ぼくは『ピエロ』です。人は僕を『嘘吐き』と嘲笑います。そうして笑います。ぼくが笑い損ねれば、ざまあみなさいと笑います。
明日は来てほしくないときみは泣きます。この世界だけあればいい、『嘘』も『本当』も、『わたしの世界』には必要ないと、きみは喚くのです。
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
ピエロ
穂佳
穂佳
ピエロ
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
ピエロ
穂佳
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
穂佳
一冊のノートがありました。ぼろぼろの表紙に『DIARY』と書かれた、誰かの日記でした。
そこにはぼくがどう生きていくべきか、書かれていました。僕はその通りに笑って、泣いて、怪我をしてきました。人に笑われる。人を笑わない。
すべてぼくはその通りに生きてきました。だからこそ、彼女の存在はイレギュラーなものでした。
彼女はぼくがお惚けるのを非常に嫌いました。だからきみは生きられないのだと罵りました。
ピエロ
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
穂佳
ピエロ
穂佳
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
人は間違っていると言います。『ピエロ』が『人』に恋をするなど頭がいかれていると言います。嘘しか吐けない『ぼく』が、どうして、きみと愛し合えるでしょうか。
これはきっと罰です。嘘を吐き続けるといつか本当になると誰かは言います。でも、ぼくにとっては、それは嘘ではないのです。
どうやったって信じてもらえないはずなのに、ぼくは膝をついて、きみの声を聞きます。きみの息を聞きます。きみの音を聞きます。
ピエロ
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
穂佳
穂佳
ピエロ
穂佳
今日は『ピエロ』ではなく、『ぼく』できみと話そうと思いました。そう思っていたのに、結局ぼくはノートに、エゴに、自分に縛られて、また笑うのでした。
ピエロ
でも、いつもの場所に彼女はいませんでした。ぼくは慌てました。その時に気づいたのです。ぼくは彼女のことをなにひとつとして知らないことに。
ピエロ
あたりの民家を駆けずり回り、きみの苗字を探しました。でも見つからない。
ピエロ
誰も泣かせたくありませんでした。きみがなにか絶望に包まれているのならば、ぼくはきみを慰めてあげたかったのです。
たとえきみが、緩やかな死を求め続けていたとしても。
穂佳
人の視線が怖かった。人の声が怖かった。誰かが自分の背を突き刺して、最低の行為をするのではないかとびくびくしていた。
穂佳
あのピエロが嫌い。まるで自分でないみたいに、にこにこと笑うあの『嘘吐き』が大嫌い。
だけど、どうしてだろう? 彼ともう会えないのだと思って、涙が止まらなくなるのだ。誰を思っても涙も出てこないくせに。
穂佳
ピエロ
穂佳
ピエロ
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穂佳
穂佳
穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
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穂佳
穂佳
ピエロ
ピエロ
穂佳
ピエロ
ピエロ
ごめんなさい。僕は嘘を吐きました。初めて『DIARY』に逆らいました。
ノートに『愛しい人を哀しませないように生きなさい』とは書いていません
『愛しい人を作るべからず』──そう書いてありました
僕はあなたが好きです。ずっと、ずっとあなたが好きです。
だから僕は、『ピエロ』を止めました。
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