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クエストを依頼する人がいて、クエストを受ける人がいる。

それはここ、ファールウィンドでも変わらない。

ファールウィンドの街に到着し、リョウたちと別れたあと

ルティと二人で、冒険者ギルドのカウンターに立ち寄った。

スタッフ

冒険者ギルドへようこそー!

スタッフ

って、あれ?

スタッフ

もしかして、ルティ?

カウンターで出迎えてくれたのは、桃色の髪のサイドテールが似合う、明るい女の子だった。

ルティ

久しぶりね。サミア

どうやらこの子は、ルティの知り合いらしい。

スタッフ

わー! ほんとひさしぶりー!!

スタッフ

研修以来だよね。

スタッフ

こっちに来るなら、連絡くれればよかったのに。

スタッフ

仕事で来たの? それとも観光?

ルティ

仕事よ。人を探してるの。

ルティ

こっちに、クリスって名前の剣士と

ルティ

ミーアって名前の槍使いは来てない?

スタッフ

うーん……

スタッフ

ちょっと待ってね

背後の棚から帳簿を出し、サミアはパラパラとページを捲る。

スタッフ

あーこれ!

スタッフ

この子たちね。昨日来てたよ。

スタッフ

いまは、クエスト中かな

ルティ

クエスト!? 何の!?

前のめりになりながら、ルティは尋ねる。

スタッフ

えっと

スタッフ

このクエストは、村の用心棒ね。

スタッフ

ここから南に半日ほど行ったところに村があって

スタッフ

最近、畑が荒らされるからって、依頼を出してきたの

ルティ

サミア。それって……

スタッフ

うん。間違いなく、魔物のせい。

スタッフ

ここを攻めるために集った魔物が

スタッフ

おなかを空かせて畑を荒らしてる

兵糧が不足すれば略奪に走る。

それは、人も魔物も変わらない。

場合によっては、略奪によって村一つが消えることも、十分にあり得る。

ルティ

どうして、そんな危ないクエストを!?

スタッフ

この村、ふたりの故郷なんだって

受注者の資料を示し、サミアは続ける。

スタッフ

断っても、勝手に行っちゃいそうだったから

スタッフ

クエスト、出してあげたの

ルティ

どうして!?

スタッフ

そうしないと、ギルドとして支援できないから

ルティ

!!

サミアの言葉に、ルティは言葉を詰まらせた。

セリナはあの二人を守るために、クエストを発行しなかった。

サミアはあの二人を守るために、クエストを発行した。

どちらの判断も間違ってはいない。

スタッフ

だから、ちょうどよかったの。

スタッフ

支援のための臨時クエスト、いまから募集を開始するよ

微笑み、サミアはいう。

いま確実に言えることは

あの二人を、死なせてはいけないという事。

ルティ

いいわ。

ルティ

そのクエスト、私達が受ける。

ルティ

許可できないなんて、いいっこなしよ

真っ直ぐにサミアを見て、ルティはそう告げた。

スタッフ

言わない言わない。

スタッフ

それにルティのお気に入りさんなら

スタッフ

実力も申し分ないもの

こちらに一度視線を向け

あらためてルティを見て、サミアはいう。

ルティ

な!

ルティ

ちょっとサミア!

ルティ

こいつはただの常連よ!

ルティは慌てて否定するが

これだけ連れ回しておいて、ただの常連呼びというのはどうなのだろう……。

スタッフ

はいはい。

スタッフ

分かったから、お気に入りさんの名前教えて。

スタッフ

書類、作っていくよ

ルティ

だから、お気に入りじゃない!!

スタッフ

はいはい。わかってるって

楽しげにルティをあしらいながら

サミアは事務処理を開始した。

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時間が遅いこともあって、出発は明日の朝になった。

ワイバーンとの戦いの疲れが残っている。

そこを見抜かれたのだろう。

ルティ

一晩休めなんて

ルティ

今晩のうちに何かあったらどうするつもりなのよ……

明朝までの待機を命じたのはサミア。

おかげでルティは不満そうだ。

サミアの指示は間違っていない。

頭では理解できても、煮えきらないものがあるのだろう。

ルティ

あぁもう。シーク!

ルティ

1杯付き合いなさい!

珍しい。

というより、初めてルティに酒に誘われた。

ルティ

店は、あそこがいいかしら

ルティが選んだのは、大衆向けの居酒屋。

静かに1杯、なんて雰囲気は皆無。

ルティ

ほら、さっさと行くわよ!

こっちの返事を聞く前に、ルティは居酒屋に足を踏み入れた。

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居酒屋は、人で溢れていた。

人種としては、傭兵やゴロツキが特に多く

アルコールの匂いが溢れる店内は、お祭りに近い状態になっている。

リョウ

あれ?

リョウ

シークとルティじゃん?

メルティ

あら。ほんとね

まさかの遭遇だった。

リョウ

おーい! こっちこっち

酒場の一角に、リョウとメルティの姿。

ルティ

まさか、こんなところで会うなんて……

ルティが小声で呟く。

やはり、ふたりの事が相当苦手らしい。

店内は満席で、相席する以外の選択肢はない。

ルティ

早めに、切り上げるわよ

ルティは渋々、席に向かった。

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早めに切り上げるとは、何だったのか。

思いの外、時間が経つのは早かった。

リョウ

そうなんだよ。

リョウ

セリナは冷たそうに見えて、意外と面倒見がいいんだよな

ルティ

そうよ。

ルティ

誤解されやすいのよ。セリナは

リョウ

でも、怒ると怖いのは、見た目そのままだよな

ルティ

うーん。

ルティ

場合によっては見た目以上じゃない?

リョウ

溢れ出た魔力で、物理的に空気が凍るからな。

リョウ

アレは二度とゴメンだ

小一時間、リョウとルティはセリナの話題で盛り上がっている。

いい具合にアルコールも入って、雰囲気はそれほど悪くない。

メルティ

リョウ。

メルティ

私、少し風に当たってくるわ。

不意に、メルティが立ち上がる。

メルティ

よければ

メルティ

あなたも一緒に行かない?

突然のお誘い。

つまり、二人だけで話がしたい、ということだろう。

別に、断る理由もない。

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店の外では、心地よい夜風が吹いていた。

メルティ

ごめんなさい。

メルティ

リョウは気が利かないから。

メルティ

二人だけの時間、邪魔してしまって……

言葉の意味に気付くのに、少し時間が必要だった。

これは、つまり、そう。

裏を返せば、ルティがメルティの邪魔をしてしまっているという事になる……。

メルティ

ふふっ。

メルティ

ごめんなさい。

メルティ

少し、意地悪しました

なぜかメルティは、嬉しそうに笑う。

メルティ

本当は、あなた達のこと

メルティ

すごく警戒していたんです。

メルティ

私たちと正反対の

メルティ

黒い光を持つ魂が見えたから

黒い光を持つ魂…………。

それはおそらく

ルティが言っていた、魔王の封印と関わりのある何かだろう。

ルティも、二人を警戒していた。

理由は、たぶん同じ。

メルティ

でも、少し安心しました。

メルティ

黒い光を持つ魂は、力を失っている。

メルティ

黒い光を抑え込んでいるのは

メルティ

あなた達の、本当の魂

メルティ

これは封印、なのですね

メルティには、見えているらしい。

別の世界の魔王の、封印の形が。

それが本当なら、魔王の封印は魂と共にあることになる。

あまり、気分のいいものではない。

メルティ

貴方達の本質は、私たちと同じ。

メルティ

もし困ったことがあれば、協力させてください。

メルティ

もちろん、ルティさんが嫌がらなければ、ですけど

反応に困る。

魂とか魔王とか、そういうものを抜きにして

ルティとメルティの関係には、注意が必要な気がする。

メルティ

さぁ。そろそろ戻りましょう。

メルティ

長居をし過ぎると

メルティ

明日に響いてしまいます

メルティは踵を返す。

その瞬間、酒場の中から轟音が響いた。

黒き輪廻と欠片の邂逅

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