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ちょ、

蘇枋っ!

蘇枋って!

気づいたら桜君の腕を 強くつかみ、 さっき居た場所から 逃げる様に移動していた。

あんなに楽しそうに笑う桜君 俺は見た事がないのに、 あまり笑うことが無いこの子を、 笑顔にするのを 俺じゃないのが、 ただただ腹立たしかった。

蘇枋っ!

痛ぇって!

蘇枋

あ、ごめん桜君……

蘇枋

腕、痣になってない?

大丈夫だ。

痣になってたとしても気にしねぇし

蘇枋

ダメだよ

蘇枋

痣になってないか確認しよ?ね?

制服の袖をめくった瞬間、 桜君の筋肉質な腕が見えた。 痣になってないか、 よく確認する。

俺が付けた痕が残ってるっていうのも 興奮するからいいけど、 それ以前に、 ただ純粋に好きな人には 傷付いて欲しくなかった。

蘇枋

うん、大丈夫そう

大丈夫だっつってんだろ

蘇枋

桜君の大丈夫は
あんまり信用出来ないな~

そう揶揄いつつ、 俺は幸福を感じていた。 ちょっと不機嫌そうにそっぽを 向いてしまう桜君。 それすら愛おしい。

この時間が、 ずっと止まって進まなきゃいいのに。 なーんて柄にも無い事を考えた。

蘇枋

さ、

蘇枋

桜君。

蘇枋

帰ろうか

お姫様に手を出すかの様に、 俺は桜君に 自分の手を取らせようと前に出した。

十亀

桜~
こっちで話そう?

十亀

雑談とか、

十亀

桜の好きな人の話とか~

ばッ!

隣に並んで早々、 突然ビックリする事を言われた。 なんなら結構慌てた。

十亀

桜顔真っ赤~ 笑

十亀

なになに?本当に好きな人でもいんの?

いや、それは……

誰にも言わない。 そう決めた。

十亀

大丈夫だよ

十亀

桜の想いを笑ったり、
貶したりしないから。

その言葉を聞いて、 一気に決意は崩れた。 それ程…… 簡単に俺の決意が崩れる程に、 さっき言ってくれた言葉が嬉しかった。

気づいていたら、 ポロッと口から漏れていた一言。

蘇枋が、好き……。

ついに誰かに行ってしまった。 長い間秘めていた想いを…… なんて言われるだろうか、 どんな顔をするのだろうか、 俺の事、 男が好きな気持ちわりぃ奴だって、 思うのだろうか。

何も見たくなくて、 顔を俯かせた。

少しの沈黙を破り、 俺の頭がぐしゃぐしゃっと 掻き回された。 反射的に上を見あげると、 笑顔で頭を掻き回す 十亀がいた。

十亀

うん。そっかそっか

十亀

頑張ってね桜。

十亀

俺は応援してるよ

十亀の顔を見つめながら、 俺は目を見開いた。 すごく優しい顔をされていた。

十亀

ところでさ~桜ぁ~

十亀

眼帯ちゃんのどこが好きなの~?笑

意地悪っぽく 蘇芳の好きなところを聞かれた。 顔もニマニマしていた。

十亀

あー、ほら

十亀

むきーっ!ってしないの~笑

チッ

でもどこか、 こいつに蘇枋の事を話していると、 自然に笑顔が溢れてくる。 十亀も、 うんとか合図地を打ちつつ、 俺の話を遮らないで 笑顔で聞いていてくれた。

話しやすくって どんどん蘇枋の好きなところがでてくる。 改めて実感する。 蘇枋のことが、 大好きでたまらないと、

蘇枋

さ、

蘇枋

桜君。

蘇枋

帰ろうか

俺の前に出された手は、 取ってほしいと言わんばかりに 突き出された。 その時の蘇枋も、 かっこよくて仕方なかった。

な、何すんだよ!

取らねぇよっ!

恥ずかしくて恥ずかしくて、 俺は蘇枋から目を背けて そっぽを向いてしまった。

蘇枋

そっか、

蘇枋

ま!冗談だけどね~笑

一瞬ちらっとみえた 蘇枋の悲しそうな顔は、 ぎゅっと俺の心臓を握りつぶした。

後悔だけが残る中、 俺は蘇枋に何も言えなくなり、 2人揃って何事も無かったかの様に 雑談をして帰った。

飲み込んだ飴玉。

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コメント

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初コメ失礼します! 切ない…え、主さん天才?

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