私は生まれつき色素が薄い
というか、ほとんど無かった
つまりアルビノだったのだ
世間一般の声は
「綺麗」「神秘的」と言ったものが多いだろう
でも、苦労の方が多い
視力が弱く、紫外線にも弱い
もちろん明るい光は苦手
この見た目で沢山の不自由を経験してきた
皆と見た目が違うと虐められることなんて日常茶飯事
そのことから私は心を閉ざしていった
ある男の子以外には…
???
よぉ、みっちゃん!
白瀬 美麗
あ、ゆうくん…
ゆうくん
今日は虐められたりしてねぇか?
白瀬 美麗
うん、大丈夫だよ…
ゆうくん
良かった
ゆうくん
てか、見た目で虐めるとか意味わかんないよな~
ゆうくん
俺はみっちゃんの髪とか肌とか
ゆうくん
白くて綺麗で天使みたいって思うけどな
白瀬 美麗
そんなことないよ…
白瀬 美麗
でも、ありがとう
ゆうくん
…………
ゆうくん
みっちゃんって好きな奴とかいんの?
白瀬 美麗
好き?
白瀬 美麗
分かんない…
白瀬 美麗
好きってなんなの…?
白瀬 美麗
私その気持ちが分からない
ゆうくん
へぇ、変わってるな
ゆうくん
ま、好きって言うのも人それぞれだよ
ゆうくん
みっちゃんなりの好きをゆっくり見つけりゃ良いんだよ!
白瀬 美麗
…うん、分かった
ゆうくん
…俺は好きな奴いるけどな
白瀬 美麗
誰なの?
ゆうくん
い、言うわけねぇだろ!
白瀬 美麗
そっか
白瀬 美麗
私もいつか出来るかな?
白瀬 美麗
好きな人
ゆうくん
出来るんじゃね
ゆうくん
…別に俺はいつでも空いてるけど
白瀬 美麗
え?どういうこと?
ゆうくん
な、何でもねぇよ…
ゆうくん
ほら、帰るぞ!
白瀬 美麗
あ、待って!ゆうくん!
私はその日、親から転校を告げられた
ゆうくんともお別れだ
…………
ゆうくん
みっちゃん!
白瀬 美麗
あ、ゆうくん…
私は半泣きで学校に来ていた
ゆうくん
転校するって…ほんとかよ!
白瀬 美麗
うん…
白瀬 美麗
私、ゆうくんと離れたくない…
ゆうくん
俺だって…
ゆうくん
離れたくねぇよ…
白瀬 美麗
私の事…忘れないでね
ゆうくん
当たり前だろ
ゆうくん
みっちゃんこそ忘れんなよ
白瀬 美麗
うん…!
先生
白瀬さん?
白瀬 美麗
あ、はい…
先生
今から教室行くわよ?
白瀬 美麗
はい…
先生
準備できてるかしら?
白瀬 美麗
…はい
私は今日からまた新しい環境で過ごす
「どうせまた…」
そんな気持ちを抱きながら教室へ歩を進める
先生
皆優しい子だから、すぐに馴染めるわ
白瀬 美麗
…はい
「そんな訳ない」
心の中でそう呟く
でも、私は知らなかった
この新しい場所で
新たな出会い、感情、表情を得ることになる事を…
そして、心から愛する人を見つけられることを───。