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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

魔王

(さ〜て…)

魔王

(こいつは困ったなぁ…)

魔王

(ファーストインパクト以降お互い1歩も引かない戦いとなってるが…)

魔王

(正直なところ我の方が押され気味であるのは確かなんだよなぁ)

魔王

(我は八割力を解放してるのにあっちは恐らく5割程度の力しか出てない)

魔王

(やはりベースであるノルン本人が強いのだろうな)

魔王

(そこにプラスで魔剣の力が加わってるから5割程度の力で対処可能なんだろう…)

魔王

(もちろん単純な力だけじゃない…技量も圧倒的に違う)

魔王

(元々我はただの町娘だったわけだ)

魔王

(それが急に勇者やれって言われて外の世界に投げ出されたんだ)

魔王

(戦闘の基礎なんてものはできてるわけが無い)

魔王

(我の前世の記憶にある勇者の戦い方を参考に今までやってきていたが…)

魔王

(それはただの真似事という事だ)

魔王

(ここに来るまでにたくさんの魔物とも戦ってきたから戦闘経験は豊富な方だと思ってるが……)

魔王

(それは魔物との戦闘経験であり、対人戦はほぼ無いに等しいのだ…)

魔王

(それに比べノルンはどうだろうか?)

魔王

(我の逆といえば分かりやすいだろう)

魔王

(魔物との戦闘経験は少ないだろうが対人戦に関してはかなり経験が積まれてるはずだ)

魔王

(なんせ師匠が剣豪の子孫なんだからな)

魔王

(その上ただ1人の弟子と来たもんだから強いなんて簡単な言葉じゃ済まされんだろうな)

魔王

(我との決定的な差は戦闘における基礎的な動き方と体力づくりだろうな)

魔王

(剣を扱う上でまず基礎ができていない我と基礎が固められているノルンではまぁ話にならないわけだ)

魔王

(元々頭がよくても問題を解く上でやり方がわからないようではわかる奴との差は歴然というものと同じだな)

魔王

(我の戦闘スタイルは曖昧な記憶からできた型…いわば我流という事になる)

魔王

(我流なんて基礎ができてる者からすれば隙だらけということがみてとれる)

魔王

(そして次に基礎的体力だ)

魔王

(なにか動くことに対して体力を使うのは当たり前である)

魔王

(ただその動きの中でどれだけ最低限の体力で軽やかに動けるかが大事なのだ)

魔王

(剣だって適当に振っていればいいものでは無い)

魔王

(それこそさっき言った基礎が必要だろう)

魔王

(だがそれだけでなく剣を振るこの動作の中でどれだけ自分にかかる負荷を抑えられるかそれも重要な事だということだ)

魔王

(一振に対する負荷が小さければその分別のところでその体力を使える)

魔王

(対人戦で言えば足にその体力を当てられるだろう)

魔王

(足だけでなく考えることにだって使うことは可能だ)

魔王

(その一振一振の負荷が小さければ小さいほど我は不利に…そしてノルンは有利になる)

魔王

(今こうして我が思考してるときでさえノルンの攻撃は止むことは無い)

魔王

(そしてそれを喰らわないようにいなすだけだが体力を奪われていく)

魔王

(その上今こうして思考する事でさえも体力を使うのだ…)

魔王

(はぁ……ほんとうに困ったなこれは……)

ノルン

どうしましたか?

ノルン

私の攻撃を避けるので精一杯そうですね?

魔王

そりゃな

魔王

お前さんの一撃重たいからね

ノルン

あら?

ノルン

意外と素直に答えるのね

魔王

強がったところで状況が変わるわけじゃねぇからな

ノルン

ふふっ…

ノルン

それなら大人しく私に殺されなさいよ?

魔王

それは出来ないんだなぁ

ノルン

今の貴女に勝機は無いのよ?

魔王

確かに比率を10で表すなら1:9で私が負ける方で1の可能性があるな

ノルン

ならなんで…

魔王

逆に言えば1の可能性がある

魔王

決してゼロという比率ではない

ノルン

その望み薄な確率に貴女の運命を託すのね

魔王

あぁ…

魔王

少々私は諦めが悪いからね

ノルン

でも残念…

ノルン

その努力虚しく終わることになるわね!

ノルンの全力の攻撃をウルターニャはその剣で防ぐ

だが剣がその攻撃に耐えきれずポッキリと折れてしまった

魔王

ありゃりゃ…

ノルン

さぁ!

ノルン

もう貴女は為す術もないはずよ?

魔王

まぁこうも剣が折れたらな

魔王

つってもまだ他にいくつも剣は残ってるんだ

魔王

1本壊した程度で嬉しがるなよ

ノルン

ふっ…安っぽい挑発ね

魔王

口だけは1人前でね

魔王

ほら?悔しくないか?

ノルン

なんのこと?

魔王

たかだか普通の剣に魔剣が手こずったこと

ノルン

別に?

魔王

ほんとかな?

魔王

今の私の発言に剣を持つ手が震えてらっしゃるけど?

ノルン

そんなに死に急ぎたいのね

魔王

ほらやっぱりお怒りでしたか〜

ノルン

その余裕消し飛ばしてあげる

魔王

実際は全然余裕でもないんだけどね

ノルン

貴女を殺すのに全力は出さないつもりだったけど

ノルン

気が変わった…

ノルン

すぐに殺してあげる

直後ノルンの周囲を黒い風が覆いその風が晴れるとノルンは漆黒の衣を身に纏っていた

ノルン

さて……

ノルン

すぐに消えてもらうわ

魔王

それならこっちも敬意を払って全力出させてもらう

魔王

とは言ってもさっきより少し強くなるだけなんだがな

ノルン

そんなに流暢に話してていいのかしら?

魔王

ん?何故だ?

ノルン

ほらあなたの左腕見てごらん?

そう言われ左腕を見るとあるべき場所に腕がなくそれは足元に落ちていた

ノルン

ふふっ……

ノルン

どう?気付かないうちに無くなってる恐怖…そして気づいた時に襲うその激痛!

魔王

………

魔王

こりゃ確かにやばいな

ノルン

え?

ノルン

な、なんでそんなに平然としてられるの?

ノルン

腕が無くなったのよ!?

ノルン

貴女痛覚が無いの!?

魔王

しっかりあるさ

魔王

痛すぎて失神するくらいね

魔王

でもまぁ腕くらい治せるし

ノルン

うそ…

そういいウルターニャは落ちた腕をあるべき場所に合わせて魔法を構築する

そして数秒と経たないうちにその傷は癒え斬られた跡すら残していない

ノルン

な、なんでそんなことが…

魔王

言ってなかったっけ?

魔王

私勇者と賢者のあいだに生まれた子供なんだよ?

魔王

賢者の回復力と勇者の耐久性このふたつを兼ね備えてるのが私なの

魔王

まぁ半々で貰ってるだろうからお母さんとお父さんよりかは劣るけどね

ノルン

な、なら!二度と再生できないように細切れにすればいい話!

ノルンはその剣を一振する その瞬間数多の真空刃がウルターニャの体を引き裂いていく…

ノルン

これならどうだ!

魔王

中々にいい技だね

ノルン

!!?

ノルン

いつ私の後ろに!!?

魔王

君がその剣を振る時かな?

ノルン

どうやって私の後ろに回った!?

魔王

簡単だよ

魔王

カゲヌイを使っただけ

ノルン

カゲヌイって…

ノルン

アサシン達の秘術で…

ノルン

その技を使えるのはアサシン以外に居ないんじゃ…

魔王

私の仲間にジョニーという骸骨がいてな

魔王

そいつから教わったのだ

ノルン

ジョニー…

ノルン

骸隊の隊長ジョニー・カルトか!

魔王

んー…まぁそうね

魔王

カゲヌイという技を簡単に話してやろう

魔王

要は影と影を繋ぐ技だ

魔王

今回は私とノルンの影がちょうど重なったからできた技なんだよねー

魔王

まぁもう一個の方法もあるけど

ノルン

ちっ!

魔王

お!距離を取ったか

ノルン

そんな技を持ってても武器がないんじゃ…

魔王

そこら辺に沢山刺してあるだろ?

ノルン

その辺に刺してある武器では私の攻撃を3回いなすだけで折れるぞ!

魔王

なーんだ…

魔王

”3回”も使えるじゃないか…

ノルン

何!?

魔王

3回使えれば十分…

魔王

そろそろ終わりにするよ

魔王

私の本気が切れそうだからね

刺してある剣を1本手に取り背に当てる

その後折れた刃を蹴りあげてノルンに飛ばすが簡単に避けられてしまった

ノルン

馬鹿ね!!

ノルン

そんな攻撃私が受けるとでも!

魔王

予定通りの動きだよ

避けた先に今度は折れた柄の部分をノルンに向かい投げつける

ノルン

そんなもの喰らわないよ!

しかしそれもその剣によって弾かれてしまった

ノルン

時間稼ぎは終わりかい!?

魔王

あぁ終わった…

その声はノルンの後ろから聞こえた

ノルン

な!?

切り返しが出来ない体勢により ウルターニャに反撃する事が出来ないノルン

魔王

その剣壊させてもらう

ノルン

それだけはさせない!!

だがどうすることも出来ずウルターニャによってその剣は折れてしまった

ノルン

クソ!!

魔王

よし折れた

ノルン

うぅ……

ノルン

うぁぁぁぁぁぉ!!?

ノルンの体からその悪しき魂が解き放たれていく

その折られた剣からもたくさんの魂が解放されていった

魔王

【魂食い】の剣か
(ソウルイ-タ-)

ノルン

どうやってだ…

魔王

んあ?

ノルン

どうやって…私の後ろに

魔王

最初に蹴り飛ばしたあの刃が影を作った

魔王

その影と私の影が重なりカゲヌイが発動できる状況になった

魔王

あとはそれを発動させるだけだ

ノルン

ならばあの時の…

ノルン

2回目のあの投擲は

魔王

フェイクって事よ

ノルン

わたしの負けだ……

魔王

その体返してもらうからな

ノルン

負けたが不思議と悔いはないな…

魔王

そーかい

ノルン

お前にひとつ言っておくことがある…

魔王

なに?

ノルン

私との戦闘は時間稼ぎだ

魔王

なんだと?

ノルン

今頃ここのオーナー

ノルン

ナルク様は禁呪の書手にしてるはずだからな

魔王

だとしても私はそいつを殺る

魔王

こんなふざけた遊び場はこの世には要らないからな

ノルン

いつの世も人は娯楽を求める

ノルン

その底知れぬ欲望が同じ過ちを繰り返すだろう

魔王

そうだとしても一度止めれば次は数十年先だ

魔王

永遠に続くことはさせない

魔王

1度でいいからその負の連鎖を断ち切らないとな

ノルン

君は…強いな

魔王

そりゃどーも

ノルン

本当の最期に教えてくれ…

ノルン

君は誰なんだ?

魔王

私か?

魔王

私は……いや、我は魔王ウル・カルト・ターニャだ

ノルン

そうか……

ノルン

ウルターニャ様だったのか…

ノルン

それを知れて私は満足したよ……

そう呟きその魂は浄化された

魔王

……

魔王

ノルン起きろ

ノルン

うっ…

ノルン

うぅ〜ん…

魔王

よォ?

ノルン

ウルターニャさん?

魔王

おはようさん

ノルン

ウルターニャさん!

そう言って彼女はウルターニャに抱きつく

だが本当の試合はこれからだと言うことをまだ2人は知らない…

お気の毒ですが魔王は勇者になりました

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