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夢の雫と星の花 第1章 前半

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夢の雫と星の花 第1章 前半

1 - 夢の雫と星の花 第1章 前半

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2020年08月08日

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4月に舞花高校に入学してから3ヶ月が経ち、学校にもクラスにも大分馴染んできていた。

一宮君とは同じ高校に通っていて同じクラスだった。

小学生の頃からずっと同じ学校で、たまに同じクラスになった。

同じクラスになれると密かに舞い上がっていた。

教室に着くとすぐに自分の机へと向かう。

私の席は窓際の一番後ろだった。

最近は日差しがきつくて 、席替えが待ちどおしくなっていた。

私は早めに学校へ来るタイプで、教室にはまだ10人ほどしか生徒はいなかった。

その10人ほどの中に彼はいた。

彼の席は窓際の一番前。

その席に座り、机の向かいに立った友達と話をしている。

茶色の髪で少しチャラそうな見た目をしているけど、責任感を持ち合わせた人物だとクラスの皆は知っている。

あんな見た目で学級委員長をやっている。

ショートカットから覗く耳元に手を当てて机に肘をついている。

かっこいい。

いつもなら、机の上に鞄を置くと彼の近くの席の渡辺美沙という友達のところに話をしにいく。

その時に彼にも「おはよう」と挨拶くらいはするのだが、今朝の夢のことを思い出すと、なかなか彼の近くへは行けなかった。

私は少しの間、突っ立ったまま悩んだ挙句、結局自分の席に腰を下ろすことにした。

授業中は、前の4人の背中が邪魔をしてかれの頭くらいしか見えないが、今は、彼の後ろ姿がしっかりと見える。

ずっと見ていられる気がする。

でも次は隣の席がいいなぁなんて考えながら、しばらく彼の後ろ姿を眺めていると席に座って友達と喋っていた彼が振り返って私の方を見た。

そして、席を立って、こっちに向かって歩いてくる。

彼が私に近づけば近づくほどに胸の鼓動が速くなっていくようだった。

何?

何?

何?

なんでこっちにくるの?

頭の中はパニックになっている。

そのまま彼は私の目の前までやってきた。

どうしたんだ?

彼はそう言って私の顔を覗き込んでいる。

え?どうしたって?

顔は硬直し、目は泳いでしまう。

いや、お前いつも渡辺と喋っているじゃん。喧嘩でもしたのか?

彼はそう言って美沙の方に視線を向ける。

いや、そうじゃないけど

じゃあ熱でもあるのか?

彼が私の額に手を当てようとした。

私は恥ずかしさに耐えきれなくって、彼の手を振り返ってしまった。

小学校の頃なら「触るな」ときつい言葉ではあるにしても冗談みたいな言い方ができていたのに、

今は・・・

本気で振り払ってしまった。

私の口から公開する声が漏れた。

それなのに続けて

大丈夫だから

冷たく言ってしまった。

そっか

彼はそういうと、自分の席に戻って、また友達と雑談を始めたようだった。

やってしまった。

これも夢のせいだ。

周りの音が遠のいていくようだった。

こんなことをしてしまって、本当に彼に告白なんてされるのだろうか。

未来が変わってしまったりしないか不安になった。

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