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御影壱也
日曜日。雲一つない青空が広がった遊園地の噴水前で、大きな声を上げて手を振っているのは壱也だった。その隣には、いつも通りの眩しい笑顔を取り戻した紗花 ――紗花が、壱也の腕に嬉しそうに抱きついている。
榛野吏玖
私の隣で、カバンを片方の肩にかけた吏玖が、いつもの気怠げでおだやかな声で応じる。でも、今日の吏玖はいつもと少し違っていた。みんなに見えない絶妙な角度で、私の左手を自分の右手のひらでそっと包み込み、優しく指を絡めてくれているのだ。恋人繋ぎ。手のひらから伝わる体温に、私の心臓は朝からずっとドキドキしっぱなしだった。
山中紗花
紗花が私に駆け寄ってきて、ぎゅっと抱きついた。紗花の瞳にはもう不安の影は一切なくて、心の底から今日を楽しみにしているのが分かって、私はホッと胸を撫で下ろす。
山中絃花
御影壱也
壱也が腕を組んで、ニヤニヤしながら私たちを見つめてきた。
榛野吏玖
吏玖は悪びれもせず、むしろ見せつけるように私の手を少しだけ持ち上げてみせる。
榛野吏玖
山中絃花
顔が真っ赤になる私を、吏玖は愛おしそうに目を細めて引っ張っていった。
遊園地の中は、たくさんの人で賑わっていた。アトラクションの列に並んでいる間も、4人の会話は弾んだ。
山中紗花
御影壱也
山中紗花
御影壱也
相変わらず息がぴったりで、お似合いな紗花と壱也。その様子を、私は一歩引いた場所から……ではなく、今はすぐ隣にいる吏玖の真横で見つめていた。
榛野吏玖
吏玖が少し照れくさそうに名前を言い直し、私の顔を覗き込んできた。
榛野吏玖
山中絃花
榛野吏玖
吏玖が目線で促した先では、すでに壱也と紗花が「どっちのアイスにするか」で楽しそうに揉めていた。
山中絃花
初めて「くん」をつけずに名前を呼ぶと、吏玖は一瞬だけ驚いたように目を見開いたあと、嬉しそうに耳の先端を赤くした。
榛野吏玖
山中絃花
榛野吏玖
人混みをすり抜ける間、吏玖は私を他人の肩にぶつからないように、自分の身体の方へそっと引き寄せてくれた。昔の私にとって、3人で歩く道はいつも寂しくて、一歩後ろが私の指定席だった。だけど今の私には、私の歩幅に合わせて歩いてくれて、私だけを見つめてくれる、優しくて格好いい男の子が隣にいる。
榛野吏玖
手渡された甘いクレープを食べながら、私は吏玖の優しい笑顔を見つめた。恋を諦めていた私の世界を、自分の色で鮮やかに塗り替えてくれた彼。青空の下、4人の笑い声が響く中で、私は新しく見つけた自分の「最高の特等席」で、これまでにない幸せな微笑みを浮かべるのだった。
コメント
1件
みぅ🤍🥀です 第13話、読み終わったよ〜〜〜 もうね、冒頭から吏玖くんの恋人繋ぎで胸がきゅんきゅんしっぱなしだった…! 「呼んで」「もう一回」っておねだりするところ、吏玖くんの本気が伝わってきてずるいよ🥺 紗花と壱也のやり取りも可愛くて、4人で遊園地デート、全員が幸せそうで本当に良かった。 「一歩後ろが指定席だった」絃花が今は隣に立ててるのが、すごくじんわりくる…。 ゆゆさんの描く甘くて優しい空気感、めちゃくちゃ好きです🌙