それから、物事はフェデラーの意思を問わずに流れていった
時間は誰も待ってはくれない
流されるようにフェデラーは島の最高権力者へと成り上がった
中級兵
中級兵
若かりし頃のフェデラー
中級兵
若かりし頃のフェデラー
中級兵
中級兵
若かりし頃のフェデラー
中級兵
フェデラー様フェデラー様フェデラー様
自身を呼ぶ声が耳から離れない
部屋に鳴り響く抗議や問合せの電話
人々の焦る声
フェデラーが気に入らない人々のヒソヒソとした陰口
頭の中で永遠に渦巻き続ける
理解も体も追いつかない
ひたすらに仕事や責任が流れ込んでくる
今まで父か請け負っていた責任から逃れることはできない
肩にかかった重荷を下ろす事などできない
助けを求めてもどうにもできない
自分に課された仕事を永遠とこなすのみ
そんな日々が続くと徐々に街は崩壊の一途を辿り始めた
民衆
民衆
民衆
民衆
民衆
民衆
民衆
毎日家の前では怒号が飛び交うばかり
安息を得ることすらできなかった
国のインフラ設備の崩壊
毎日起こされ続ける暴動
横行する殺人や窃盗
もはや国とは呼べないような有様だった
徐々に中心地の都市部にもデモ組織が足を踏み入れ始めるようになった
割られるビルのガラス
フェデラーの元に行こうと建造物に侵入する人々
もうどうにもできなかった
どうすればいいかわからなかった
若かりし頃のフェデラー
若かりし頃のフェデラー
若かりし頃のフェデラー
父の様な政治をしなければいけない
父の様な素晴らしい国造りをしなければいけない
父の様に、父の様に、父の様に
フェデラーはいつの間にか『過去』の国造りに固執し始めていた
『過去』のものでしかない楽園と呼ばれた国を造るために
だがフェデラーは徐々に道を踏み外し始める
彼の精神は既に限界を迎え始めていたからだ
友達
そんな中、友達は彼の事を心配していた
忙しくなったのだろうとは思っていたが、ここまで会いに来ないとは思っていなかった
友達
下民である友達は、彼の勤める都市へと足を踏み入れる事はそう容易くなかった
その頃下民が前代の統治者を殺した事件により「下民は都市へと足を踏み入れてはいけない」という風潮が生まれ始めていたのだ
『過去』に1人に下民が起こした事件だけに人々は固執し続け、全ての下民を拒む様になった
友達
友達はこの時、彼に会おうとはしなかった
気を遣ったが故の行動だった
前代暗殺から半年が経った頃
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵は急かす様にそう言った
フェデラー
中級兵
中級兵
フェデラー
中級兵
フェデラー
フェデラー
フェデラー
中級兵
フェデラー
フェデラー
フェデラー
中級兵
フェデラー
フェデラー
中級兵
フェデラー
フェデラー
フェデラー
フェデラー
中級兵
中級兵達は皆困惑している
フェデラー
フェデラー
フェデラー
フェデラー
フェデラー
怒り狂う姿に前のフェデラーの影は残っていない
再び『過去』の理想郷の再生と称し
フェデラーは全ての怒りや焦り、責任を下民へと責任転嫁した
既にフェデラーには慈悲の心、正常な判断をする力など残っていなかった
フェデラー
フェデラー
その1ヶ月後
フェデラーの言葉通り「下民排除計画」は実行された
民衆
民衆
中級兵
飛び交う銃声、阿鼻叫喚
その日、徹底的に下民排除が行われた
民衆
退かない人々は問答無用で虐殺された
逃げ惑う人々は海岸の方へと押されて行く
デモ集団は最後まで街で粘ろうとしたが、努力も虚しく殺された
その有り様は目も当てられないものだったという
赤い海とも捉えられるような血溜まり
旋律を奏でるかの様な人々の悲鳴
まるで阿鼻地獄かの様な景色だった
フェデラー
フェデラー
フェデラー
フェデラー
フェデラー
フェデラーの高笑いがビルの最上階で響く
ビルの遥か下には紅色の絨毯の広まっている
紅色の絨毯の上には息絶えた人々の死体が倒れている
笑いが止まらなかった
全ての責任を下民に押し付け、解放された気になっていた
友達
友達は街の有り様を見て呆然としていた
立ち尽くすしかなかった
友達は山の中に住んでおり、この状況については一切知らなかった
ビルの下に広がる血溜まり、その上に倒れる人々
吐き気がした
誰がこんんな悪魔の所業を行ったのか
その時、嫌な勘が頭をよぎる
友達は中級兵の目を潜り抜け、彼のいるビルへと向かった
友達
友達
フェデラー
友達
フェデラー
友達
フェデラー
友達
友達
友達
友達は弱々しい声で尋ねた
フェデラー
フェデラー
友達
友達
友達
フェデラー
フェデラー
フェデラー
友達
友達
友達
友達
友達
友達はフェデラーに歩み寄る
友達
友達
友達はフェデラーの手を取ろうとする
ピシャッ
友達の手は拒まれた
一瞬何が起きたのか、友達は理解できなかった
フェデラー
アマラ
フェデラーは下民に銃口を向ける
フェデラー
フェデラー
下民は怖気付いた
気づけば逃げ出していた
殺されるのを恐れた訳じゃない
もう既に「友達」ではなくなってしまった事を理解できなかった
理解したくなかった
その後もフェデラーによる独裁政治は続けられたいた
それどころかどんどんと酷くなっていくばかりだった
それを元友達は悔いた
あの時逃げた事をずっとずっと悔い続けた
「全ては自分が逃げたせいだ」そう責め続けた
「自分があの日の前に会いに行っていれば」
そう思わない日はなかった
自分に『過去』の行動を永遠と責め続けた
ずっとずっと『過去』を悔い続けた
フェデラー
フェデラーは椅子から立ち上がる
フェデラー
フェデラー
アマラ
フェデラー
アマラ
フェデラー
フェデラー
フェデラーは腰から何かを取り出しす
フェデラー
フェデラーは銃口をアマラに向ける
フェデラー
アマラ
アマラは真っ直ぐとフェデラーを見つめる
アマラ
アマラ
フェデラー
アマラ
アマラは立ち上がる
アマラ
アマラ
アマラ
フェデラー
アマラはフェデラーの喉元を掴み、思い切り窓へと走り出した
フェデラーは抵抗する隙もなかった
そして自分の身を思い切りガラスに打ち付ける
アマラ
アマラ
コメント
4件
フェデラーもどちゃくそかわいそうで泣いた……😇😇😇 アマラ、もしかしてとは思ったけどやっぱり友達だったんだ…… とりあえずフェデラー元に戻そう‼️‼️‼️‼️
まじか!アマラが若い頃のフェデラーの友達?!凄く意外な展開になってきたぞ…最後のあれは絶対2人とも死んじゃうやつじゃん!「贖罪」ってそういうことか…友達を見捨てずに一緒に罪を償う、っていう友情に心を動かされました… 今回の話の最後は不穏な展開で終わったから次が楽しみ…?いやちょっと不安です!
アマラ……そうだったのか…友達…だったんですね…だから今まで… フェデラー…気持ちも分かるけどここまでする程だったかな…気持ちがどうであれ、えぐい事をしたのは確かですね… え?最後…まさか………… 毎話毎話最高です!次も待っています!