢悠人

…。

牧瀬里穂

自分が男として生きていくこと。

牧瀬里穂

本当は光が本心から望んでいる訳じゃないことはわかってた。

牧瀬里穂

私と一緒にいる為に言ってくれてる事も。

牧瀬里穂

だから、私がいなくなる恐怖と、

牧瀬里穂

自分が男として生きていくってこと

牧瀬里穂

光の無意識の中で天秤にかけさせたかったの。

牧瀬里穂

そうすれば、これから先、光の決意も揺るがないものになるでしょ？

滝沢悠人

…ひどい。

牧瀬里穂

何とでも言って良いよ。

牧瀬里穂

これで光の元に私が戻ったら…

牧瀬里穂

光は絶対に私から離れることは選択出来なくなる。

滝沢悠人

…そんなの、悲しいよ。

牧瀬里穂

悠人くんに何がわかるって言うの…？

牧瀬里穂

私と光が今までどれだけ苦しんで、

牧瀬里穂

乗り越えてきたかなんて、

滝沢悠人

それは里穂ちゃんの境遇でしょ？

滝沢悠人

そこに光を巻き込んだのは、紛れもなく、里穂ちゃん自身だ。

牧瀬里穂

光を私だけの元に居させる為だったら何でもやる。

牧瀬里穂

誰に何て言われようと構わない。

滝沢悠人

…光が全部選ぶことだ。

牧瀬里穂

…光は絶対に私を選ぶ。

滝沢悠人

光にとって、何が一番幸せなのか、光が感じて、光が決める。

牧瀬里穂

もしかして、宣戦布告に来たの？ニコッ

滝沢悠人

そう取ってもらっても構わないよ♪ニコッ

滝沢悠人

じゃ、早く退院出来るといーねっ里穂ちゃん！ばいば〜い♪

ガラガラッ

滝沢悠人

(僕が光を解放させてあげるんだ。自由な幸せを感じさせてあげるから…！)

シーン…

牧瀬里穂

私と…光の邪魔、しないでよ…。

光宅

福島光

…はぁ。

福島光

なんか、悠人の前だと気緩んじゃうんだよな〜…。

福島光

いくらなんでも泣きすぎだよな…。

福島光

…里穂。

福島光

なんでだよ…。

福島光

ずっと前から決心してたじゃねーかよ…！

〜♪

福島光

電話…

滝沢悠人

通話
00:00

福島光

悠人…

福島光

…もしもし？

滝沢悠人

"もしもし〜？"

滝沢悠人

"まーた、くら〜い顔してたんでしょ、ひかりは！"

福島光

ひ、ひかりって呼ぶな！！

滝沢悠人

"別に良いじゃん、2人だけなんだから〜♪"

滝沢悠人

"ねーねー、ひかり、知ってた？
今夏休み真っ最中だってこと！"

福島光

…！
完全に忘れてた…。

滝沢悠人

"ひかりが里穂ちゃんに付きっきりの間に、終業式終わっちゃってたもんね〜♪"

滝沢悠人

"夏休み、あと半分しか残ってないぞー？w"

福島光

今年は夏休みとは無縁だなぁ…。

滝沢悠人

"せっかくだし、明日、遊び行こーよ♪"

福島光

…や、でも…。
俺、里穂とのことがあるし…？

滝沢悠人

"せっかく里穂ちゃんも回復して来てるんだし、1日くらい俺にもひかりの時間ちょーだいっ？"

滝沢悠人

"…それに、少しは気が紛れるよ。"

滝沢悠人

"僕は、ひかりをそのままの気持ちで放っておきたくないんだよ…。"

福島光

…有難う、悠人。

福島光

…そうだな、里穂も俺も少し落ち着いて冷静になる必要もあるし、明日は悠人と出掛けようかな。

滝沢悠人

やったぁ♪
僕ちんとひかりの初デートだ♪

福島光

！！

福島光

だからー！ひかりって呼ぶな！そして別にデートじゃねぇっ！！

滝沢悠人

じゃあ、明日の10時に○○駅の前で待ち合わせね！

滝沢悠人

じゃあね〜んっ。

プーップーッ…

福島光

か、完全に悠人のペースだ…。

福島光

"…"

福島光

"涼太…。"

福島光

"…あたしにどうして欲しいの…？"

福島光

"あたしはどうしたら良いの…！"

・・・

翌日駅前

福島光

丁度10時、悠人はもう来てるかな…？

滝沢悠人

ひかり〜！！
こっちこっち！！

福島光

！

福島光

ひかりって呼ぶのやめろってば！！！

福島光

…お、お待たせ！

滝沢悠人

今日は予定が詰まってますので、早速行くよ〜♪

福島光

どこ行くんだ？

滝沢悠人

それは着いてからのお楽しみ〜♪

・・・

福島光

…こ、ここ？

滝沢悠人

とってもお洒落なお店でしょ？

福島光

いや、そうじゃなくて、ここ美容室、だよな？

滝沢悠人

せいか〜い♪
僕の行きつけだし、本当に上手だから安心してっ！

福島光

いやいや、俺髪切る予定ないんだけど…。

滝沢悠人

良いから良いから♪
イメチェンってことでさ！

カランカラン

店員

あ！
悠人くん、こんにちは♪

店員

お待ちしてましたよ♪
えっと、今日はお連れ様のご予約ですよね？

店員

横にいらっしゃるのが…

福島光

あ、どーも…

光が挨拶しようとするのを悠人が遮る。

滝沢悠人

そうだよ、僕の彼女♪

福島光

えっ？！！！！

店員

す、すごくボーイッシュな方、ですね！！

店員

(イケメン過ぎると思ったら、女の人だったの？！！)

福島光

ち、ちがっ…

滝沢悠人

ひかりって言うんだけど、今まで女の子らしくしたことないみたいでさ、

滝沢悠人

せっかくなんだから、ちょっと女の子らしい格好、してみて欲しいな〜て思ってさ♪

滝沢悠人

加藤さん、もう空いてるかな？

店員

は、はい、今お呼びしますね！！

福島光

…おい！どういうことだよ！！

滝沢悠人

今日は僕の彼女連れてくるから、スペシャル可愛くして欲しいって頼んであるんだ♪

滝沢悠人

僕の行きつけの美容室なんだから、それで話し、合わせてくれるでしょ？

福島光

ふざけんなっ、俺、帰るから！

加藤さん

こんちは〜♪

滝沢悠人

加藤さんこんにちは♪

加藤さん

おやおや、こりゃまたすっげー原石連れてきたな！

福島光

いや、その、誤解で…

滝沢悠人

でしょ？！

滝沢悠人

今まで女の子らしい格好とか、お化粧したことないって言うから、加藤さん頼みますね♪

加藤さん

いやいや…確かに見た目は男の子みたいだけど、こりゃすんげーべっぴんさんだなぁ！！

加藤さん

おじさんびっくりしちゃったよ！

加藤さん

これはやりがいがあるってもんだね〜♪

加藤さん

悠人くん、任せて♪

滝沢悠人

わーい♪

滝沢悠人

…と、言う訳だから、ひかりちゃん？ね？♪

福島光

…っ！！

滝沢悠人

(お願いひかり、今日だけ、ちょっとわがまま付き合って！ここも予約取っちゃってたし、お店に迷惑かけちゃうから！ねっ！！)

福島光

(…本当に、今回だけだからな。)

滝沢悠人

(有難う！ひかりっ！！！♪)

滝沢悠人

じゃあ加藤さん、宜しくお願いします♪

加藤さん

はいよ〜ん。

加藤さん

じゃっ、ひかりちゃん、こっち案内するね〜♪

福島光

あ、はっ、はい！

福島光

(うわ、女として誰かに会うの久々すぎて、どうしよっ…)

加藤さん

さてと、じゃあ先に顔からいきますか…♪

加藤さん

肌も綺麗だね〜！！

加藤さん

おんなじ人間とは思えない顔立ちしてるわ（笑）

福島光

か、顔、ですか？

加藤さん

うちはさ、メイクアップもやってるんだよ♪

福島光

えっ！！！

福島光

あ、あたし化粧なんかしたことないですし…！！

加藤さん

大丈夫、大丈夫♪

加藤さん

俺に任せて♪

福島光

(悠人のやつ〜〜！！！！！)

・・・

加藤さん

よしっ完璧…！！！！

加藤さん

出来上がり！！！！

加藤さん

ど、どう？！ひかりちゃん！！

福島光

自分じゃないみたいです…。

加藤さん

こりゃモデルも顔負けだな…。

福島光

(こ、これが、あたし？)

福島光

(な、なんだろこの気持ち、なんかむず痒い…。)

メイク、胸元まである長さのウィッグを装着した光の姿は、誰がどう見ても正真正銘のモデルに劣ることのない美人な女性の姿になっていた。

女性客

え、あの人誰？！

女性客

めちゃくちゃ綺麗〜！！！

女性客

モデルさん？芸能界の人？？

加藤さん

みんな見てるね♪

福島光

は、恥ずかしいです…。

加藤さん

お、悠人くん〜！

福島光

！！！

加藤さん

我ながら、最高の仕上がり♪

加藤さん

どうよ？こりゃ悠人くんもうかうかしてられないぞ〜？

滝沢悠人

ひかり…？こっち見て？

福島光

は、恥ずかしいから…！

くいっ

福島光

ちょっ…！

滝沢悠人

……！

福島光

…な、なんか言えよ！！

滝沢悠人

ご、ごめん…！

福島光

え…。

福島光

(悠人のこんな顔、初めて見た…。顔まっか…。)

加藤さん

はははっ！！

加藤さん

悠人くんはこう見えて意外とシャイだし、すごく純粋な男の子だからね〜♪

加藤さん

まぁ確かに綺麗すぎて照れちゃう気持ちもわからなくないけどなっ！

滝沢悠人

そ、その…めちゃくちゃかわいー、です。

福島光

こ、こっちまで照れてくるから、その反応やめろよっ！！！

滝沢悠人

…でも、顔も髪型も完璧なのに、その格好じゃミスマッチすぎるでしょ？

福島光

べ、別に…

滝沢悠人

はいっ♪

滝沢悠人

これに着替えてきてっ！

福島光

や、やだよ！

滝沢悠人

もう買ってきちゃったし、返品なんて出来ないし…無駄になっちゃうなぁ…。

福島光

な…

滝沢悠人

ひかりの為に選んで来た服なのになぁ…。

福島光

…。

滝沢悠人

今日最後のお願い…ねっ？

福島光

ずるい…。

福島光

…はぁ。もうここまで来たら、なにやっても変わらないか…。

滝沢悠人

ありがと〜っ、ひかり〜っ！

光は紙袋を受け取り、トイレの個室へと向かう。

加藤さん

…悠人くん、やるね〜。

滝沢悠人

大好きな子の為ですから♪

光は紙袋を開けて、驚いていた。

福島光

悠人…、服のセンスめちゃくちゃ良いな…。

光の女性にしては高身長で細い足にピッタリな細身のスキニーパンツに、今年トレンドであろうデザインで、身体にフィットするノースリーブのトップス。薄手の羽織のシャツに首元に巻くスカーフ、完璧なコーデだった。

福島光

(な、なんだろう、…やけに心臓の音がうるさい。)

着替え終わった自分の姿が鏡に映る。

福島光

あたしって…女として育ってたらこんな感じ、だったんだ…。

福島光

た、確かに、かわいい、かも…。

加藤さん

お！ひかりちゃん出て来たぞ！

滝沢悠人

…！

滝沢悠人

…ひかり、これは反則…。

福島光

な、何がだよ！！

滝沢悠人

可愛すぎ〜…。

加藤さん

じゃ、二人とも！
デート楽しんで来てね〜♪

滝沢悠人

有難うございました♪

カランカラン

福島光

ちょ、支払いは？！

滝沢悠人

タダで出て来てる訳ないでしょっ！w

福島光

いや、俺払うよ！服のも！

滝沢悠人

もらう訳ないでしょ！w

滝沢悠人

僕が無理矢理ひかりにお願いしてやってもらってるんだから！

福島光

で、でも…。

滝沢悠人

それに、僕の家はお金持ちだから、これくらい全然安いもんなのだよ。w

福島光

んなこた知ってるけど…

滝沢悠人

じゃあさ、代わりに一個お願い！

福島光

つ、次は何だよ…。

滝沢悠人

今日一日で良いから、彼女として一緒に歩いてくれない？

福島光

無理だろ、そんなの！

滝沢悠人

んー。嫌ならしょうがないけど…

福島光

嫌って言うか…！

滝沢悠人

じゃあさ！喋り方！

福島光

は？！

滝沢悠人

こーんなに可愛すぎる女の子が"俺"とか"〜じゃねーよ"とか、汚い言葉遣いするのはやだな〜。w

福島光

も、元々悪いんだよ！！

滝沢悠人

自分のこと、"あたし"くらいには変えられるでしょ？♪

福島光

…きょ、今日だけだからな？！

滝沢悠人

ありがと♪

滝沢悠人

じゃ、用意バッチリだし、まずはお昼ご飯食べに行きましょうかねっ♪

・・・

女性 A

ねぇねぇ、あの二人見て！

女性 A

ちょー美男美女じゃない？！

女性 B

本当だ！！！え、なんかモデルのカップルとか？！

滝沢悠人

…なんか、すごーく僕たち見られてるね♪

福島光

い、いつものことだろ！

滝沢悠人

でも、今日はカップルとして見られてるし、僕は幸せ〜♪

福島光

良いから！早く昼飯！！

滝沢悠人

もう着くよ〜♪

店員

いらっしゃいませ。

滝沢悠人

予約してる滝沢なんですけど♪

店員

滝沢様！！こんにちは！！
どうぞ、すぐにご案内致します！

滝沢悠人

奥のソファのテラス席のとこね♪

店員

もちろんでございます！！

福島光

…なんか、悠人ってすげーな。

滝沢悠人

なにが〜？

福島光

いや、そんな常連なの？ここの店。

滝沢悠人

それもそうだけど、ここ、父親の
会社がやってるお店だからさ♪

福島光

そ、そーなの？！！！

福島光

めちゃくちゃおしゃれな店だな〜…

滝沢悠人

ふふっ。
ひかり、目がキラキラしてる♪w

福島光

う、うるせーな！！

店員

ご注文はいかが致しましょうか？

滝沢悠人

ん〜、いつもの2つで♪

店員

かしこまりました。

福島光

いつもの、ね〜。

滝沢悠人

あ、なんか格好つけすぎだよって感じだった？w

福島光

いや、そうじゃなくて、よっぽど色んな女を連れて来てるんだろうな〜と思ってw

滝沢悠人

なになに？やきもち〜？

福島光

ち、ちげーよ！！！

福島光

冗談、冗談w

滝沢悠人

んー。連れて来たことないって言ったら嘘になるけど、本気で好きな子を連れて来たのは今日が初めてだよ♪

福島光

あ、あのな〜…！

福島光

そんな恥ずかしいことよくサラッと言うよなぁ。

滝沢悠人

だって本当のことだし！

滝沢悠人

むしろ、僕今まで誰かを本気で好きになったことって1回しかないし。

福島光

…たまには悠人の話、聞かせろよ。

滝沢悠人

ははっ、なんか改まると恥ずかしいけどね。

滝沢悠人

…中学校1年生の時にさ、大好きな憧れの先輩がいたんだよ。

滝沢悠人

僕、一生懸命オシャレを勉強してさ、髪型もガキっぽく見えないよーに！とかさしててね、

滝沢悠人

先輩の卒業式の日に、告ったら、オッケーもらえたんだよ。

滝沢悠人

俺の初恋、実ったー！ってすごいテンション上がってさ、

滝沢悠人

付き合いだしてからも僕なりに尽くしてたし、大人な男性ってどういう感じなんだろーって頑張ってたなーって思うんだけどね、

滝沢悠人

ある日、聞いちゃったんだよね〜。

滝沢悠人

僕が席外してる間に誰かと電話してて、

滝沢悠人

あんなガキ本気で付き合う訳ないじゃん〜。家が金持ちだから、色々買ってもらえるし、何かと便利なんだよね〜。って話してて

福島光

その女…ひでーな。

滝沢悠人

ははっ笑っちゃうでしょ〜？

滝沢悠人

そっからは、寄ってくる女がみんな金とか家柄とか、そこ目当てで寄って来てるとしか思えなくなっちゃってさ、

滝沢悠人

とりあえずニコニコして適当にノリ良く合わせて、彼女は作らずになんとなく遊んで来た感じ…かな♪

滝沢悠人

だから…こんなに大事に思えたのはひかりが初めてなんだ〜。

福島光

あ、あたしは…！

福島光

悠人のこと、すげー好きだぞ！！

滝沢悠人

え？！

福島光

あ、いや、そういう意味じゃないんだけど、

福島光

でも、すげー好き！だし、感謝もすげーしてる！！

滝沢悠人

も〜、一瞬ドキッとしちゃったじゃんか〜。

福島光

…軽そうに見せてるけど、実は真面目なとこも、誰よりも友達想いなとこも、すげー気遣いのとこも、全部わかってるからな。

福島光

悠人のいいとこ、すげーわかってるからなっ！

滝沢悠人

…！

店員

お待たせ致しました。

福島光

お〜！！うまそーっ！！

福島光

お腹ペコペコだったんだよ！食べようぜっ！！

滝沢悠人

ふふっ。そうだね、食べよ♪

滝沢悠人

…有難う、ひかり。

・・・

福島光

は〜っ、お腹いっぱい！

福島光

あんな美味い店に食べに行ったのは初めてだったよ！

福島光

さんきゅ、悠人♪

滝沢悠人

どう致しまして♪
ひかりが喜んでくれて、なによりだよ〜。

滝沢悠人

さて、と。

滝沢悠人

お腹も満たされたことだし、高校生っぽい遊び、たくさんしますよ〜♪

福島光

お、おうっ！

滝沢悠人

遊園地、行きたくない？

福島光

この辺にあんのか？！

滝沢悠人

お台場にあるんだな〜♪

福島光

うわ〜！遊園地なんか小学校ぶりだよ！！

滝沢悠人

じゃあ、決まりね♪

そこからは、光はすっかり自分が男だとか女だとかということも忘れて、心から楽しんだ。

里穂とのこともあり、精神的にも疲れていた光にとって、悠人は太陽の光みたいに優しくて暖かくて、包み込んでくれるような存在になりつつあった。

福島光

はーっ！！楽しーっ♪

滝沢悠人

ひかり、運動神経良すぎ！
ゲーム、ほとんど俺の負けだったし！w

福島光

当たり前だろ〜！運動神経だけは昔から良かったからなーっ♪

福島光

頭は悪いけど。w

滝沢悠人

自分で言うなよ！w

滝沢悠人

あ、ひかり！

福島光

ん？

滝沢悠人

(ひかりって呼んでも怒らなくなったな…。)

滝沢悠人

プリクラ、撮らない？

福島光

えーっ？！

滝沢悠人

てか、撮ったことないでしょ？

滝沢悠人

プリクラってすごいんだぞ〜？

滝沢悠人

最先端のやつとか原型なくなるし、結構面白いよ？

滝沢悠人

(本当はひかりとの思い出残したいだけなんだけど)

福島光

そ、そうなの？

福島光

まぁ初体験だし撮ってみてもいーぞ！

・・

福島光

(撮ったものの、自分がこの格好してるの完全に忘れてた…。)

滝沢悠人

はい、出来たよ〜♪
ひかりの分ね〜。

福島光

すげーな、目とかすげーデカくなってるし、顔ちっさ！！w

滝沢悠人

でしょ？w

滝沢悠人

確実にひかりは実物の方が可愛いよね。w

福島光

(なんだ？なんか、プリクラに映ってるあたし達、普通にカップルみたいじゃん…。)

福島光

(てか、なんかすごい楽しくなっちゃってるし、わくわくしてるし、あたし、女として楽しんじゃってる？)

福島光

(いやいや…、あたしには涼太がいるんだ。何してんだよ…。)

滝沢悠人

ひかり？

福島光

…！あ、ご、ごめん！

滝沢悠人

ちょっと疲れちゃった？

滝沢悠人

それとも具合悪い？

福島光

あ、いや…。

滝沢悠人

…。

滝沢悠人

朝から動いてたし、結構もういい時間だし、夜ご飯はお家で一緒にゆっくり食べよっか？

福島光

い、家？！

滝沢悠人

ひかりんち、行っちゃ嫌だった…？

福島光

い、嫌って訳じゃないけど…

滝沢悠人

(この反応は、ちゃんと異性として意識し出してくれた証拠かな？)

滝沢悠人

ははっw

悠人は光の頭をくしゃっと撫でる。

滝沢悠人

大丈夫だよっ！ちゃんと、今まで通りの友達として行くだけ！

滝沢悠人

ひかりの嫌がることは、絶対しないよ。

福島光

う、うん…。

滝沢悠人

信用出来ない？

福島光

そ、そんなこと！ない…かな。

福島光

い、良いよ！悠人は一番の友達だし！あたしんちで飯食べようか！

滝沢悠人

ふふっ。ちょっと疲れたし、出前取ろ〜♪ゆっくり休みながらテレビ見て、ゴロゴロしよ〜。

福島光

あたし、出前ならピザが良いな！！

滝沢悠人

じゃあピザにしましょ〜♪

滝沢悠人

(…。)

滝沢悠人

(ひかりはやっぱり中身は本当は普通の女の子だ…。)

滝沢悠人

(里穂ちゃんの為に無理に男の子を演じてただけなんだな…。)

滝沢悠人

(自分ではまだ気付いてないかもしれないけど、きっと女の子としてのオシャレとか楽しいって感じてるはず…。)

滝沢悠人

(それが当たり前のことなんだから、ひかりの気持ちに嘘をつかせたくない…！)

滝沢悠人

帰ろっ♪

悠人は決心していた。

光は確かに、中身は普通の女の子だった。里穂を好きなあまりに周りが見えなくなってしまっているだけだった。

・・・

僕と私と君とあなた。

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