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翌朝も、寒かった。

昨日、大爆笑で帰ったおかげで、 今朝も普通に家を出られた気がする。

慎吾は、不器用だけど真っ直ぐだから、 いつも救われる。

もう少し、時間が欲しいから…

いつもの時間、瑞樹がうちの前に現れる。

果歩

ハイ、瑞樹の分

マフラーを渡した。

瑞樹

ああ、サンキュ

相変わらず、クールな反応。

こらこら、もっと喜んで!

でも、早速、首に巻いてるよ。

公園の先で慎吾を見つける。

瑞樹

なんだ、慎吾が先か

慎吾の首にあるマフラーを見て、瑞樹がつぶやく。

果歩

昨日渡せただけだよ。ほとんど同時でしょ?

こうなると思って、 編み上がりは揃えたんだから。 子どもの頃から、 こーゆーのはケンカのタネになる。

瑞樹

あいつの報酬、なんだったの?

果歩

えっ?

瑞樹

慎吾が先なんだろ?編んだの

果歩

だ、だから、同時だってば

瑞樹

…あんまり、面白くねーな

果歩

子どもじゃないんだからっ!もう

もう無いとは思ったけど、まさか、まだあるのかい! どっちが先って…

瑞樹は、 黙って慎吾のマフラーを引っ張った。

慎吾

グッ!何すんだよ!

瑞樹

…おまえら、何かあったな?

……‼︎‼︎……

瑞樹にかかると子ども扱いの私と慎吾は、見事にうろたえてしまう。

瑞樹

…まあ、いい。俺は先に行くから

と、さっさと歩いて行ってしまった。

どういうことなんだろう?

必死に考えるけど、わからない。

慎吾

やっぱり…瑞樹アイツ

果歩

え?

そんなに先がよかったのかな 案外こどもっぽいな、瑞樹

そして、放課後。

1つずつ、きちんとしよう。 圭くんに、ちゃんと話そう。

果歩ちゃーん!

果歩

あ、圭くん、
あの、ちゃんと話さなきゃと思って…

たぶん、もう、圭くんは気付いてる。

…わかった

あ、初めて見る、圭くんのそんな顔。

中庭まで、一緒に歩いた。

やっぱり、僕じゃダメかー

果歩

え?

果歩ちゃん、僕はね、

圭くんは大きく息を吸った。

果歩ちゃんに、助けてもらって大好きになったから、次に果歩ちゃんに会えたら、絶対助けるって決めてたの

果歩

あの、小さい時の…

僕が守って、ずっと助けたかったけど、僕じゃないんだよね、もうわかってる

果歩

え、あの…

困らせないよ。助けたいんだ、果歩ちゃんのこと

そう言うと、圭くんは、 戦隊ヒーローのお年玉袋を出した。

はい、コレ、果歩ちゃんの、大事なもの!

それは、色褪せて少しすり切れてるけど…

果歩

圭くん…

果歩ちゃんに会えて、僕のキモチ、伝えられたから、僕はもう充分なんだよ!

誰よりも繊細なこの人は、 きっと、あれからもロサンゼルスで、 たくさん頑張ってきたんだろうな。

そして、頑張って私に会いに来てくれた。

果歩

…あの時、圭くんを助けたいって思ったのは、心からだよ

うん。そう思った

果歩

だから、大事なお守り、あげたんだ

あれから、僕はスゴく強かったよ

果歩

うん

だから、彼たちにも感謝してるの

果歩

…うん

わかってたから。お守りの『おれたち』が
果歩ちゃんを守るんだって

果歩

圭くん…

それを、ここに来て、ちゃんと見たから

果歩

…どうして、圭くんは、なんでもわかるの?
私、自分のことも、わからないのに

…ずっと思って、ずっと見てるからだよ

ずっと思って、ずっと見てる…

私も…

果歩

圭くん、私を見つけてくれてありがとう

うん。今度は果歩ちゃんが、がんばってね!

そう言うと、圭くんは中庭を出て行った。

背中には、確かに 白い羽が見えた気がした。

彼は、私の背中を押すために 舞い降りてきた、天使かもしれない。

今度は果歩ちゃんががんばって

って 圭くんは言ってたけど

それは、慎吾に答えを出すってこと…?

…このままにしてたらダメだよね…?

どうしよう わからない

そうだ、瑞樹なら

きっと、どうすればいいか教えてくれる

だって、ずっと3人でいたんだもん。

『ずっと思って、ずっと見てる』はず。

---------------

果歩

あのさ、瑞樹

瑞樹

ん?どうした?

……

瑞樹

お前なあ…

全部話を聞いたら、瑞樹は頭を抱えた。

瑞樹

…それ、俺に聞くか?

果歩

なんで?ダメなの?

瑞樹

…はぁーっっ…

激しめのタメイキ そして天を仰ぐ瑞樹

瑞樹

勘弁してくれ…いや、勘弁してやれ、慎吾

果歩

慎吾いないってば

瑞樹

悪いが、今回ばかりは俺はノータッチだ

果歩

えー、どうして? いつも助けてくれるのに。
真剣に、困ってるんだよ?私。

瑞樹

……

果歩

ずっと3人でいたじゃん!
ずっと見てたでしょ?私のことも慎吾のことも! 瑞樹しかわかんないと思って聞いてるのに!

瑞樹

…ごめん果歩。これだけは俺に答えは出せない

果歩

そんなぁ

瑞樹

…果歩が自分で考えるんだ。慎吾のために

果歩

…だって

瑞樹

だって?

果歩

だって、今のままがいいんだもん

瑞樹

今?

果歩

3人でいたいのっっ!

瑞樹

果歩…

果歩

慎吾は大好きだけど、慎吾だけ見てたら瑞樹を見れなくなっちゃうじゃない!

瑞樹

果歩

果歩

ずっと思って、ずっと見てるんだから!2人のこと…

瑞樹

果歩!

果歩

なによ!

瑞樹

…無理なんだよ

果歩

無理?

瑞樹

…もう、始まっちゃうんだよ

瑞樹は、困った顔で言った。

始まっちゃうって…?

瑞樹

俺だって…

果歩

え?

瑞樹

なんでもないよ。
悪いな、役に立てなくて。

『ポン』と私のアタマに手を乗せたあと、 ひらひらと手を振って、 瑞樹は行ってしまった

自分で考える… 慎吾のために

少し時間がかかりそうだ…

それが恋だとわかるまで

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