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鮭盛り合わせ

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鮭盛り合わせ

8 - 寝なさい!(krsh)

♥

680

2023年05月30日

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家には5人の問題児が居る。

Nakamuは何かとやらかすし

逆にスマイルは何もしない。

Broooockはよく物を無くすし

きんときは困ったら力で解決しがち。

でも一番の問題児はシャークんだ。

彼は何度注意しても不健康な生活をやめない。

誰かが声をかけないと食事を取らないし

朝方に漸く寝たと思ったら昼にはゲームを再開している。

だからいつまで経っても体はガリガリだし、隈も濃くなる一方。

いい加減直させないと。

ナカム

あれ?

ナカム

やんまだ寝ないの?

やん

寝るよ

やん

あとこれで終わりだから

ナカム

じゃあ先寝るね

やん

はーいおやすみー

ナカム

おやすみー

Nakamuを見送り時計に目をやる。

23時42分。

やん

おにぎりでも作ってやるか

冷凍する予定だったご飯をラップに包み塩を塗してレンジで温める。

軽く形を整え、お茶と一緒にお盆に乗せて

コンコンコン。

緑色のネームプレートが掛けられた扉をノックする。

でも中から返事は返ってこない。

予想通り。

そっと中を覗くとディスプレイの明かりに照らされた薄暗い部屋で、赤いヘッドセットを装着し忙しなくキーボードを叩くシャークんの姿があった。

はぁ、と溜め息を漏らし部屋の電気をつける。

シャケ

うわっびっくりした!

やん

電気くらいつけなよ

シャケ

ノックくらいしろよ!

やん

したよ!!

エスケープを押しポーズの状態にはしたがゲームを閉じる気配は無い。

ヘッドセットを首に下ろす彼におにぎりを差し出せばキョトンとした顔をした。

やん

作ってきてやったから食え

シャケ

え、夕食食べたけど

やん

お前はもっと食わなきゃダメ!

シャケ

お腹空いてない

やん

ダメ!!

俺が強めに押し付けると渋々受け取り小さな一口で食べ進める。

やん

はいお茶も飲んで

やん

どうせ水分全然取ってないんでしょ?

シャケ

やん

いつも飲めって言ってるじゃん

シャケ

ゲームに集中すると忘れちゃう

やん

忘れないように気をつけなさい!

ほんとにもう。

子供じゃないんだからしっかりしてもらいたい。

シャケ

はい食べたよ

シャケ

もういい?

やん

じゃあゲーム閉じて

シャケ

え?

やん

偶には早く寝なさい

シャケ

まだ0時にもなってないのに?

やん

もう0時になるでしょ

シャケ

もう少しだけ進めたいんだけど…

やん

じゃあ何時に寝るの?

シャケ

……1時

やん

嘘つけ!

やん

どうせ朝までやるんでしょ!

シャケ

そ、そんな事ない!

やん

お前3時前に寝たことないだろ

シャケ

えっ何で知ってんの?

やん

ほらみろ!

シャケ

わ!誘導尋問だ!

やん

いいから寝ろ!

なんて言い合っているうちに0時を回り

強制的にパソコンを落とさせてシャークんをベッドに寝かせた。

やん

じゃおやすみ

シャケ

…おやすみ

電気を消して部屋を出る。

キッチンに戻り食器を洗って

全ての電気を消してから

もう一度彼の部屋を覗く。

やん

寝ろって言っただろ!

シャケ

やべ…

シャークんはモニターの前に座り直していた。

やん

はい布団に入る!

シャケ

まだ眠くないんだけど…

やん

目瞑ってればそのうち寝れるよ

何も言い返せなくなったシャークんはベッドに入り直す。

でも見張ってないとまた出てしまうだろう。

やん

はぁ…俺今日ここで寝るから

シャケ

は!?

やん

俺が居なくなったらどうせまたすぐゲームやろうとするでしょ

シャケ

ぅ…

やん

布団取ってくるから大人しく寝る努力してろ!

有無を言わさず部屋に布団と枕を取りに行き、シャークんのベッドのすぐ下に敷く。

床で寝るなんて久しぶりだ。

やん

じゃあ、今度こそおやすみ

シャケ

これで明日の朝食を一緒に食べれば完璧。

毎日早寝早起きを心がけてくれれば俺も世話を焼かずに済むんだけど。

まぁ、人の生活リズムなんてそう簡単に変えられるものでは無いだろうし

うん?ちょっと待て

目を閉じているのに何か眩しい

部屋の電気もパソコンも消したよな。

やん

お前なにスマホ触ってんだ!

シャケ

あぁ!

シャケ

コンボが途切れる!

やん

寝ろって何回言わせんだ!

取り上げたスマホの画面には彼お気に入りのリズムゲームが表示されていた。

よく見れば髪の隙間からワイヤレスイヤホンが見える。

大音量にしてやれば悲鳴を上げて起き上がった。

シャケ

耳壊れるって!

やん

うるせぇ寝ろ!

シャケ

きりやんが煩くしたんじゃん!

やん

お前がゲームしてるのが悪いんでしょーが!

やん

スマホもイヤホンも没収!

シャケ

えぇ!

やん

えぇじゃない!

全くもう、とつい荒くなってしまった息を整え再び横になる。

本当に油断も隙もあったものではない。

いっそ隣に寝させようか。

え、それでいいじゃん。

やん

シャークんちょっと壁際寄って

シャケ

え?

シャケ

ちょ、なに?

やん

お前が全然寝ないからベッドで一緒に寝ることにしました

シャケ

は?

シャケ

おい狭いってぇ

やん

シャークんが悪いんでしょ

シャケ

なんか今日のきりやん厳しくない?

やん

俺はいつも通りだよ

シャケ

何でそんなに寝かそうとすんだよ

やん

たまには健康的な生活を送らせないと体壊すから

シャケ

それくらい自分で管理できる

やん

出来てないじゃん

シャケ

できるよ

やん

最後に朝食食べたのいつ?

シャケ

え…

やん

いつも昼起きだから2食しか食ってないよね?

シャケ

…うん

やん

その2食すら疎かにする時あるよね?

シャケ

……はい

やん

誰がどう見ても不健康な生活送ってるくせによく体調管理できてるなんて言えたね?

やん

そういうのは隈無くしてから言いなさい!

シャケ

ごめんなさい…

やん

俺の言うこと聞く気になった?

シャケ

うん…

やん

よろしい

シャケ

シャケ

ねぇ

やん

ん?

シャケ

えっと…

やん

なに?

シャケ

…朝食…ハムエッグ食べたい

やん

やん

ふふっ、了解!

この会話を最後にお互い沈黙し

暫くして小さな寝息が聞こえてきた。

寝させるのにも一苦労だけど

反抗的な猫を手懐けられたような

そんな達成感に似たものを感じ

満足した俺もまた眠りにつくのだった。

翌日。

22時。

夕食もお風呂も済ませて

各々自由に過ごす中

珍しく自室に引きこもらずリビングに居座っていたシャークんが寄って来た。

シャケ

ねぇ

やん

なに?

シャケ

今日も…部屋来る?

やん

なんでよ

シャケ

なんでって…

シャケ

寝させる為?

驚いた。

てっきり昨夜のことは触れずに逃げようとすると思ったから

まさかシャークんの方から切り出してくるなんて。

やん

来て欲しいの?

シャケ

は!?

シャケ

そんな訳ないじゃん!

ぶるーく

なになに?

ぶるーく

どうしたのシャークん

やん

俺昨日シャークんの部屋で寝たんだけど今日も来ないのって誘われたw

シャケ

誘ってねぇ!

ぶるーく

僕が行ってあげようか?w

シャケ

来んな!

拗ねたようにそう吐き捨てるとシャークんは自室へ戻ってしまった。

ぶるーく

あーあ行っちゃった

ぶるーく

きりやんどうするの?

やん

そうだなぁ

やん

寝させたいは寝させたいから今日も行ってやるか

ぶるーく

僕も行くー

やん

シャークんが嫌がりそうだからダメ

ぶるーく

えぇー

眉を下げるBroooockは放っておいて自室に布団を取りに行く。

いやシャークんのベッドで寝るから枕だけでいいか。

枕を持って彼の部屋をノックする。

やん

入るよー

シャケ

…なに?

やん

今日も一緒に寝ようと思って

シャケ

今日も?

やん

嫌?

シャケ

……別にいいけど

本当は寝たかったくせに。

いくら隠そうとしても本心バレバレだよ。

そういう所はちょっと可愛いとつい思ってしまった自分に気づき

誤魔化すように布団に潜った。

やん

ほら早くシャークんも寝な

シャケ

うん…

やん

今日はやけに素直じゃん

シャケ

抵抗しても疲れるだけだろ

やん

偉い偉い

シャケ

抵抗しても無駄だと学んだ彼の頭を撫でてやると

肩を跳ねさせた後、体を丸めた。

うん、やっぱり猫みたい。

背を向けているからどんな表情をしているかは分からないけれど

嫌じゃなければいいな。

なんて思いつつ寝ようと手を離したら

シャークんが顔をこちらに向けてきた。

やん

なに?

シャケ

ぁ…えっと…

やん

何よ、言ってみな?

シャケ

…今の…もう1回やって…

恥ずかしかったのかそれだけ言うとまた背を向けてしまって

でも此方の様子を伺っているのが気配でわかる。

ちゃんと言葉にしてお強請りできたし、ご褒美にもう一度撫でてあげよう。

やん

これ好き?

シャケ

ん…寝れそう…

やん

気持ちいい?

シャケ

きもちぃ…

シャークんの声が段々小さくなってきて

あっという間に眠りについてしまった。

頭を撫でられるのが好きだなんて

これはいい事を知ったな。

一緒に寝るようになってから一週間。

俺は毎晩シャークんの部屋を訪れている。

スマイル

シャークん最近朝早くない?

シャケ

きりやんが煩いから

スマイル

お前きりやんに起こしてもらってるの?

シャケ

と言うか…きりやんが起きた時の音で起こされる

家事当番の2人が洗い物をしながらそんな会話をしているのが聞こえてきた。

確かに俺が声をかけて起こすことは無い。

でもシャークんは音に敏感だから

布団のガサガサいう音や扉の開閉音で起きてしまう。

スマイル

お前ら本当に一緒に寝てるんだ

シャケ

きりやんが部屋に来るんだよ

スマイル

追い出せばいいじゃん

シャケ

そうだけど…まぁ別にいいかって

スマイル

ふーん

追い出す気なんて更々無いくせに。

でももし部屋に行かなかったら

シャークんはどうするんだろう。

好奇心と悪戯心が混ざった感情を持って自室の扉を閉める。

久しぶりに寝転がった自分のベッドは何だか広く感じた。

スマホを片手にチラチラと時計を確認する。

いつもなら、そろそろ寝ようかという時間。

シャケ

きりやん?

彼らしく控え目な声に呼ばれてつい口が緩む。

返事を返してやれば今度は控え目に扉を開けて顔を覗かせた。

シャケ

寝ないの?

やん

寝るよ

シャケ

……

シャケ

今日は部屋来ないの?

やん

行って欲しい?

シャケ

……うん

あらあら、随分と素直になっちゃって。

きっとこんなシャークんを見られるのは俺だけの特権だ。

やん

折角だし今日は俺の部屋で寝よっか

シャケ

え、いいの?

やん

いいよ

やん

ほらおいで?

シャケ

うん!

シャークんが俺のベッドに横たわる。

そういえばいつの間にか向かい合って寝るようになったな。

恥ずかしがり屋の彼にしては珍しい。

いやそもそも一緒に寝ている時点で珍しいことなんだけど。

元々迷惑がっていたはずなのに

どうしてシャークんは俺と寝たがるのだろう。

シャケ

きりやん

やん

ん?

シャケ

もっとくっ付いていい?

やん

え?別にいいけど…

シャークんが俺の胸に顔を埋める。

やん

どうしたの?

シャケ

どうもしないよ

やん

だって普段こんな事しないじゃん

シャケ

偶にはするよ

何だろう。

何だかちょっと、違和感。

きんとき

え、まだ一緒に寝てるの?

14日目。

不健康な生活を止めさせようとその場の思いつきで一緒に寝たのに

気づいたらそれが日課になっていた。

やん

シャークんが1人で寝たがらなくて

きんとき

大丈夫なのそれ?

きんとき

きりやん離れ出来なくなってない?

やん

親離れみたいに言うな

きんとき

だって親離れできない子みたいじゃん

きんときの言う通りだ。

何時までも一緒にという訳にもいかないし

今後夜に外出する事だってあるだろう。

やん

甘やかし過ぎたかな…

きんとき

その分早寝早起きは出来てるみたいだけど

やん

うーん…

きんとき

そもそも何でシャケはきりやんと寝たいんだろうね

やん

え?

きんとき

だって元々は朝までゲームするのを止めさせる為だったんでしょ?

きんとき

大好きなゲームを手放してまで、何できりやんと寝たいのかな?

やん

それは俺も気になってた

きんとき

何か理由があるのかも

やん

理由…

きんとき

あ、シャケ!

シャケ

ん?

やん

え?

きんとき

シャケこっち来てー

シャケ

何?

きんとき

今晩俺と寝ない?

やん

!?

シャケ

きんときと?

きんとき

そう俺と

シャークんは一瞬俺を見た後目を泳がせた。

シャケ

何で?

きんとき

だってきりやんばっか狡いじゃん

きんとき

俺もシャケと寝たいなぁ

考える素振りを見せ

というか断る言葉を探して

でも見当たらず黙り込む。

きんとき

俺じゃ嫌?

シャケ

い、嫌じゃないよ

きんとき

でも、きりやんがいいんだ?

シャケ

…うん…ごめん

きんとき

謝らなくていいよ

きんとき

でも何できりやんがいいの?

シャケ

……

シャークんはまた黙り込んで俺を見た。

理由はあるけど言いたくないみたい。

きんとき

言いたくないなら言わなていいよ

きんとき

意地悪してごめんね

シャケ

もういい?

きんとき

うん

きんときから解放され足早に去って行くシャークん。

きんとき

何かあるみたいだね

やん

きんとき、何か楽しそう

きんとき

えぇそんな事ないよぉ

やん

絶対楽しんでるじゃん!

きんとき

まぁまぁ

きんとき

どうするかはきりやん次第だよ

確かに

さっきの様子を見た感じ他のメンバーの言う事は聞きそうにない。

俺が聞いても話してくれるとは限らないけれど。

それなら。

きんとき

作戦決まったみたいだね

やん

まぁ一応

きんときと別れて自分の部屋に戻る。

PCをつけて動画編集ソフトを立ち上げて

シャークんが来るのを待つ。

シャケ

きりやん居る?

やん

居るよ

シャケ

入っていい?

やん

うん

シャケ

今日はこっちで寝るの?

やん

あーごめん

やん

悪いんだけど今日は1人で寝てくれる?

シャケ

…え?

やん

急いで仕上げないといけない仕事が出来ちゃって、時間かかるからさ

これは嘘。

彼はきっと一緒に寝たがる理由を話してくれないだろうから

行動で教えてもらう作戦。

シャケ

待つよ

やん

多分朝までかかっちゃうからさ

シャケ

じゃあベッド貸して

やん

部屋の電気消せないし

やん

俺も集中出来ないから

やん

自分の部屋で寝てくれる?

やん

ね、お願い

シャケ

………わかった

無いはずの耳と尻尾が垂れ下がり申し訳ない気持ちになるけれど

これは彼のためでもあるから

引き留めてしまいそうになる手をグッと堪えて

扉が閉まるのを見届けた。

ナカム

やん!

ナカム

きりやん起きて!

やん

んぁ?

翌朝。

Nakamuの焦った様な声に起こされた。

ナカム

お前シャケに何したんだよ!

やん

何って……何も?

ナカム

嘘つけ!

やん

え、何?シャークんがどうかしたの?

ナカム

見た方が早いから

ナカム

取り敢えずきんときの部屋来て!

Nakamuに腕を引かれ

きんときの部屋を訪れる。

中には他のメンバーも居て

ベッドに座るシャークんを取り囲むように困った顔を浮かべていた。

ぶるーく

シャークんどうしたの?何で泣いてるの?

スマイル

顔色も悪いし横になった方がいいよ

きんとき

お願いだから何か言って?

シャークんは声も出さず

ただポロポロと泣いていた。

目には消えかけていた隈が

前よりも酷く濃く浮かび上がっていて

寝ていないのだと見て分かる。

きんとき

あ、きりやん!

俺に気づいたきんときが

今にも泣き出しそうな顔で駆け寄ってきた。

きんとき

シャケ昨日俺の部屋に来て一緒に寝ようって誘ってきたの

きんとき

だから入れてあげたんだけど眠れなかったみたいで

きんとき

ずっとあの調子なんだよ

どうやら俺の部屋を出ていった後、一度誘いを断ったきんときの元へ行ったらしい。

ぶるーく

シャークん、きりやん来たよ

スマイル

きりやんとなら寝れそう?

Broooockやスマイルが辛抱強く声をかけるも彼からの反応はない。

寝ていないのならきっと頭は働いていないだろうし

周りの声も聞こえていないのかも。

やん

シャークん

シャケ

やん

シャークんこっち見て

彼の前にしゃがみ両手で頬を包んで目を合わさせる。

涙に濡れ隈が酷い目は焦点がブレていて

やっぱり思考が回っていない様子。

やん

ブルーク、シャークん運ぶの手伝って

ぶるーく

運ぶってどこに?

やん

こいつの部屋

やん

寝かせなきゃ

ぶるーく

わかった!

皆に見守られながら彼をベッドへ横たわらせる。

電気を消して後は任せる様に言えば心配しながらも皆退散して行った。

ドアを閉めてシャークんの隣へ。

やん

寝よっか

シャケ

やん

ほらもっとくっついて

やん

頭撫でられるのも好きだったよね

胸に彼を抱き髪を梳く。

すると微動だにしなかったシャークんが僅かに動いた。

やん

眠れないならお話しようか

やん

何で泣いてるのか教えてくれる?

シャケ

やん

言いたくない?

俺の質問には答えず

でも服をぎゅっと握られて

そこで漸く気がついた。

何かに怯えていると。

やん

昨日の夜何かあった?

シャケ

やん

怖い夢でも見た?

服を握る手に力が入る。

やん

そっか

やん

もう大丈夫だよ

やん

俺が居るからね

シャケ

シャケ

きりやん…

少し掠れた今にも消え入りそうな声に

でも少しだけ安心した。

やん

なに?

シャケ

きりやん…きりやん

やん

なぁにシャークん?

シャケ

何処にも行かないで

やん

うん、ここに居るよ

シャケ

1人にしないで

やん

ずっと傍に居る

シャケ

シャケ

寝るのが怖い…

やん

どうして?

シャケ

怖い夢見るから

やん

どんな夢?

シャケ

真っ暗な中を歩き続ける夢

シャケ

最近はきりやんが一緒に歩いてくれたけど

シャケ

昨日……

シャケ

昨日…きりやんが…

シャケ

死んじゃった…

シャケ

地面が割れて…

シャケ

落ちちゃったの

シャケ

だからまた、あそこに戻るのが怖い

シャケ

戻りたくない…

やん

それで眠れなかったんだ

シャケ

うん…

シャークんをさっきよりも強く胸に抱く。

やん

ね、聞こえる?

やん

俺の心臓の音

シャケ

……聞こえる

やん

生きてるよ

シャケ

…うん

やん

そうだ、手を繋ごう

シャケ

え?

やん

こうやって繋いでいればもう離れないでしょ?

シャケ

でも…また地面が割れて落ちちゃうかも

やん

その時は一緒に落ちよう

シャケ

一緒に?

やん

もしかしたら暗闇から抜け出すための出口かもしれないよ

やん

地面の下がどうなっているかなんて行ってみないとわからないでしょ?

シャケ

……うん

シャケ

そうだね

やん

それじゃあ目を閉じて

やん

夢の中でまた会おう

シャケ

うん…

やん

おやすみシャークん

シャケ

おやすみ…きりやん

規則正しい寝息が聞こえる。

夢の中で無事に会うことは出来たかな。

繋いだままの手を見つめ

そっと微笑む。

きっと俺も夢を見ているんだ。

シャークんの事がこんなにも

愛しいだなんて。

END

この作品はいかがでしたか?

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コメント

2

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このお話、すごく好きです。ありがとうございます…‼︎

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