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僕と私と君とあなた。

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僕と私と君とあなた。

第12話 - 僕と私と君とあなた。12

7

2019年07月31日

#ミステリー

#嘘

#恋愛

#秘密

#青春

iamS

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ガチャッ

滝沢悠人

お邪魔しま〜す♪

福島光

ご、ごめん、結構部屋散らかってるかも！！

滝沢悠人

んーん、全然綺麗だから大丈夫♪

光の家に帰ってきた2人は、出前のピザを注文し、朝から動いていたこともあり部屋でゆっくりとくつろいでいた。

滝沢悠人

ピザ食べるの久々だなぁ。
楽しみ〜♪

福島光

あ、あたしも！

福島光

(どうしよう、なんかすごく緊張してる、かも…？)

福島光

(いやいや、相手は悠人だぞ？つい最近まで男同士の友達として仲良くやってたじゃんか…！)

福島光

(悠人も今まで通りの友達として家に行くだけって言ってたし…)

福島光

(何よりあたしには涼太が…！)

滝沢悠人

ひかりちゃーん？

福島光

…な、なに？！

滝沢悠人

またー！

滝沢悠人

さっきから難しい顔してー！

福島光

ご、ごめっ

滝沢悠人

本当は体調悪いんじゃないの？

福島光

そ、そういう訳じゃ…

グイッ

福島光

…！！

滝沢悠人

うーん、熱はないね。

光は悠人に引き寄せられ、おでことおでこを当てる体制になっていた。

福島光

ゆ、悠人！近いって！！

滝沢悠人

…。

滝沢悠人

ごめんね…。

ギュウッ

福島光

なっ、ちょっ、悠人？！

滝沢悠人

ひかりが体調悪いとか、そんなんじゃないことくらい、本当はわかってる。

滝沢悠人

僕のせいで、悩ませてるんだなって…わかってるよ。

福島光

え…？

滝沢悠人

そりゃそうだよね。
男の子になるんだーって決心してたのに、いきなり女の子に戻らされちゃったんだもん。

福島光

…。

福島光

(心臓の音が、うるさい…。)

滝沢悠人

それに、里穂ちゃんのことも…。

福島光

…。

滝沢悠人

ひかり…

滝沢悠人

僕だけのこと、見て欲しい…。

滝沢悠人

里穂ちゃんとの関係がどれだけ重いものなのかもわかってる。

滝沢悠人

だけど、それでも僕だけの女の子にしたいんだ…！

悠人の抱き締める力が強まる。

福島光

は、離せよ！悠人！

滝沢悠人

ねー、ひかり。僕の心臓の音、ちゃんと聞こえてる？

福島光

えっ？

滝沢悠人

こんなにドキドキいってるの、恥ずかしいけど、ひかりじゃなきゃこんなんならないんだよ？

福島光

悠人…良い加減に…

滝沢悠人

ひかりも…ドキドキいってるの聞こえてるよ？

福島光

ちがっ…！

ふいに悠人の抱き締める力が弱まり、身体が離れる。

滝沢悠人

ひかり…。今日は女の子として1日過ごして、楽しくなかった？

福島光

べ、別に、悠人に頼まれたから仕方なくやってただけだし…！

滝沢悠人

本当に、それだけの気持ちにしかならなかった？

福島光

…っ。

滝沢悠人

僕、気付いてたんだ。

福島光

な、何が？

滝沢悠人

ひかりの部屋に前に来た時、女の子の雑誌、置いてあったこと。

福島光

ち、ちがっ！それは！

滝沢悠人

隠してたんだろうけど、端っこ見えてたよ？

福島光

べ、別にいーだろ！あったって！

滝沢悠人

ひかり、本当は女の子の気持ち、捨てきれてないよね？

福島光

良い加減にしろよ！！

滝沢悠人

…！

福島光

気持ち、引っ掻き回すなよ…。

福島光

これは、あたしの問題で

福島光

悠人には関係ない！！

福島光

もう3年前から決意したことなんだよ！！

福島光

涼太のこと…里穂のこと、あたしは絶対に裏切れない！

福島光

女としての気持ちなんか…

滝沢悠人

ひかり。

福島光

もう、うるさい…。

滝沢悠人

ひかり、ちゃんと僕の方見て。

両頬を悠人の両手で押さえられ、光の顔が無理矢理、悠人の方へと向けられる。

滝沢悠人

僕は、ひかりのことが好き。

滝沢悠人

ひかりは？僕のこと、嫌い？

福島光

き、嫌いじゃねーよ。

滝沢悠人

…好き？

福島光

…。

滝沢悠人

里穂ちゃんが一番なのはわかってるよ。…その次で良いから、

滝沢悠人

…好き？

光は心も気持ちも限界だった。一度、女としての感情を抱き始めたら、もう隠しきれるものではなくなってしまっていた。

…コクン

滝沢悠人

…もー無理。

グイッ

福島光

んっ…！

滝沢悠人

ごめん、もー止めらんない…。

福島光

んんっ…

悠人は今まで抑えてた気持ちを、そのまま光にぶつけるように、唇を何度も何度も重ねた。

滝沢悠人

はぁっ…

滝沢悠人

ひかり…

福島光

ま、待って…んっ…

滝沢悠人

ひかり…本当に綺麗だよ。

そのまま悠人の手が光の胸元へと伸びる。

福島光

やっ…

滝沢悠人

…顔が全然嫌そうじゃないよ？

福島光

あっ…

ピンポーン

滝沢悠人

！

福島光

！

福島光

…ピ、ピザ！！

滝沢悠人

…ん、届いたみたいだね。

福島光

う、受け取ってくる！

滝沢悠人

…うん♪ありがとー。

滝沢悠人

(…興奮しすぎだよ、俺。)

福島光

(どうしよ、心臓飛び出そうなくらいバクバク言ってるし…)

福島光

(ピザ、このタイミングで来てなかったら、あのまま悠人と…。)

滝沢悠人

ひかり？受け取った？

福島光

あ、う、うん！！

滝沢悠人

ひかり、顔…真っ赤。

福島光

〜〜〜っ！！！

滝沢悠人

ば、ばか！

悠人はそのまま勢い良く後ろを向いて部屋へと戻っていった。

…が、悠人の後ろ姿から見える耳も真っ赤になっていた。

福島光

(悠人も、真っ赤じゃん！)

滝沢悠人

(あんなの、ズルすぎだろ…。)

・・・

滝沢悠人

ふ〜、お腹一杯になったね♪

福島光

…うん。

滝沢悠人

ひかり？美味しくなかった？

福島光

あ、ううん、美味かったよ！

福島光

そうじゃなくて…

滝沢悠人

どしたの？

悠人の優しい笑顔が向けられる。

福島光

…本当は、悠人の言う通りなんだ。

福島光

自分の中でずっと気付かないふりして、全部殺してる感情だったけど、

福島光

女の子達がオシャレしたり、化粧したり、そーゆーの見ててさ、どっかでいーなーって思ってる自分はいたんだよな。

滝沢悠人

…うん。

福島光

でも、里穂の…涼太のことを何よりも大事に思ってて、本当に大切で、愛してるっていう気持ちに嘘はないし、それだけは変わらないから

福島光

あいつが毎日キラキラしてて、自分のなりなかった女の子になれてる姿を見てたらさ、

福島光

自分のこんなちっぽけな感情なんて、あたしが飲み込んでしまえば良いんだって、ずっとそう思ってた。

福島光

あたしが男になりきることで、涼太も私も恋人同士でいられるし、一緒にいられるんだ。

福島光

そう思って、決心したはずなのに…

滝沢悠人

現実はそんなに簡単な話じゃないよ、ひかり。

福島光

…わかってる。

滝沢悠人

ひかりは、中身は本当は普通の女の子なんだ。

滝沢悠人

同性愛者じゃない限り、このまま里穂ちゃんの恋人で居続けることは難しいし、必ず限界が来るよ。

福島光

…今日、自分が久々に女に戻って、女として扱われて、正直胸が高鳴ってんだなって思う瞬間はたくさんあった。

福島光

自分の決意ってこんな甘いもんだったんだなって…思い知らされた。

滝沢悠人

…普通のことなんだよ？ひかり。

滝沢悠人

女の子が女の子として扱われたいと思うのも、オシャレしたいって思うのも自然なことだよ。

滝沢悠人

むしろ、身体も心も女の子で産まれた以上、絶対に避けられない感情だよ？

福島光

…悠人の、せいだからな。

滝沢悠人

…うん。ごめん。

福島光

悠人が余計なことしなきゃ、あたしと涼太はあのままだったんだ。

滝沢悠人

…うん。

福島光

…だけど

福島光

涼太じゃなくて、里穂として、女として、あいつのことずっと愛していけるのかって、ちゃんと考えなきゃいけないなって教えてもらえた。

滝沢悠人

…うん。

福島光

甘っちょろい覚悟であいつのこと守っていくなんて言うのは無責任なことだ。

福島光

だから…それは有難う。

滝沢悠人

僕は…ただ、ひかりに後悔して欲しくないだけ。

滝沢悠人

せっかく1人の女の子として産まれて来たのに、その人生を棒に振るなんて、絶対ダメだ。

福島光

…悠人にはかなわないな。

福島光

悠人には、絶対人に話すつもりなかったことでも、話しちゃうんだよ。

福島光

何故か、聞いて欲しいって思わされちゃうんだよな…。

滝沢悠人

ひかり…おいで？

福島光

勘違いすんな！

福島光

確かに心は開いてるし、悠人には頼りっぱなしだけどな、そんな甘えるようなことなんかっ

グイッ

滝沢悠人

うるさい。

福島光

…。

福島光

ごめん、いつも…。

福島光

…有難う。

滝沢悠人

ひかりは、優しいから、愛情深いから、だから頑張りすぎちゃってただけ。

滝沢悠人

もっと僕には甘えたって良いんだよ。

福島光

…うん。

福島光

…ちょっと、よくちゃんと考える。

福島光

どの選択が自分なりに後悔しない道なのか、本当にちゃんと考えるよ。

滝沢悠人

…わかった。

チュッ

福島光

…っ！

滝沢悠人

本当は帰りたくないし、このまま一緒にいたいけど、

滝沢悠人

一晩何もしない自信は僕にはないから、今日はもう帰るよ。

福島光

なっ…！

滝沢悠人

それとも、何かして欲しかったなら泊まっていくけど？♪

福島光

バ、バカ言うな！！！

滝沢悠人

ははっ、本当に可愛いんだからひかりは♪

滝沢悠人

…忘れないでね？ひかりが里穂ちゃんを想うように、僕もひかりのこと想ってるってこと。

福島光

…うん。

滝沢悠人

落ち着いたら連絡ちょーだい。

福島光

わかった。

滝沢悠人

あんま遅いと僕からするけど。w

福島光

わ、わかったよ！！

滝沢悠人

じゃあねん♪

バタンッ

悠人は、いつも通りに振舞いながらも、少し寂しそうな顔をして光の部屋を後にした。

・・・

滝沢悠人

(俺も結局卑怯な奴だよなー。)

滝沢悠人

(…女をやめなきゃいけないひかりが女になりたい里穂ちゃんを好きだなんて、皮肉な話しだよな。)

滝沢悠人

…あ、もしもし。
悠人です。

？？？

"悠人か、何の用だ？"

滝沢悠人

例の件でお話があります。

・・・

福島光

はぁ…

福島光

あたしはどうしたら良いの…。

光の母

不在着信

不在着信

福島光

…あれ？母ちゃんから電話入ってる。

プルルルル…

福島光

あ、もしもし？

福島光

母ちゃん、電話気付かなくてごめん！

光の母

"…あ、そんなことは全然気にしなくて良いんだけど…。"

福島光

ん？どうしたん、母ちゃん？

光の母

"その…、ひかり、本当に元気にしてるん？"

福島光

ん？元気、だよ？

光の母

"そう…。なら良いんだけどね。"

福島光

何よ！本当にどしたん？？

光の母

"あんた、群馬帰ってきたら？"

福島光

えっ？

福島光

急にどしたんって！

福島光

大変なことは色々あるけど、あたしはこっちの生活に満足してるし、大丈夫だよ？心配することないから！

光の母

"…そうかい。とにかく、困ったらすぐ母ちゃんに連絡して来るんだよ？"

福島光

わかってるよ、有難う！

プープープープー

福島光

母ちゃん、何か変だったな。

光の母は光(ひかり)が光(ひかる)として東京で生活していることは知らない。

光なりに心配をかけさせたくないという思いと、自分が性同一性障害ではないのに、男になろうとしていることへの説明が出来なかったからだ。

福島光

まぁでも…女の子の一人暮らしだし、里穂が事故ったことも知ってるしな。心配すんのも当たり前か…。

福島光

マメに連絡入れるようにするか。

福島光

…今日は初めて一回も涼太のとこへ行かなかったな…。

福島光

寂しがってるかな？それとも怒ってるかな？…涼太。

福島光

(もう涼太はいないに等しい。あいつはもう里穂なんだからな…。)

・・・

里穂の病室

牧瀬里穂

光…。

牧瀬里穂

ごめんね。でも、揺るがない気持ちなのか確かめさせて…。

牧瀬里穂

…会いたいよ。

・・・

とある部屋

？？？

…ごめん。

？？？

本当にごめん。

カチッ

投稿が完了しました。

？？？

…あとは時間の問題か。

掲示板

1-B 学校一美女Rの性別は男。
⬇︎⬇︎小学校の卒業アルバム⬇︎⬇︎

記事と一緒に、まだ里穂が少年の姿の小学校の卒業アルバムの写真が添付されていた。

女子生徒

えっ？これって牧瀬…さん？

男子生徒

嘘だろ？！！これ里穂ちゃん？！え？男？！！！

様々な思いが飛び交いながら、夜はふけっていったのだった。

翌朝

滝沢悠人

不在着信

不在着信

福島光

ふわぁ〜。なんだかあんまり寝れなかったなぁ。

福島光

…ん？悠人から電話？

プルルルル

滝沢悠人

もしもし、ひかり？！

福島光

なんだよ、あたしから連絡するって言ってまだ1日も経ってないぞ？w

滝沢悠人

…やっぱひかりはまだ知らないか。

福島光

え？

滝沢悠人

前も話題になった、うちの高校の掲示板。開ける？

福島光

…！

福島光

わ、わかった！今開く！

福島光

…。

福島光

な、なんだよ、これ…！

滝沢悠人

この写真は本物なの？

福島光

うん…本物。

滝沢悠人

そっか…。どうやって突き止めたんだろう…。名前は消してあるから、似てるだけだって言い通せばなんとかなるとは思うけど…。

福島光

誰か群馬で繋がってる奴がいたのか…？学園長にあらかじめ調査しておいてもらったのに…。誰だ…？

滝沢悠人

ちなみに、僕はもちろんのことやってないよ。全部知ってる人間で怪しまれちゃうと思うけど…。

福島光

…いや、悠人のことは信じるよ。

滝沢悠人

…有難う。

滝沢悠人

僕の方でも調べてみるよ。

福島光

助かる…。

滝沢悠人

じゃあまた連絡するね！

福島光

(一体どうなってるんだ？わざわざ里穂の正体をバラして誰の得になるってんだよ…！)

福島光

(ただのひがみ？)

福島光

(いや、そもそも何で知ってるんだよ…！！)

福島光

(どうする…？里穂に話すか？優花や周りの友達には何て話す？人違いだって言えば良いか？)

福島光

(いや、ここはまず里穂のじぃちゃんに相談して…学園長にも話してもらっ方が…)

プルルルル

福島光

！！

牧瀬里穂

通話終了

通話
00:00

福島光

…里穂！

福島光

もしもし…？

牧瀬里穂

"…ひかる？"

牧瀬里穂

"…一昨日は、ごめんね。私言い過ぎちゃったよね。"

福島光

いや…良いんだ。

牧瀬里穂

"…怒ってる、よね？"

福島光

怒ってる訳じゃないよ。

福島光

ただ、里穂の言う通り、よく考えなきゃダメだなって…。

福島光

この先の人生に関わることだし、

福島光

簡単に決心出来るような事じゃなかったなって。

牧瀬里穂

"…え？"

福島光

だから、ちゃんと考えるよ。

牧瀬里穂

"ひかるは…決意が揺らいじゃったんだ。…そっか。"

福島光

…。

福島光

…ちっちゃい頃からずっと、涼太の事を何よりも大切に思ってるのは今もこの先も変わらない。名前が里穂になったって、変わらないよ。

牧瀬里穂

"涼太って名前出さないで！！"

福島光

…里穂。

福島光

…元々は里穂が終わりにしようって言ったんだぞ？

牧瀬里穂

"…もう良い。何も聞きたくない。"

福島光

里穂！！！

牧瀬里穂

"…私、明後日の朝退院することになったから。"

牧瀬里穂

"それだけ伝えたかっただけ！"

牧瀬里穂

"じゃあ…。"

プーップーッ

福島光

(…なんなんだよ。)

福島光

(里穂は、あたしの気持ちは全部無視かよ…！)

福島光

(本当はこんなに好きなのに…。涼太のことが、大好きなのに…。)

福島光

(里穂に…どんどん女になっていく姿なんて、本当は耐えらんないよ…。)

福島光

(あたしの気持ちは全部押し殺してきたけど、…限界だよ。)

福島光

…。

プルルルル

福島光

通話終了

通話
00:00

滝沢悠人

なっ、ひかりから？！

滝沢悠人

も、もしもし？！

福島光

"ごめん…さっき切ったばっかりなのに。"

滝沢悠人

全然！！！むしろひかりからの電話とかレアすぎて嬉しいよっ！！！

福島光

"…。"

滝沢悠人

…どした？ひかり？

福島光

"…はは。情けないな。"

福島光

"キャパオーバーになったら悠人のこと頼る癖がついちゃいそうだ。"

滝沢悠人

何があった？キャパオーバーなっちゃったの？どした？

福島光

"もう、ダメかもしれない。"

福島光

"あたし1人では抱え切れない。"

福島光

"里穂のこと…救ってやれないかもしれない。"

福島光

"一番、一人で辛くて心細くて、寂しいのは、里穂なのに…。"

福島光

"あたし、最低だ…！"

滝沢悠人

今、家にいるの？

福島光

"…うん、そうだけど…。"

滝沢悠人

待ってて♪

福島光

"えっ？"

プーップーップーップーッ

滝沢悠人

(やっと頼ってきてくれるようになったか…！こんな時に不謹慎だけど嬉しいなぁ♪)

滝沢悠人

タクシーッ！

滝沢悠人

すいません、大急ぎで〇〇駅まで！！

・・・

ピンポーン

福島光

…はい。

滝沢悠人

"悠人だよ〜開けて〜♪"

ガチャ

福島光

わ、わざわざ来てくれなくて良かったのに。

滝沢悠人

大好きな子が悲しんでたら飛んでくるに決まってるでしょー！

福島光

…あ、ありがと。

滝沢悠人

ううん、こちらこそ頼ってきてくれて有難う。

ギュッ

悠人は優しく包み込むようにひかりを抱き締める。

ひかりにとっても、これが一番の安心する瞬間になっていた。

滝沢悠人

さて、と。

滝沢悠人

まずは先に僕の方から、掲示板の件についてわかったこと、伝えちゃうね！

福島光

え！もう何かわかったのか？！

滝沢悠人

えへん！うちの会社の優秀な人材を甘く見ないで欲しいなぁ♪

福島光

悠人はそんな偉い立場なの？！

滝沢悠人

まぁ、色々とあるんですよ。僕と父親の間にもっ！

福島光

そう…なのか？

滝沢悠人

そんなことは今は置いておいて！

滝沢悠人

ズバリ。あの昨晩の書き込みをしたのは里穂ちゃんと同じクラスの生徒と見て間違いなさそうだよ。

福島光

…え？！

滝沢悠人

さすがにまだ人物の特定までは出来てないんだけど、時間の問題だね。

福島光

有難う…悠人。頼りになるな。

滝沢悠人

ひかりの為でもあるから、そこは頑張りますよ♪

福島光

…あたしからも相談で、クラスまでわかったなら尚更、

福島光

里穂のじいちゃんに相談しようと思って、今後の対処の仕方とかも学園長に話し通してもらえないかと思ってさ。

滝沢悠人

そうだね、大人に頼るのは間違ってないと思う！

滝沢悠人

後は、里穂ちゃんに近い存在の優花りんや美智香ちゃんには何て話すのか決めておかないと…。

滝沢悠人

一度、里穂ちゃんも交えて相談するべきじゃないかな？

滝沢悠人

本人も知らないままではいられないだろうし。

福島光

…。

滝沢悠人

…あー。この前の事があるから会いづらいか、里穂ちゃんに…。

福島光

…いや、さっき里穂から電話があったんだ。

滝沢悠人

…そうだったんだ！

福島光

言い合いになっちゃって…里穂を怒らせちゃったんだ…。

滝沢悠人

…それで、さっきひかりは悩んじゃってたのね。

福島光

…うん。

福島光

光は決意が揺らいじゃったのかって。…里穂はかなりショック受けたんだと思う。

滝沢悠人

…。

福島光

終わりにしようって言ったって、俺なら絶対に里穂を取ってくれるって信じてたんだな…。

滝沢悠人

…うん。

福島光

あと、里穂、明後日退院することが決まったって。

滝沢悠人

…そっか。

滝沢悠人

ひかりは、どうしたい？

福島光

…里穂が書き込みのことを耳にするのは時間の問題だし、

福島光

一人で不安にさせたくない。

福島光

…一度、病院に行ってくる。

滝沢悠人

…うん。

滝沢悠人

…付いて行く？

福島光

…大丈夫。

福島光

まだ気持ちの整理ついた訳じゃないし、今のありのままの気持ちだけでも話すよ。

福島光

どんな形でも、やっぱり里穂を一人にはさせたくないから…。

滝沢悠人

…わかった♪

福島光

…ごめん、悠人。

福島光

頼りたい時だけ頼って、こんな中途半端な気持ちで…。

滝沢悠人

そんなこと気にしないの！

滝沢悠人

僕が好きでやってることなんだから♪

福島光

病院に行く前にじいちゃんに電話だけかけてみる。

滝沢悠人

そうだね！

滝沢悠人

(…でも、なんか夏休みの終わりがけにこの書き込み…。)

滝沢悠人

(新学期から里穂ちゃんのことを学校に来づらくさせようとしたいのか？)

滝沢悠人

(何か計画的な物を感じる気がするのは気のせいか…？)

プルルルル

福島光

もしもし？じいちゃん？

里穂の祖父

"…おぉ、光かい？どうしたんじゃ？"

福島光

実は…うちの高校の掲示板に里穂が男だっていう書き込みがあって、小学校の卒業アルバムの写真まで載せられてたんだよ。

里穂の祖父

"…そうか。"

福島光

入学前に学園長にも、念入りに在学中の生徒と新入生の中に繋がりそうな生徒がいないか調べてもらってたとは思うんだけど…

福島光

今後も怖いし、学園長にも一度話してみてもらえないかと思って。

里穂の祖父

"…そうじゃな。一度話してみよう。"

福島光

俺の友達に調べてもらったんだけど、どうも里穂と同じクラスの生徒みたいなんだよな…。

里穂の祖父

"…！！"

福島光

個人まで辿り着くのは時間の問題ではあるみたいなんだけど…。

福島光

頼むな、じいちゃん。

里穂の祖父

"…わかった。任しておけ。"

福島光

おう、何か進展あったらまた連絡して欲しい。じゃあ！

プーップーップーップーッ

滝沢悠人

おじいさん、何とかなりそうだって？

福島光

学園長にも話してみてくれるって！

滝沢悠人

そっか、なら良かったね。

福島光

うん…。犯人が誰なのか知るのも怖いけどな…。

滝沢悠人

そうだね…。

・・・

福島光

じゃあ、そろそろあたしは病院に行ってくる！

滝沢悠人

僕、その辺プラプラしてるから、話し終わったら連絡ちょーだいよ♪

福島光

うん、有難う！

滝沢悠人

じゃあね、ひかり。
ちゃんと落ち着いて思ってる気持ち伝えておいでっ！

福島光

…うん！

・・・

里穂の病室

コンコン

牧瀬里穂

…はい。

ガラガラ

福島光

里穂…。

牧瀬里穂

…ひかる！

福島光

…ごめん。昨日来てやれなくて。

牧瀬里穂

…もう良いよ。何で来たの？

牧瀬里穂

お別れしに来たの？

牧瀬里穂

私のことを好きな光はもういないんでしょ？

福島光

それは違う…！！

福島光

里穂…一人にさせてごめんな。

ギュッ

福島光

会いたかったよ。本当に。

光は身体が勝手に動いていた。

牧瀬里穂

や、やめてよ！！

牧瀬里穂

期待…しちゃうじゃん…。

福島光

里穂…怒らないで聞いて？

福島光

俺、ちゃんと真剣に、真面目に考えたんだ。

牧瀬里穂

…うん。

牧瀬里穂

さっきは感情的になってごめんね…。

福島光

いや、俺の伝え方がいけなかった。

福島光

里穂のことは今もこの先もずっと好きだ。

福島光

それはずっと変わらない。

牧瀬里穂

…うん、有難う。

福島光

だけど、里穂の言う通りでさ、

福島光

俺は心が男じゃない。

福島光

男になれないんだよ…。

福島光

どうしてもどこかで女の子がオシャレしたり、化粧したりしてる姿を見て羨ましく思ってる"ひかり"がいるんだよ…。

福島光

里穂のことを好きな気持ちとは別の問題なんだ…。

牧瀬里穂

そっか…。

牧瀬里穂

当然…だよね。

牧瀬里穂

年頃の女の子だもん。

福島光

どんどん綺麗になって女らしくなっていく里穂を見て、嬉しくて誇りに思ってる自分と、

福島光

涼太からどんどん変わっていく里穂の姿に戸惑ってる自分もいるんだ…。

福島光

…でも、好きな気持ちは変わってないんだよ？

牧瀬里穂

…うん。

里穂の目から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちる。

福島光

…ごめんな。

福島光

俺は里穂のヒーローなのに…

福島光

里穂のこと悲しませて。

福島光

…俺も、心も男で生まれて来れれば良かったのにな。

牧瀬里穂

う、ううん、私の都合だから…全部！

牧瀬里穂

今こうしていられるのも、全部、光のお陰なのにぃ…っ

牧瀬里穂

欲張りすぎ、だね、あたし…。

牧瀬里穂

…でも、でもね、それでも光を失いたくないの…！

牧瀬里穂

私だけの光でいて欲しいって思っちゃう私がいるのぉっ…

福島光

俺だって、他の誰にも里穂のことを渡したくないってずっと思って来たよ…。

福島光

だから、どうして行くのが二人にとって一番良いのか、考えよう？

福島光

離れる必要なんてないし、今まで通り一緒にいれば良いんだから…。

牧瀬里穂

…うん。

福島光

距離置いたりしたい訳じゃない。

福島光

ちゃんと一緒に考えようってだけだ。

牧瀬里穂

…うん。

牧瀬里穂

泣いて、ごめんね。

牧瀬里穂

困らせて、ごめんね。

福島光

謝ることなんて何もないよ。

牧瀬里穂

うぅ…。

しばらく光の腕の中で里穂は色んな気持ちを吐き出すように泣き続けた。

・・・

福島光

…少し、落ち着いたか？

牧瀬里穂

…うん、有難う。

福島光

少し別の話し、できそう？

牧瀬里穂

うん。

福島光

うちの高校の掲示板に昨晩また里穂のことで書き込みがあった。

牧瀬里穂

！！！

福島光

その反応だと、見てないよな？

牧瀬里穂

うん、光のこととか、自分のこととか色々考えてて、全然見てなかった。

牧瀬里穂

…それで、何て書き込まれてたの？

福島光

これ、見て…。

光は掲示板の画面のスクリーンショットを里穂に見せる。

牧瀬里穂

なに…これ。

牧瀬里穂

なんで？私達に繋がる人は誰もいないって！！！どうして？！！

福島光

里穂、落ち着け。

福島光

今俺の方でも色々調べてるし、里穂のじいちゃんにもさっき連絡して、学園長にも話してもらうように頼んである。

牧瀬里穂

やっとここまで来れたのに…。

福島光

いや、でもあれから掲示板見たけど、本人な訳ないって書き込みして来てる人もいるし、信じてない人もたくさんいる。

福島光

名前が載ってる訳じゃないから、こっちでシラを切ることも出来る。

牧瀬里穂

そっか…そうだよね…。

福島光

優花とか一ノ瀬からは何か聞かれたりしてるか？

牧瀬里穂

ううん、美智香ちゃんからは大丈夫？って連絡入ってたけど、身体のことかと思ってたから…。

福島光

そうか。

福島光

…本当の事を話すか話さないかは里穂の自由だけど、落ち着くまではあの2人にも何も話さない方が良いんじゃないかと、俺は思う。

牧瀬里穂

そう…だね。

牧瀬里穂

本当のこと話すにしても、私もまだ勇気出ないや…。

福島光

今無理に話す必要はないし、話さないままだって良いんだぞ、里穂。

牧瀬里穂

うん…。

福島光

それから、こっちが変に動くとこの書き込みした犯人がどう出てくるかわからない。

福島光

少し様子を見よう。

福島光

(里穂の同じクラスの奴が犯人である可能性が高い事は言わないでおこう…。余計にショックを受けちゃうだろうから…。)

牧瀬里穂

わかった…。

牧瀬里穂

…でも、怖いよ、光…。

福島光

大丈夫、俺がついてるから。

福島光

何があっても、絶対俺は里穂の味方だから。な？

牧瀬里穂

…うん、有難う…。

福島光

…急いで来たから、何も買ってくるの忘れちゃったんだけど、なんか飲みたい物とか食べたい物、ない？

福島光

売店行ってくるよ！

牧瀬里穂

んー…、カフェオレと甘い物、食べたいかな…。

福島光

待ってて！すぐ買ってくるから！

牧瀬里穂

…有難う。

ガラガラ

牧瀬里穂

(…何か光変わったな。)

牧瀬里穂

(…もう、私だけの光でいさせるのは難しい、かな…。)

ガラガラ

牧瀬里穂

光？忘れ物？？

牧瀬里穂

…！

牧瀬里穂

おじいちゃん！

里穂の祖父

里穂、大丈夫か…？

里穂の祖父

光から、掲示板の件を聞いて、急いでこっちまで来たんじゃ。

牧瀬里穂

あぁ…。

牧瀬里穂

…大丈夫だよ！光もいるし、今は何言ってもしょうがないしね！

里穂の祖父

…里穂、提案なんじゃがな？

里穂の祖父

海外の学校に留学しないかい？

牧瀬里穂

…えっ？

牧瀬里穂

な、なに言ってるの急に！

牧瀬里穂

光と離れて一人で海外に行くなんてやだよ！私！！

里穂の祖父

…海外の医療は発達してる。

里穂の祖父

ホルモン治療も日本よりも早く受けられんじゃよ？

里穂の祖父

それに、日本にいるよりも、伸び伸びと暮らせるじゃろう？

牧瀬里穂

ちょ、ちょっと待ってよおじいちゃん！

牧瀬里穂

話が急すぎて、よくわかんないよ！

里穂の祖父

里穂が行く気になったら、すぐに手配出来るようにしてある。

里穂の祖父

後は、…里穂次第じゃ。

里穂の祖父

わしは、里穂の為を思って提案してるんじゃぞ？

里穂の祖父

一人になって自立することも出来る。

里穂の祖父

悪くない話ではないと思うんじゃがのう…。

牧瀬里穂

おじいちゃん…。光と私を引き離すような真似するのやめてよ。

里穂の祖父

光は…この話をしたら何て言うかのう。

牧瀬里穂

…え？

里穂の祖父

光はお前の幸せを願って背中を押してくれるんじゃないか？

牧瀬里穂

…ひ、光だって、私と離れたくないって言うよ！！

里穂の祖父

そうかい？

里穂の祖父

まぁ、一度考えてみてごらんなさい。留学して、向こうの発達した医療を受けること。良い話なんじゃから。

里穂の祖父

(光、すまんのう…。)

病室の外

福島光

(海外に留学？！な、なんだそれ、初耳だぞ？)

ガラガラ

里穂の祖父

おぉ、光も来てたのかい！

福島光

じいちゃん、俺がいるって気付いてただろ。

里穂の祖父

うむ？何の話じゃ？

里穂の祖父

わしはちと散歩に行ってくるでな。

牧瀬里穂

…ひかる？

福島光

あ、ごめんごめん！

福島光

お待たせ！！

里穂ほ祖父はそのまま病院の外へと向かって行ってしまった。

福島光

じいちゃん、こっち来てたんだな、

牧瀬里穂

なんか、掲示板の事聞いて心配でお母さんと駆けつけてくれたみたい。

福島光

そ、そっか！

牧瀬里穂

ねぇ、ひかる？

福島光

な、なに？！

牧瀬里穂

私が遠くに行ったら…寂しい？

福島光

な、なんだよ！いきなり！

福島光

そりゃ寂しいに決まってんだろ！

福島光

俺らはずーっと一緒にいたんだから二人で一つみたいなもんだしな。

牧瀬里穂

そうだよねっ！

福島光

…でも

福島光

理由にもよるんじゃないかな。

福島光

寂しいけど、その方が里穂にとって良いことなら俺は我慢するよ。

牧瀬里穂

…。

牧瀬里穂

ねぇ、ひかる。

牧瀬里穂

話し関係ないんだけどさ、

福島光

おう、なんだ？

牧瀬里穂

悠人くんと、会ってる？

福島光

えっ？

福島光

あ、ああ！たまに会ってるよ！

福島光

あ、あいつ、暇人でさぁ、友達、俺しかいないし、か、可哀想な奴だよな！！

牧瀬里穂

ふーん。そうなんだ。

コンコン

看護師

牧瀬さーん。検診のお時間ですよ〜。

牧瀬里穂

はーい！

牧瀬里穂

じゃあ、光！

牧瀬里穂

今日はこらから検診だし、ちょっと疲れちゃったし休みたいから、帰って大丈夫だよ！

牧瀬里穂

また明日…来てくれる？

福島光

お、おう！

福島光

また明日来るな！

ガラガラ

福島光

(何で俺こんな焦ってるんだよ！)

福島光

(別に、悠人は友達…だろ？！)

牧瀬里穂

(光…わかりやすいな…。)

・・・

プルルルル

福島光

もしもし？悠人？

滝沢悠人

"お疲れ様〜♪"

滝沢悠人

"ちゃんと話し出来たかな？"

福島光

割と、思ってることはちゃんと伝えられたかな？

滝沢悠人

"そっか♪なら良かった！"

福島光

掲示板の件も、一旦様子見ってことで落ち着いたよ。

福島光

とりあえず、今は優花にも一ノ瀬にも何も話さないでいる事にしたから。

滝沢悠人

"そっか、わかったよ！"

福島光

…あのさ、ちょっと疲れちゃったから、このまま帰って休んでも良いかな？

滝沢悠人

"うん、大丈夫だよ！ゆっくり帰って休んで♪"

福島光

ごめん、有難う。

滝沢悠人

"じゃあねん♪"

プーップーップーップーッ

滝沢悠人

(病院のすぐ近くまで来ちゃってたなんて言える雰囲気じゃなかったし…仕方ない！帰りますか！)

滝沢悠人

あれ…？

滝沢悠人

優花…りん？

里穂の入院する病院へ入っていく優花の姿が見えた。

滝沢悠人

(お見舞いかな？)

滝沢悠人

(大丈夫かな？里穂ちゃん…。)

滝沢悠人

まぁ俺が出てくのも変か！

・・・

滝沢悠人

(この辺人が多くてやだな〜。)

坂下亜希

あれ？悠人〜！

滝沢悠人

…ん？

坂下亜希

悠人〜！こっち〜♪

滝沢悠人

あれ、亜希！

亜希は悠人の地元の同級生で、悠人といわゆる関係を持っていた仲でもある。

滝沢悠人

偶然だね〜！今帰り？

坂下亜希

そうだよ〜♪悠人も？

滝沢悠人

そー！今帰り道♪

坂下亜希

最近、悠人ぜーんぜん相手にしてくれないからな〜。

坂下亜希

たまには亜希ともアソボーよ♡

滝沢悠人

僕、本気で好きな子出来ちゃったから、もうそういうアソビはやめたんだ♪

坂下亜希

えぇー、つまんないのぉー。

坂下亜希

じゃあ、今亜希お腹空いちゃったからご飯だけでいーから行こ〜？

滝沢悠人

本当にご飯だけだよー？

坂下亜希

襲ったりしないしぃっ！！

滝沢悠人

はいはい、じゃあその辺のお店でいーい？

坂下亜希

いーよー♪

・・・

福島光

ふぅーー。

福島光

ただいまっと…。

福島光

(今日はなんだかすごく疲れたな…。)

福島光

(…あ。里穂の留学の話し…本人に聞けなかったな。)

福島光

(悠人にも悪いことしちゃったな…。謝罪の気持ちも込めて電話入れておこうかな。)

福島光

(あたしからの電話だけで、すごく喜んでくれてたしな…。)

プルルルル

滝沢悠人

おぉっ！！！

滝沢悠人

"もしもしっ！"

福島光

出るの早っ！！

滝沢悠人

"そりゃそうでしょ！！"

滝沢悠人

"ひかりからの電話だもん！！"

福島光

ははっw

坂下亜希

"なーにー？女の子〜？"

福島光

(えっ、女の子の声…。)

滝沢悠人

"うるさいなぁ！大事な電話してるんだから邪魔しないで！"

福島光

え、あ、いや、大丈夫だよ！

福島光

今日悪いことしちゃったなーと思って、

福島光

ちゃんと謝りたかったから電話かけただけだし、

福島光

誰かと一緒にいるなら、もう切るね！！

滝沢悠人

"えっ、ひかり！ちょっと待って…"

プーップーップーップーッ

福島光

(悠人…女の子といるんだ…。)

福島光

(いやいや、別にあたしがどうこう言う立場じゃないし。)

福島光

(そもそも何？悠人が他の女の子と一緒にいるからって何？)

福島光

(…これって、やきもち…？)

滝沢悠人

不在着信

不在着信

滝沢悠人

不在着信

不在着信

滝沢悠人

あー！もーーっ！！

滝沢悠人

亜希のせいで、ひかりが電話出てくれなくなっちゃったじゃん！！

坂下亜希

えぇ〜？亜希が悪いのぉー？

滝沢悠人

亜希が悪いっ！！

坂下亜希

でも〜、彼女じゃないんでしょー？

滝沢悠人

違うけど…

滝沢悠人

でも待てよ？亜希の声が聞こえて態度が変わったってことは…

滝沢悠人

もしや、…やきもち？！

滝沢悠人

だとしたらやべーだろっ！！

滝沢悠人

かなりの進歩じゃねーか、俺〜！！

坂下亜希

悠人…独り言、キモいんですけどぉ…。w

坂下亜希

自分の呼び方、俺になっちゃってるしww

滝沢悠人

亜希っ♪俺もう帰るわ！

坂下亜希

…へっ？！

滝沢悠人

金、ここ置いとくから、好きなだけ食いたいもん食えよ！

滝沢悠人

腹減ってたんだろ？

滝沢悠人

俺は今かなり気分いーから、特別に奮発してやるよ！

滝沢悠人

じゃーなーっ！

坂下亜希

ちょっ、悠人？！！

坂下亜希

…まぁいっか♪

坂下亜希

悠人、ご馳走さまで〜す♡

坂下亜希

(悠人の本性が出て来ちゃうのなんて久々に見たけど、そんなに興奮させる良い女なのかな？)

滝沢悠人

不在着信

不在着信

福島光

(良い加減、出てあげるか…。)

福島光

…もしもし？

滝沢悠人

"ひかり！！やっと出たー！！"

滝沢悠人

"俺、もう帰ってるから！！"

福島光

そ、そうなんだ。

滝沢悠人

"帰りさ、たまたま地元の同級生の女と会っちゃってさー、あいつらみんな飯奢ってくれると思ってたかってくんだよ！"

福島光

ふ、ふぅん。

滝沢悠人

"でも、俺は本気で好きな子出来たからもう遊ばねーってハッキリ言って来たからな？！"

福島光

ゆ、悠人…？

福島光

なんか、喋り方が…

滝沢悠人

"…！！！！"

滝沢悠人

"や、やってしまった…。"

福島光

ははっw

福島光

その話し方が悠人の素なんだな？w

滝沢悠人

"あ〜、僕の普段の営業スマイル&トークがぁぁ〜！！"

滝沢悠人

"ひかりも引いた…？"

福島光

そんなんで引いたりしないし、そんなこと言ったらあたしは何だよ！w

滝沢悠人

"それもそうか♪w"

福島光

おい！w

滝沢悠人

"ちょっと嬉しくなりすぎちゃってさ、ひかりがやきもちやいてくれたのかもって思ったらさ♪"

福島光

なっ！！そういう訳じゃ！！

滝沢悠人

"いーのっ！！それ以上何も言わないで！！！"

滝沢悠人

"僕、このままウキウキして帰りたいからっ！"

滝沢悠人

"僕さ、元々あんまり柄が良い方じゃなかったんだけどさ、

滝沢悠人

"前にひかりに話したことあったと思うけど、彼女に裏切られたことも、親とも折り合い悪かったりしてさ、

滝沢悠人

"気付いたらいつも表面上だけ作るようになっててさ、その方が楽だなって…。"

滝沢悠人

"でも本気で嬉しい事とか、興奮したりするとたまに、素が出ちゃうんだよね…ごめんねっ！"

福島光

謝るなよ！！むしろ、悠人の素が聞けて嬉しかったし、そのままでも良いんじゃないの？

滝沢悠人

"…へへっ。ひかりと2人の時はあんまり気にするのやめるね♪"

滝沢悠人

"じゃあ、ひかり、また明日連絡するね♪"

福島光

…うん。

滝沢悠人

"おやすみ♪"

福島光

…おやすみ。

福島光

(なんか、ちょっと心がホッとしたような落ち着いたような…。)

福島光

(よし、今からは瞑想タイム！)

福島光

(ちゃんと自分と向き合わないと…！)

光はまた、自分のこと、里穂のこと、悠人のこと、これから先のこと、今までのこと、ゆっくりじっくり考えながら眠りにつくのであった。