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カランカラン。
かなりお酒が入っていたから、他のお客さんが入ってきたことになんか私が気づくはずもなかった。
男性
男性の声だった。
その時私は、「あぁ、常連さんなんだな」なんてぼんやりとしか考えていなかったから、自分の近くに座られた時はかなりびっくりした。
驚いて思わずその人を見てしまう。私はハッと息を飲む。顔はわからなかった。黒い帽子に黒いマスク。とにかく全身黒かった。
キム・ヘリン
帽子とマスクの間から覗く目は綺麗な二重で、顔は見えなくてもかなりイケメンなことがわかった。顔も小さくて、背も高い。申し分ない容姿だった。
でも彼はどこか、苦しそうな、悲しそうな、そんな表情をしていた。
私はまたグラスを傾けた。 しばらく無心にお酒を流し込んでいると、今度は彼からの視線を感じた。
私が彼の方に目線だけ向けると、視線が交錯した。
キム・ヘリン
彼は何だろう、そう、息を呑むほど美しかった。
「美しい」以外に彼を表現する言葉がこの世にはなかった。 私は彼から目を離せなかった。
瞬きをすることも忘れ、私たちは見つめ合った。
どのくらい時間が経ったのだろうか。胸のドキドキと目の乾きに耐えられなくなって視線を逸らした瞬間、彼が口を開いた。