花の夜者姫

無名の灯　番外編３

※ほぼセンシティブ。

遥は、日常のすべてが静かな圧力と露骨な悪意に満ちていた。教室も廊下も逃げ場はなく、冷たい視線や嘲笑、理不尽な命令が繰り返される。暴力や言葉が交錯する中、誰もが加害者であり傍観者でもある。遥は傷を隠しながら、心が崩れないよう必死に耐え続けるが、空気そのものが彼を拒む世界で、かすかな呼吸だけが生の証となっていた。

無名の灯　余白、三人分。２

放課後の「なんでも質問コーナー」で、遥・日下部・蓮司の三人がゆるく雑談するだけの時間。
テストの愚痴や、寝不足の理由、ちょっとした悩みや照れる話まで、思いついたテーマを順番に投げ合う。
誰かが軽く突っ込み、誰かが真面目に返し、誰かが照れる――そんな、特別じゃないけど居心地のいい放課後を描く小さなシリーズ。

スポットライトの影で

新人俳優・泉は、冷静で計算高いマネージャー柳瀬に才能を見出され、日々のレッスンと撮影に導かれていく。しかしその裏で、柳瀬は“演技指導”と称して泉の反応を細かく読み取り、距離を曖昧にするような触れ方や囁きで彼を揺さぶっていく。泉もまた、拒絶しながら惹かれてしまう自分に戸惑いながら、柳瀬のペースに巻き込まれていく。

黙秘の檻

連続失踪事件の被疑者として逮捕された男・黒瀬恒一は、取り調べの場で一切を語らない。担当となった捜査官・久我雄一は、沈黙の奥に潜む意図を探ろうとするが、黒瀬は事件ではなく、久我自身の内面を言葉で暴いていく。密室で交わされるのは供述ではなく、心の主導権を巡る攻防。正義と疑念の境界が崩れるとき、二人は取り返しのつかない場所へ踏み込んでいく。

※明確な救済や爽快な解決を目的とした物語ではありません。

ひとつ屋根の下、コーヒーの香り。

朝のトースト、雨の日の洗濯、夜の灯り。
そんな“なんでもない時間”を、アレクシスと真白はゆっくりと共有していく。
恋という言葉をまだ使わないまま、少しずつ心の距離を縮める二人のシェアハウス生活。
小さな気配り、沈黙の優しさ、すれ違う指先。
日常の中で静かに育っていく、穏やかでやさしいBLストーリー。