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コメント
1件
うう……読んでて胸がぎゅっとなりました。四季の移ろいとともに蘇る思い出のひとつひとつが、今の「ひとり」をこんなに鮮やかに浮かび上がらせるんだなって。特に「冷た!」「ちょっとタンマ!」って聞こえてくるような最後の会話のあたり、苦しくて泣きそうになりました。喪失の描き方がとってもリアルで、あおい、しばらく余韻から抜け出せそうにないです……素敵な作品をありがとうございます🌷
がびょ
711
20
れお
222
晴れた日のことだった。
あたしと、恋人の晴風ちゃんで海に行ったの。
とても楽しかったの。
途中までは。
晴風ちゃんは、流されちゃった。
そのまま溺れて、死んじゃった。
変わり果てたぶくぶくの水死体を今も覚えてる。
夏休みが終わる数日前のことだった。
ふたりで海に行ったの。
それがあたしの、罪になったの。
あれから数日、そのまま時間は過ぎて9月1日。
晴風ちゃんがいないのに、学校に来た。
もう楽しいことなんてないんだろうな。
先生
先生
先生が晴風ちゃんのことを言っている。
クラスメイトはざわざわしている。
何人か泣いている子もいるみたい。
もうあたしは、涙が出なかった。
晴風ちゃんがいない生活は辛くて悲しくて、何も出来なくなってしまった。
1つ早くなった出席番号と無くなった机を見たくなくて、学校にも行かなくなった。
凍夏
ねぇ晴風ちゃん、あたしもう嫌だよ
なんで帰ってきてくれないの。
「いつまでも泣いてると晴風ちゃんも悲しむよ」
お母さんにそう言われて、あたしも前に進もうと思った。
まだ学校には行けないけど、塾で勉強してみたり、してる。
塾帰りに寄った公園。
去年晴風ちゃんとお月見した場所。
「月が綺麗ですね」ってふざけあって、愛を伝えてたなぁ。
凍夏
凍夏
もっと晴風ちゃんと見たかったのにな。
あれから、外に出るのにだいぶ慣れたよ。
もう葉っぱもなくなって、雪がきらきら光る季節になっちゃったよ。
去年雪合戦したよね。
ちょっと喧嘩してたから本音とかぶちまけながら投げあってさ、
でも晴風ちゃんは球技が苦手だったから、あたしにボコボコにされてたよね。
凍夏
そこにあった木に雪玉を投げつける。
相手は木だから、「冷た!」とか「ちょっとタンマ!」とか何も言わなかった。
凍夏
ベンチに小さな雪だるまを作って帰る。
その片方が崩れたことに、帰りだしたあたしは気付かなかった。
もう桜が咲く時期になっちゃった。
あたし、新学期から学校行けるようになったんだ。
去年は春休み中に満開になってたから、慌ててコンビニでお菓子買って公園でプチお花見したよね。
2人とも花より団子で、お菓子の奪い合いしてさ。
凍夏
あの時と同じチョコも、1人じゃ多すぎるよ。
もう梅雨になっちゃった。
雨ばっかでうんざり。
傘さしてても濡れててもどうも思わない。
去年は相合傘したり逆に傘を取り合ったり…
でも、2人とも忘れてることが1番多かったかもね。
ずぶ濡れになりながら走った日がたくさんあった。
あの日のずぶ濡れは楽しかったのに。
凍夏
凍夏
「は?私の傘なんですけど!」って言ってよ。
今年も冷房が必要になりだしてるよ。
ねぇ、ひとりはさみしい。
ずっとつまんない。
凍夏
もう晴風ちゃんがいない日々なんていらないのに、
君のいない夏が来るんだ。